「新冷戦」の序曲か の商品レビュー
発売当時に購入していましたが、本棚の奥の方にしまわれており、今月になってようやく読む機会を見つけました。本書が執筆されていたのが、メドベージェフ大統領が誕生した時期(2008年)と言うことで、現在は再びプーチンが大統領ですから、くしくもタイトルにある「双頭政権」が盤石になっている...
発売当時に購入していましたが、本棚の奥の方にしまわれており、今月になってようやく読む機会を見つけました。本書が執筆されていたのが、メドベージェフ大統領が誕生した時期(2008年)と言うことで、現在は再びプーチンが大統領ですから、くしくもタイトルにある「双頭政権」が盤石になっていることが確認できます。 本書ではロシアの軍事面での動向が、インタビュー、新聞等の記事などをもとに記載されていますが、かなりの情報ソースを用いていること、そこまで軍事特殊用語が出てこないので一貫して読みやすい印象を受けました。またタイトル内には「軍事戦略」とありますが、本書を読んで感じたのは、プーチン、メドベージェフ(特にプーチン)は、軍事戦略を持つものの、それらはきわめて前時代的であり、かつほとんど軍の改革は進んでいない(武器の近代化ですら限定的)、という状況がかいま見られます。プーチンが思い描いているロシア像は、20世紀のソビエト連邦も越えて、19世紀のロシア帝国すら念頭に置いているのではないか、という説は説得力があります。ロシアの隣国(かつ小国)は本当に大変だなということでしょうか。日本は北方領土問題を抱えていますが、ロシアと陸地で領土が接していないのはきわめて幸運であると考えるべきでしょうね。海洋国家でつくづく良かったと。 このように全般的には読みやすい文章で、示唆に富んでいましたが、唯一難癖をつけるとしたら表紙でしょうか。赤色の背景にプーチンとメドベージェフの強面が映し出されていて、この表紙はいくらなんでもやりすぎだろうと。中身はそこまでホラーではない(むしろ客観的事実に基づいている)のに、この表紙を見ると、うさんくさい雰囲気が相当漂いますね。
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