世界経済危機 日本の罪と罰 の商品レビュー
たぶん会社でもらってきた本。2008年当時の経済情勢についての解説だが、いま読んでも参考になる。この分野は弱いので、一部は飛ばし読みしてしまったが。折に触れてこういう本を読んでおかないと、すぐついていけなくなりそう。
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世界経済危機という大げさなタイトルだと思っていましたが、この本を読み進めていくうちに、内容を端的に表現されているなと思うようになりました。昨年(2008年)の夏ごろまでは国内海外ともに経済はとても好調だったように思います、ところが、秋以降の展開はいまだに何が起きたのかがわかりませ...
世界経済危機という大げさなタイトルだと思っていましたが、この本を読み進めていくうちに、内容を端的に表現されているなと思うようになりました。昨年(2008年)の夏ごろまでは国内海外ともに経済はとても好調だったように思います、ところが、秋以降の展開はいまだに何が起きたのかがわかりません。 そのために、それらを解説した本を読んでいるのですが、その原因は漠然としています。日本の強みである製造業ばかりに頼っていてはいけない、社会構造を変える必要がある(アメリカ型になるのが良いのか?)という論調の野口氏の意見も今後の日本にとっては重要なのでしょうか。 彼がどれほど日本の製造業の現場を見ているのかが疑問に残るところです。特に、金の価値を基準とすれば、原油・商品の価格があまり変化しなかった(p165)、というのは新たな認識でした。 以下は気になったポイントです。 ・日本もバブルが発生していた、わかりにくいかたちで生じたためにバブルであったこと自体が意識されていない、それは異常な円安である(p15) ・トヨタの場合、1円の円高ドル安は、約400億円の減少、1円の円高ユーロ安は、60億円の営業利益の減収要因となる(p21) ・日本の輸出増は、日本の輸出産業の真の競争力増強によって実現したものではなく、輸出量の拡大と円安によって、日本の輸出産業の価格競争力が実力以上に高まったことによる(p29) ・日本は6850億円の住専処理のときには大騒ぎしたが、10兆円の公的資金の銀行への投入は問題視されなかった、それ以外にも銀行の不良債権処理償却を法人税上損金とみなす処理により、国民は更に39兆円負担している(p45) ・経済学者は、住宅価格の上昇率は賃貸料の上昇率をはるかに上回っているので、バブルと言った(p52) ・アメリカの投資銀行はなくなり、証券業務と商業銀行業務の分離を基本原則としているアメリカの方針は、歴史的な転換となった(p68) ・サブプライム問題は、本来であれば、ファイナンス理論や金融工学を利用して投資対象のプライシングを行うべきであったのに、それをしなかったことにある(p78) ・アメリカが赤字(経常収支)を切り抜けられるのは、アメリカへの資本流入があるから(p91) ・ガソリンに対する税負担率は、日本は44.6%、ヨーロッパは60%に対して、アメリカは12.7%と低い(p96) ・サブプライム問題はいずれ落ち着くだろうが、過剰な住宅を支える税制は、変わっていない(p99) ・アメリカに資金を提供し、そして円安を維持することによってしか、日本の企業は生きられない、この構造は変える必要がある(p105) ・日本の対米投資(682億ドル)、アメリカの対日投資(マイナス485億ドル=引上げ)で、合計1167億ドルが、対日経常収支赤字(1102億ドル)と対応している、日本は経常収支(貿易収支)で、対米黒字を実現して、それを資本取引を通じてアメリカに還流させている(P126) ・円高は、円キャリー取引の巻き戻しであり、外国への投資に向かっていた資金が戻ってきたため(P145) ・1トロイオンスの金価格と、1バレルの原油価格は、10対1の関係がある、金の価値を基準とすれば、原油・農産物も、価格が上昇したわけではない(P165) ・食料自給率はカロリーベースで考えると、野菜・果実は同じ重量でもカロリーが低いことから、価値に比べて低い評価した与えられない、生産額ベースの自給率は70%、鶏卵は生産額ベースでは96%だが、餌(とうもろこし)の自給率が9.7%なので、カロリーベースでは自給率が9%となる(P172) ・食糧問題とは、食料が不足して食料が手に入らなくなることではなく、高くなった食料を買うことができるか、という問題である(P183) ・2008年7月において、東京都内のビックマックは280円、ニューヨークのマンハッタンでは、3,4ドル、これから為替レートを求めると1ドル=82円である(P200)
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リーマンショックが起こった構造、そして日本の構造的な問題。ミクロではなくてマクロ的な視点でリーマンショックを考える必要がある。4年がたち今ヨーロッパ発の経済危機が起きようとしている。歴史は繰り返すというけれど、同じような大きな経済危機が起きたとき、私たちはうまく立ち回れるだろうか...
リーマンショックが起こった構造、そして日本の構造的な問題。ミクロではなくてマクロ的な視点でリーマンショックを考える必要がある。4年がたち今ヨーロッパ発の経済危機が起きようとしている。歴史は繰り返すというけれど、同じような大きな経済危機が起きたとき、私たちはうまく立ち回れるだろうか?、今、試されようとしている。
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サブプライムローン問題、リーマンショックとは何ぞや!という方にお勧めの本。 経済学を知らない一般者向けにわかりやすく説明されている。
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この経済危機はアメリカだけで起こされたわけではない。共犯者がいる。それはアメリカに資金を提供した日本、中国、産油国だ。 これらの国が、USAに対して貿易収支で黒字を計上し、それによって得たドルをアメリカに投資した。つまり資本取引によってアメリカに黒字を還流させた。 日本に関しては...
この経済危機はアメリカだけで起こされたわけではない。共犯者がいる。それはアメリカに資金を提供した日本、中国、産油国だ。 これらの国が、USAに対して貿易収支で黒字を計上し、それによって得たドルをアメリカに投資した。つまり資本取引によってアメリカに黒字を還流させた。 日本に関しては、輸出産業の利益のために無理のある円安を続けてきた。その結果、日本の株価下落はUSAのそれよりも激しい。まさに輸出立国の危機だ。 上記がこの本の論旨。これを様々な統計を使って示している。 住宅バブルかどうかを判断するには、住宅価格の上昇率と平均給与の上昇率を比べてみるとよい。 各章各項に、Pointがまとめられているので、まずはそれを読んでからがよい。また本文は重要な個所は太字で書かれている。 P58 危機の進展年表 P116 マンデルフレミングモデル P112 国民経済計算 P133 量的緩和、非不胎化、円キャリー取引 P142 ミンスキー・モーメント p223 PERの算出に用いられる利益や、PBRの算出に用いられる純資産は過去の値だ。経済情勢が急速に悪化する昨今ではこれらに頼って投資をするのは危険
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金融危機がどのようにして起こったのかということとそれに対して日本がどのようにお金を供給するという形で加担していたかをわかりやすく解説しています。
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アメリカの不動産をてこにした消費過多。 それに乗じて人工的な円安政策で潤っていた日本のものづくり経済。 それらが破綻した今後は日本はどうすればいいのか? どうすればいいんですかね。。。
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尊敬する、野口悠紀雄先生の著書。 サブプライムローンに端を発する世界経済危機、そしてそれに対して日本が荷担したこと(罪)と、今後の展望(罰)について分析されておられる。 野口先生の最も好きなところは、学者としてえらそうに高度な専門知識をひけらかすことなく、平易な言葉で論理的にわか...
尊敬する、野口悠紀雄先生の著書。 サブプライムローンに端を発する世界経済危機、そしてそれに対して日本が荷担したこと(罪)と、今後の展望(罰)について分析されておられる。 野口先生の最も好きなところは、学者としてえらそうに高度な専門知識をひけらかすことなく、平易な言葉で論理的にわかりやすく伝えるその文章。 今回の先生のご専門である分野での著書で、決して簡単ではないが、うまく注釈があったりして、かなり理解できた。 日本の低金利政策が、「円キャリー取引」などの投機マネーを供給し、世界的なバブルを誘因したこと、日本の円安依存の古い産業構造が温存され、構造的な問題として、今後深刻な停滞が起こることを、かなり理解することができた。一部「〜であろう」というところに「なぜ?」を感じたが、それは複雑すぎるマクロ経済を語る上では、仕方のない不確実性なのかなと思ってみたり。 なにより気づきだったのは、本筋ではないが、今後どのような投資をすればいいのかにおいて、自身への教育投資が最も安全かつ効果的であることを書かれていて、目から鱗でした。 働き始めてから、しっかりと資産運用も考えていかなければいけないかなと漠然と思っていたところなので、原点を再認識させていただいた言葉でした。
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今回の金融危機に日本がかなり大きく絡んでいることが分かる一冊。 円キャリーを通じて日本から供給された資金が、世界経済崩壊に無視できないほどに関係しているようだ。 ファイナンス理論が「使われなかった」ことによる、証券化商品の誤ったリスク判断についても言及されている。
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アメリカの過剰消費。それをささえる日本の資金供給。 アメリカだけでバブルをうんだのではなく日本は共犯者というのが主張。 アメリカ人の将来の収益増加期待から借金体質での過剰消費。それによる経常収支の大幅赤字。日本による黒字還流でのサポート。 アメリカの経常収支赤字体質は解決にはほど...
アメリカの過剰消費。それをささえる日本の資金供給。 アメリカだけでバブルをうんだのではなく日本は共犯者というのが主張。 アメリカ人の将来の収益増加期待から借金体質での過剰消費。それによる経常収支の大幅赤字。日本による黒字還流でのサポート。 アメリカの経常収支赤字体質は解決にはほどとおい。したがってこれが解決しないかぎり、金融危機が解決しても次から次にまた危機がやってくる。 転売が巨額の利益を生むのはバブルの典型的特徴。 資産運用については「落ちてくるナイフをつかむな」「大もうけするチャンスより破滅から逃げる」
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