幽霊コレクター の商品レビュー
与えられた役割を巧く遂行できない人間という者は存在する。しかも理由は気がのらないという些細な理由で。その人物は時が熟すのを待っているのだろう。私にもそういった瞬間が今に訪れ、いとも簡単に出来事を消化できると。しかし状況は待ってはくれてない。どうしようもない時間が密接に周囲に撒き散...
与えられた役割を巧く遂行できない人間という者は存在する。しかも理由は気がのらないという些細な理由で。その人物は時が熟すのを待っているのだろう。私にもそういった瞬間が今に訪れ、いとも簡単に出来事を消化できると。しかし状況は待ってはくれてない。どうしようもない時間が密接に周囲に撒き散らされる。些細な、しかしどうしても覆せない、他人には理解できない憂鬱さ、勿論気持ちのことなのだが、自分に真っ向から嘘をつき何もなかったようにやり過ごせない、不器用なんだか、ある意味正直なんだか、そういうのに眼差しを向けた感じかと。
Posted by
図書館で綺麗な背表紙が目に留まり、借りて読んでみました。ふっとよぎっては忘れてしまうような心の揺れさえも描かれていて、大好きな1冊になりました。女性目線の短編集で、非常に面白かったです。
Posted by
ドイツ人女性作家の視線が淡々となぞるもの。 あたりまえのようにある孤独、 旅先での現実味の無い風景、 誰かが自分を満たすことは無いのだという悟りもしくは諦観、 タバコのフィルターのにおい、 ほんとうはわかっているけどそっとしておくもう一人の自分。 一作目『夏の家、その後』で一躍...
ドイツ人女性作家の視線が淡々となぞるもの。 あたりまえのようにある孤独、 旅先での現実味の無い風景、 誰かが自分を満たすことは無いのだという悟りもしくは諦観、 タバコのフィルターのにおい、 ほんとうはわかっているけどそっとしておくもう一人の自分。 一作目『夏の家、その後』で一躍有名作家となった筆者による 五年の間を置いての新作。 短編小説だが、一貫した流れが見え隠れする。 若くはない女たちが、ふとした旅で見せる小さな変貌。 恋のようなもの、恋ではないもののはざまに立ちつつ、 淡々と自分を理解する女たち。 筆者は丁寧で繊細な言葉で彼女たちの像と、 その背後にある静かな風景とを結んでいく。 主人公たちの旅先はさまざまだが、筆者も旅人らしい。 自分に心地いい温度と湿度の作品に出会えると幸運を感じる。 これから、『夏の家、その後』を読もうと思う。
Posted by
最初に読んだのは原文。 本屋で立ち読みをして、そこから暫く辺りを見渡して、今自分が「この場所」に居るということを実感しました。 それから日本語訳が出るというのでどういうニュアンスで読めるのか気になって購入。 責任を持って行動できるようになった人たちに読んでもらいたい本です。 こ...
最初に読んだのは原文。 本屋で立ち読みをして、そこから暫く辺りを見渡して、今自分が「この場所」に居るということを実感しました。 それから日本語訳が出るというのでどういうニュアンスで読めるのか気になって購入。 責任を持って行動できるようになった人たちに読んでもらいたい本です。 この本の登場人物たちも自分の行動に責任や意識を持って行っているような、そんな感触が受け取れました。 素敵で鮮やかでしっとりとした短編の世界観に浸って貰いたい。 (2009.07.24)
Posted by
短篇集。7篇収録。 主人公たちの年齢を遥かに超えてしまった身としては、読みながら、「いや〜そんなのは、一時の気の迷いだって」なんて言ってみたくなったり。肩をがしっとつかんで、「しっかりしてよ〜」と揺さぶってみたくなったり。 徹底して反抗だけしていればよかった10代の頃とは違っ...
短篇集。7篇収録。 主人公たちの年齢を遥かに超えてしまった身としては、読みながら、「いや〜そんなのは、一時の気の迷いだって」なんて言ってみたくなったり。肩をがしっとつかんで、「しっかりしてよ〜」と揺さぶってみたくなったり。 徹底して反抗だけしていればよかった10代の頃とは違って、親のことを気遣うくらいには大人になり、かといって、きっぱり生きていくほどには大人になれず・・そんなもやもやした年代。 自分が何を望んでいるのか、何を望まないのか。何をしたのか、何をしたかったのか。すべてに紗が掛かったように、はっきりととらえることができない。人間関係においても。何もかもがどうでもいいような、どうでもよくないような。 そんな主人公たちが旅する先の(非日常であるところの)風物は、テラスの木の手すりの蜘蛛の巣に至るまで明晰に捉えられていて、心情のとらえどころの無さを際立たせている。 5番目に配された表題作とその後の2篇では、主人公が自分の核となるものをつかんでいて、そこから他者との関係を探っているように見え、前の4篇の主人公たちとは趣きが違うように思える。この後半の作品の、そこはかとなく感じとれる明るさが好き。 めげない風な主人公と、行きずりの関係ではあるけれど、他者とある瞬間を共有したという肯定的な感覚が好もしかった表題作「幽霊コレクター」と、珍しくユーモラスだった「アリ・オスカーソンへの愛」がよかった。 Nichts als Gespenster by Judith Hermann
Posted by
「人生」という旅を、少しずつ受け入れるようになったあなたへ。親友が恋した男との、密会。老いた両親と旅して変化する、娘の感情。恋人以上だけど夫婦未満、微妙なカップルが旅の途中で出遭った「幽霊コレクター」…。ドイツで30万部を超えるベストセラーとなった青春の終りを予感する旅をめぐる、...
「人生」という旅を、少しずつ受け入れるようになったあなたへ。親友が恋した男との、密会。老いた両親と旅して変化する、娘の感情。恋人以上だけど夫婦未満、微妙なカップルが旅の途中で出遭った「幽霊コレクター」…。ドイツで30万部を超えるベストセラーとなった青春の終りを予感する旅をめぐる、傑作短篇集。
Posted by
ひんやりと冷たいお水を夏のあつい日に飲むような心地よさ でも、自分の軸が、不安定でぶれていて、繊細でいて 投げやり。でも、何だか読んでいて心地よい本でした。 サガンと雰囲気が似ているとも思いました。好きです。
Posted by
- 1