日光 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
勝道上人が男体山を観音菩薩さまがおわします補陀落(ふだらく)として登頂しようと、前人未踏の大自然と戦う第1章「補陀落」 昭和初期、勝道上人の事績と外国人の手によって少しずつ人が住む場所として開けていくようすを描く第2章の「二荒」(ふたら) 昭和の高度経済成長期を経て自然のなかに人が定着し、人も自然も同じように「季節」「生死」を繰り返し、同じ姿ではなくとも生命がらせんのように広がっていく姿を1組のカップルが夫婦になるまでで描いた第3章の「日光」 補陀楽(ふだらく)→二荒(言葉がつまって「ふたら」)→日光(二荒「にこう」の字を変えて「にっこう」)と3つの異なる時代を描く構成で、人が生きることとは何かを感じさせてくれるお話です。 具体的な思想が描かれているわけじゃないんだけど、いろんなことを読み解けそうなよくできたお話でした。 歴史小説とも宗教小説とも違うんだな…。
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