新編 後藤田正晴 の商品レビュー
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警察官僚、自民党(田中派)所属議員、中曽根内閣官房長官であった後藤田正晴氏の人物評伝。彼をリベラルないしそれに近い立場と評する点は些か無理があろうが、硬骨漢・理非曲直が明快・私利私欲がない・基本的に護憲派等の点は否定し得ないだろう。なるほど、本書は戦中~細川内閣までの日本の歩みの一端を明らかにする書といえる。①あさま山荘事件やいわゆる共産主義過激派、新左翼との関わり、②国鉄改革の功罪・明暗はもう少し補足してみたいところ。なお、警察官僚目線の機動隊と、反原発派目線のそれとの余りの落差に感じるところがあった。 ただし、彼のような、全省庁の理非得失を正しく見極め、私利私欲なく、時には強面で調整していく才ある人物、官房長官らしい官房長官は、今こそ求められているような気がする。 とはいうものの、広瀬隆氏のいう原発関連の公開ヒアリングにおいて、後藤田の指示で私服警官や機動隊が事実上睨みを利かさせていた事実について、後藤田氏はどのように考え、回答するるのだろうか? 本書では、機動隊等は暴力的政権奪取を防止するためにこれらを必要とするものとされていると言うが、果たしてそうなのか?。情報公開や国民や市民の意見開陳という、民主政治に不可欠な場における官憲の活動の負の側面には触れられない。
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後藤田という人には興味があったので読んだが、一本心が通っている人だったことがわかった。とても勉強になった。
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今、読まれるべき本。 旧内務省から警察庁長官を経て内閣官房副長官、政界に転じてからは内閣官房長官、副総理、法務大臣を歴任して、一般的には「タカ派」と認識されている。 その後藤田正晴は、実際には極端で観念的な共産主義思想を排除する一方で、岸信介元首相の系譜に連なった復古主義傾向、非...
今、読まれるべき本。 旧内務省から警察庁長官を経て内閣官房副長官、政界に転じてからは内閣官房長官、副総理、法務大臣を歴任して、一般的には「タカ派」と認識されている。 その後藤田正晴は、実際には極端で観念的な共産主義思想を排除する一方で、岸信介元首相の系譜に連なった復古主義傾向、非現実的な観念的思考の勢力も同様に危険視し、現実的な思考に基づき、国家権力のためではなく国民が安らかに治まること=治安のために常に心を砕いてきたことが分る。
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後藤田正晴という人が不世出の政治家であったことを新たに知ることが出来ました。徳島県の川島町から更に山奥へ行った田園の名門出身で、年の離れた末っ子として可愛がられて成長した幼年時代。兄の薦めで進んだ水戸高校。そして東大時代、内務省時代、警察庁、自治省の時代と豪腕のイメージを確立していく過程は凄みがあります。そして田中角栄との出会いから、昭和49年の参議院選挙における落選と金権候補烙印という大きな挫折がなぜ起こってしまったのか。そして政治家になった当初のタカ派のイメージが、いかに平和のシンボル、改革のシンボルとして自民党のみならず、社会党はじめとする野党からまでも信頼を得た存在になっていくかはドラマです。しかし、後藤田氏そのものは決して左右にぶれたわけではなく、頑固一徹な姿勢がそう印象を与えた!カミソリ後藤田というイメージのみが強かったのですが、人間味のある人だったこともこの人の影響力の大きさの一因であったのですね。
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本書は政治家として敬意を集めた後藤田正晴の伝記である。内務省官僚、警察官僚等を経て政界へ進出。内閣官房長官などを要職を歴任し、今なお惜しまれている。 後藤田の仕事ぶりをみると、いまの官房長官がいかに見識に欠けるのかが明白にわかってしまう。 果たして歴史の審判はいかにくだ...
本書は政治家として敬意を集めた後藤田正晴の伝記である。内務省官僚、警察官僚等を経て政界へ進出。内閣官房長官などを要職を歴任し、今なお惜しまれている。 後藤田の仕事ぶりをみると、いまの官房長官がいかに見識に欠けるのかが明白にわかってしまう。 果たして歴史の審判はいかにくだるのか興味深い。
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後藤田関連の本を何冊か読んだ事がある人にとっては、ある種の物足りなさを感じるかもしれませんが、初めて「後藤田正晴」についての本を手に取る人には、良いのではないかと思います。 やっぱり、後藤田正晴は魅力的な人間だと再認識しました。
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