黒の様式 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
三作ともおもしろかった。 松本清張は本当に何を読んでもおもしろい。 一作目の『歯止め』はなんとも言えないというか、まぁ気持ち悪い。 この作品では養母と息子だけど、血の繋がった母子でもなくはないんだろうなと思ってしまう。 ごくごく普通の人って感じている人でも、息子に関しては「…え!?」とドン引いてしまうような考え方の人いるもんね。 傍から見てると、愛というより暴走だよね。 三作目の『微笑の儀式』は「仏像かぁ…」と読み始めたけど、いつの間に夢中になって読んでいた。 ちょっと気になったんだけど、石膏でデスマスクをとって解剖の時に気付かれたりしないものなの? いくら丁寧に拭き取ってもバレそうな気がするけどな。
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結婚して2年足らずで自殺した美しい姉。死んだ姉の妹が、自分の息子の思春期による変化を見て、姉の死の真相に辿り着く「歯止め」。 20年前に母親を養父に殺されたと印刷したチラシがばら撒かれる。町は騒動となり、養父の家の中に母親が埋められているのではとなり、床下が掘り返される.その結果...
結婚して2年足らずで自殺した美しい姉。死んだ姉の妹が、自分の息子の思春期による変化を見て、姉の死の真相に辿り着く「歯止め」。 20年前に母親を養父に殺されたと印刷したチラシがばら撒かれる。町は騒動となり、養父の家の中に母親が埋められているのではとなり、床下が掘り返される.その結果は、真相は、何か。この本で1番面白かったのが「犯罪広告」。 仏像の笑いを浮かべた若い女の死体と彫刻作品から、変死事件の謎が徐々に明るみになる「微笑みの儀式」。 3作ともしっかり読ませてくれます。 松本清張はすごいと改めて思った。 2023年10月17日読了。
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松本清張文学忌 1909.12.21〜1992.8.4 清張忌 若い頃、よく読んだ松本清張。どれを再読しても良いけれど、残してある文庫の紹介文を読んでいたら、この中編集が連作推理小説集とあり、全く覚えてないのでこちらを読みました。 が、しかーし、連作ではありませんでした。共通事...
松本清張文学忌 1909.12.21〜1992.8.4 清張忌 若い頃、よく読んだ松本清張。どれを再読しても良いけれど、残してある文庫の紹介文を読んでいたら、この中編集が連作推理小説集とあり、全く覚えてないのでこちらを読みました。 が、しかーし、連作ではありませんでした。共通事項は、死者が出るところしかないです。 (ちなみに昭和の文庫本) そして、新装版の紹介を確認したら、傑作中編小説に変わっていた。やれやれ。 「歯止」 能楽堂の場面から始まり、演目は「班女」 結構後、二年で自殺した姉。死因は薬物接種。遺書はなし。その妹も現在高校生の息子の非行と犯行に苦しんでいる。偶然、息子の奇行を母親が治めている家庭の存在を知り、そこから、自分達の将来そして姉の自殺の理由に思い当たる。 「犯罪広告」 警察が動いてくれない犯罪を立証するため、広告を作り投函を続ける男。遂に、地域を動かして現場確認ができることになる。真実に近づきすぎた悲しい男。 「微笑の儀式」 古拙の微笑 飛鳥仏の様な口角を僅かにあげた微笑み その微笑みを持つ彫刻の精密な出来栄えに疑念を持つ そしてその彫刻によく似た死者との関係を探す
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「歯止め」「犯罪広告」「微笑の儀式」の3つの短編が所収。「歯止め」は、結婚後数年で自殺した姉の真相が、思春期の息子の素行や夫の実家の法事に出席したことをきっかけに徐々に明らかになる。「犯罪広告」は、義父による実母の殺害が20年たって明らかにしていく息子が、逆に殺される。「微笑の儀...
「歯止め」「犯罪広告」「微笑の儀式」の3つの短編が所収。「歯止め」は、結婚後数年で自殺した姉の真相が、思春期の息子の素行や夫の実家の法事に出席したことをきっかけに徐々に明らかになる。「犯罪広告」は、義父による実母の殺害が20年たって明らかにしていく息子が、逆に殺される。「微笑の儀式」は、法医学の教授と新進気鋭の彫刻家の飛鳥での出会いが、殺人事件と結びついていく。
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「歯止め」「犯罪広告」「微笑の儀式」の3編を収録。時代設定は当然古いが、主題は現代でも十分おもしろい。2017.12.21
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安定したおもしろさ。3つの短編ミステリー小説。 しっかりとしたストーリー設定と細かな部分のリアルさが、それぞれのミステリーを素晴らしいものに見せてくれる。
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短編3つ。1本目が死んだ姉と、やや薄気味悪い姉の旦那の話で、純文学なのかと思ったら、途中でいろんなパーツがパキーンとはまるミステリ。はまるまでの気持ち悪さのせいで、途中まではなかなか読み進められず。 あと2本はどんでん返しで、最初からミステリと解るので読みやすい。阿夫里村の話は...
短編3つ。1本目が死んだ姉と、やや薄気味悪い姉の旦那の話で、純文学なのかと思ったら、途中でいろんなパーツがパキーンとはまるミステリ。はまるまでの気持ち悪さのせいで、途中まではなかなか読み進められず。 あと2本はどんでん返しで、最初からミステリと解るので読みやすい。阿夫里村の話は、怪文書と供述調書とで本筋が語られる、かなりクラシックな手法だが、今読んでも全く古臭さを感じない。 もう一つは、最初から落ちがわかっている状態だが、事件性がないところに事件を作っていく。 1本目の薄気味悪さには嫌悪感を催す人も少なく無いだろうが、松本清張の安定した面白さが詰まった1冊だ。
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狭義のミステリーではない。 そこはかとない恐ろしさを感じさせる短編集。 笑気ガスは今はもう殆ど使われてないから時代を感じさせる。
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