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綺譚集 の商品レビュー

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49件のお客様レビュー

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2023/05/16
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※このレビューにはネタバレを含みます

奇譚:世にも珍しく不思議な物語や伝説。 本書は奇譚集、すなわち世にも珍しく不思議な物語や伝説を集めた一冊。 私にはまだ早かった。 天使へと解体される少女に、独白する書家の屍に、絵画を写す園に溺れゆく男たちに垣間見える風景への畏怖、至上の美。生者と死者、残酷と無垢、喪失と郷愁、日常と異界が瞬時に入れ替わる。――綺の字は優美なさま、巧みな言葉を指し、譚の字は語られし物を意味する。本書収録の15篇は、小説技巧を極限まで磨き上げた孤高の職人による、まさに綺譚であり、小説の精髄である。解説=石堂藍 内容(「BOOK」データベースより) 天使へと解体される少女に、独白する書家の屍に、絵画を写す園に溺れゆく男たちに垣間見える風景への畏怖、至上の美。生者と死者、残酷と無垢、喪失と郷愁、日常と異界が瞬時に入れ替わる。―綺の字は優美なさま、巧みな言葉を指し、譚の字は語られし物を意味する。本書収録の十五篇は、小説技巧を極限まで磨き上げた孤高の職人による、まさに綺譚であり、小説の精髄である。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 津原/泰水 1964年広島県生まれ。89年より津原やすみ名義で少女小説を多数執筆。97年、現名義で『妖都』を発表、注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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2023/05/10

例えばこういった感想のようなものを書いていると、自分の文才の無さに絶望的な気持ちに陥ってしまうのですが、津原泰水は文章を綴ることが楽しくて仕方がなかったのだろうなと思わせるような多様な文体で楽しませてくれます。 幻想小説というのは、ストーリーよりも、その文体が持つアトモスフィアに...

例えばこういった感想のようなものを書いていると、自分の文才の無さに絶望的な気持ちに陥ってしまうのですが、津原泰水は文章を綴ることが楽しくて仕方がなかったのだろうなと思わせるような多様な文体で楽しませてくれます。 幻想小説というのは、ストーリーよりも、その文体が持つアトモスフィアによって成り立つものだと常々思っていたのですが、まさにその通り。どの作品も作品の中に溢れる空気がもう違います。 ただ、興味深く読んだのは、「赤仮面傳」「玄い森の底から」「ドービニィの庭で」。僕自身はストーリー重視のようです。 津原泰水は川上未映子の「わたくし率 イン 歯ー、または世界」が本書収録の「黄昏抜歯」からアイデアを盗用していると指摘していたそうです。真偽は判りませんが両作品とも面白かったです。

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2023/05/02

大傑作。 幻想文学に惹かれる人は残酷さの中にある美しさを探している人だと思うのだが、本著にはそんな残酷さの中の美に溢れている。 その残酷さも即物的なもの(それはそれで好きなのだが)とは違って美学がある。腐臭があっても、どこか目を離すことができない。 更にその美しさを然るべき文章で...

大傑作。 幻想文学に惹かれる人は残酷さの中にある美しさを探している人だと思うのだが、本著にはそんな残酷さの中の美に溢れている。 その残酷さも即物的なもの(それはそれで好きなのだが)とは違って美学がある。腐臭があっても、どこか目を離すことができない。 更にその美しさを然るべき文章で記すことが出来る作家である。 津原泰水さんの記す文章をもっと読みたかった。

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2023/04/30

どの作品にも惹き付けられるが、一際美しく思ったのは「脛骨」だった。舞台となった場所が近いので、たまに行く。ここでね…と水辺につい目をやる。 津原氏が亡くなられたことを、悲しく、悔しく思う。

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2023/01/23

短編集。 面白かった。 人ではないものと人であるものの、それぞれのこわさが味わえる良作。 高評価のルピナス探偵団が、まったく楽しめなかったので、同じ作者の作品を手に取るのが不安だったが杞憂。 (短編集好きなので) 各話の扉絵(なのかな)のデザインがそれぞれ違って、それがまた凝っ...

短編集。 面白かった。 人ではないものと人であるものの、それぞれのこわさが味わえる良作。 高評価のルピナス探偵団が、まったく楽しめなかったので、同じ作者の作品を手に取るのが不安だったが杞憂。 (短編集好きなので) 各話の扉絵(なのかな)のデザインがそれぞれ違って、それがまた凝ってて素敵。

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2023/05/11

氏の逝去の報に接して再読、やはり素晴らしい。綺羅を尽くした文体で紡がれた15の短編。「小説は天帝に捧げる果物、一行でも腐っていてはならない。」と言ったのは中井英夫だったか、その言葉そのものの一冊。作者自身は「一冊だけ残せるなら、これ」と言ったそうだが、「一冊だけ無人島に持て行くと...

氏の逝去の報に接して再読、やはり素晴らしい。綺羅を尽くした文体で紡がれた15の短編。「小説は天帝に捧げる果物、一行でも腐っていてはならない。」と言ったのは中井英夫だったか、その言葉そのものの一冊。作者自身は「一冊だけ残せるなら、これ」と言ったそうだが、「一冊だけ無人島に持て行くとするなら、これ」かもしれない。もっと書いてほしかった。ご冥福を。

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2022/11/20

まるで文体に酔うような感覚でした。幻想、ファンタジー、ホラー、怪奇、グロテスク、エロティック、ミステリ…この短篇集を一言で形容できるジャンルが分かりません。まさに綺譚。素晴らしかったです。

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2022/04/23

さわやかな感じのいい話を読んですっきりしたい、という人にはお勧めできない。妙に生々しいグロテスクな世界に迷い込んでしまったような気がする。なんともいえない読後感。どう理解すればいいのかわからない話もある。読み始めた時は、ウ……合わないかも…と思ったけれど、最終的になんだかんだ引き...

さわやかな感じのいい話を読んですっきりしたい、という人にはお勧めできない。妙に生々しいグロテスクな世界に迷い込んでしまったような気がする。なんともいえない読後感。どう理解すればいいのかわからない話もある。読み始めた時は、ウ……合わないかも…と思ったけれど、最終的になんだかんだ引き込まれて最後まで読んでいた。赤假面傳、玄い森の底から、聖戦の記録、ドービニィの庭で、が良かった。

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2021/04/13

グロとエロとその中に潜む美しさよ、、という感じ。最初えぐみにびっくりして引きかけたけど、読めば読むほど引き込まれていって最終的には貪るように読んでた。刺激と衝撃がすごい

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2020/09/30

短編集,15編 ホラーのようなサスペンスのような犯罪物のようなものや幻想的なもの,つまりいろいろな不思議不条理をとき明かさずそのまま差し出している.そしてどこか切ないような物悲しい気持ちにもなる珠玉の作品集.

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