貧困という監獄 の商品レビュー
新自由主義が政府機能を小規模化する一方で、犯罪検挙に注力し囚人が欧米で急増したことを嘆く本。訳本は2008年に出版されたが、原著は1999年とやや古い。レーガン、サッチャー、中曽根時代の新自由主義時代の余韻が残るときに書かれている。キーワードは「ゼロ・トレランス」で今は賞賛される...
新自由主義が政府機能を小規模化する一方で、犯罪検挙に注力し囚人が欧米で急増したことを嘆く本。訳本は2008年に出版されたが、原著は1999年とやや古い。レーガン、サッチャー、中曽根時代の新自由主義時代の余韻が残るときに書かれている。キーワードは「ゼロ・トレランス」で今は賞賛されるジュリアーニNY市市長の割れ窓理論がやり玉にあがり、社会的貧困の根本解決ではなく隔離によってしか対応しない政策を批判。一方で、社会的貧困の原因や他の代替策には殆ど触れておらず、議論が物足りない。アメリカでは直後に911が起こるが、その際に大量の収監が発生しており、その時代の前には、本書で描かれているような収監国家への道が生まれていたことは興味深い。失業者を収監することで、失業率が下がるという視点も面白かった。
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「ゼロ・トレランス」(非寛容)とは社会にとって「目ざわりな貧困」を警察が監視し、厳罰を加えることを正当化する考え方。米国を発信源とし、新自由主義とともに世界に拡散した理論の問題点をあぶり出す。
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