文明開化に馬券は舞う の商品レビュー
思いっきり学術書なので、正直、通読するのは辛かったのですが。 しかし、本書に示された、競馬に対する視座は画期的で、とてもスリリングでした。 かく、盛大に、国家的プロジェクトとして存在した不忍池競馬が何ゆえ、人々の記憶から、正史から抹殺されたのか、これは、現存どころかその正確な図面...
思いっきり学術書なので、正直、通読するのは辛かったのですが。 しかし、本書に示された、競馬に対する視座は画期的で、とてもスリリングでした。 かく、盛大に、国家的プロジェクトとして存在した不忍池競馬が何ゆえ、人々の記憶から、正史から抹殺されたのか、これは、現存どころかその正確な図面すら残されていない鹿鳴館の抹殺にもつながる、日本近代史に通底するテーマを含むといって過言ではないと思います。 続編にも期待。
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一見して辞書辞典の類かとも思ってしまうような厚手の装丁。これでもまだまだ著者にとってはシリーズ第一歩だというんだから恐ろしい。 ひとまず本書では横浜の居留地競馬と戸山・上野の競馬を中心に、その華やかな世界と、そこに秘められた近代日本の文明開化への執念を見る。そして居留地競馬に...
一見して辞書辞典の類かとも思ってしまうような厚手の装丁。これでもまだまだ著者にとってはシリーズ第一歩だというんだから恐ろしい。 ひとまず本書では横浜の居留地競馬と戸山・上野の競馬を中心に、その華やかな世界と、そこに秘められた近代日本の文明開化への執念を見る。そして居留地競馬における中国馬派と日本馬派の争いを通じて、日本の馬産の「開国」へと続く初期史を追っていく。最後には、厖大な新聞資料に基づいて調べられたこの時代の名馬達が紹介される。 圧倒的な情報を元に綴られるその骨太な歴史像は、著者の熱意と労苦をただただ感じさせる。もはや従来の競馬本の範疇を超え、日本初の人文学分野における競馬学術書といってもよい大著だろう。
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