おはよう、水晶 の商品レビュー
2年にわたって連載されていたようで、作者の生活や周りの環境が少しずつ変化していくのを興味深く読んだ。 飼っていた猫のうち一匹が亡くなり、他の猫が老いていくのに怯えるが、その考えも変化していく。 ヒトトンボという作者にしか見えない生物との出会いや別れも描かれる。 取り囲む「敵」...
2年にわたって連載されていたようで、作者の生活や周りの環境が少しずつ変化していくのを興味深く読んだ。 飼っていた猫のうち一匹が亡くなり、他の猫が老いていくのに怯えるが、その考えも変化していく。 ヒトトンボという作者にしか見えない生物との出会いや別れも描かれる。 取り囲む「敵」との闘いも絶え間ない。 なぜここまで狙われるのか、と読んでいて恐ろしくなるほど。 彼女はその闘いによって鍛えられ、作家の中でも代わりのいない存在になれたのかな、とは思った。 静かな誇りが感じられて頼もしい。 私は作家でも何でもないけど、ある程度年を取ったら、自分の生き方や考え方に誇りが持てるようになりたい、と思った。
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こんなにも彼女を突き動かしている感情はむしろ「憤怒」ではなく「哀絶」なのだと思った。先の「ドンキホーテ」に然り「文士の森」に然り、ただただ怒っているのだと誤認していた。 世の中に権力者に時代に、「怒り」を暴力や金、人脈でぶつけているのではなく、「悲しみ」を自分の紡ぎ出す文字だけで...
こんなにも彼女を突き動かしている感情はむしろ「憤怒」ではなく「哀絶」なのだと思った。先の「ドンキホーテ」に然り「文士の森」に然り、ただただ怒っているのだと誤認していた。 世の中に権力者に時代に、「怒り」を暴力や金、人脈でぶつけているのではなく、「悲しみ」を自分の紡ぎ出す文字だけでぶつけているのだ。 水晶は死なない、見限らない。 なんだか、少し泣いた。
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そして!同じく週末に、書店で発見して即買いした笙野頼子の最新刊! ちくまにて連載していたエッセイがまとまったもの(だよね?)。 これも読むの楽しみ! …しかし笙野頼子はだいにっぽん三部作も控えてるんだよねぇ。。
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