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漢字の文明 仮名の文化 の商品レビュー

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2011/06/05

よんでおもわずうなるほどの、奇書である。 しかし、内容な非常にまっとうであり、ひさしぶりに世界観を変えられるほどの衝撃を味わった。 まず、日本語は中国語の方言である。この言い方に何があれば、私による補足だが、「日本語は中国語の方言としてスタートした」「日本は中国の一辺境地域...

よんでおもわずうなるほどの、奇書である。 しかし、内容な非常にまっとうであり、ひさしぶりに世界観を変えられるほどの衝撃を味わった。 まず、日本語は中国語の方言である。この言い方に何があれば、私による補足だが、「日本語は中国語の方言としてスタートした」「日本は中国の一辺境地域としてスタートした」 古代より綿々と続く日本語や日本文化があり、その音に文字(漢字)をあてはめ、それがくずされて仮名になったのではない。 「古来より綿々と続く日本」という実態そのものがなかった。それは本居宣長のつくったフレームに過ぎない。 縄文晩期の人口が推定75000人。古墳時代には540万人。もちろん、自然増ではありえない。 ほとんど人が住んでいなかったような土地に、大陸から人が渡ってきて住み着いたわけであり、そこで話されていた言語は、とうぜん中国語というわけだ。 その後日本が政治的に独立するにつれ、仮名文字や和歌が成立し、そういった書き言葉が話し言葉に流出する形で、日本語が成立した。 なんというか、非常にキツイことをいっているし、それは承知の上で書いているのだろうけど、非常に明快であった。 「日本古来の/固有の」というのは非常に胡散臭い言い方だと思っていたし、 現代的な脱近代的思想(というよりも願望)を縄文とか「森の文化」とかに安直に投影するのは、愚かしいと思っていた。 それに、渡来人って何語でしゃべっていたんだ? なんで日本語と朝鮮語はぱっかりと言葉が分かれているんだ? 政治体制がことなるにつれて別れていったと考えるほうが自然だし、そうだったら、7世紀ぐらいまでは、日本でも朝鮮でもほぼ同じ言葉を話していたと考えるほうが妥当だろう。それは原日本語とか原朝鮮語とかで、それはどっちがオリジンだというよりも、辺境中国語と考えるほうが道理にあっている。 少なくとも、支配階層は。 最終的な作者の主張とか、考え方には同意できない部分も多いにあるが、 日本語の形成過程、話し言葉に対する書き言葉の優位性については、 まったくもってリーズナブルである。

Posted byブクログ