人間の運命 の商品レビュー
ロシアのノーベル文学賞受賞作家による短編集。表題作は戦争の悲惨さを描きつつもヒューマニズムに溢れた感動作。一方で「子持ちの男」はかなり救いようのない、トラウマになるような作品。一冊の本の中に光と闇が混在してるよう。
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これは嬉しい文庫の新版です。初版が1960年ですから、約50年ぶりと言うことになりますね。 ナショナリズムとの関連で語られることの多いショーロホフ(旧ソ連の文豪。ノーベル文学賞受賞)ですが、社会科学と違って、文学には、流派はともあれ、人間そのものを見つめる姿勢があることを本短...
これは嬉しい文庫の新版です。初版が1960年ですから、約50年ぶりと言うことになりますね。 ナショナリズムとの関連で語られることの多いショーロホフ(旧ソ連の文豪。ノーベル文学賞受賞)ですが、社会科学と違って、文学には、流派はともあれ、人間そのものを見つめる姿勢があることを本短編集から感じました。 共産主義や原理主義的宗教にありがちな人間に優越するイデオロギーは、微塵も感じられませんし、もちろん「断罪」もありません。決して繊細ではありませんが、ロシア文学に通底するごつごつとして素朴な人間像がそこにはあります。あのソビエトでよくぞこのような文章が書け、また、大衆や党執行部が受け入れたとしみじみ思います。 人間は悪にも正義にもなりうること。良心の呵責はどこまでも背負わなければならないこと。決して読みやすい小説ではありませんが、体当たりする価値のある作品集だと思います。
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ノーベル文学賞作家、ショーロホフによる短編5編。 (ちなみに「静かなるドン」とか書いてる作家。残念なことに初めて聞きましたが) この本に行きつくきっかけは、 「ぼくらの頭脳の鍛え方」 (文春新書)/立花 隆・佐藤 優 で、佐藤優氏の推薦により。 表題の「人間の運命」、 ...
ノーベル文学賞作家、ショーロホフによる短編5編。 (ちなみに「静かなるドン」とか書いてる作家。残念なことに初めて聞きましたが) この本に行きつくきっかけは、 「ぼくらの頭脳の鍛え方」 (文春新書)/立花 隆・佐藤 優 で、佐藤優氏の推薦により。 表題の「人間の運命」、 「夫の二人いる女」 「子持ちの男」 「るり色のステップ」 「他人の血」の5編。 すべてがすべて、ハッピーエンドなわけじゃない。 基本的に、きれいな描写でもない。 でも、すべて読み終わった後に、きれいな爽快感。 ・・・・爽快感というより、「うん。」ってうなずける、すっと入ってくる。 中でも、「子持ちの男」が1番好きです。 ロシアという国や、共産党といった特殊性は正直、わかりません。 でも、この小説では、 その土地を愛すること、 何が自分にとって譲れないものなのかを、 疑似体験とまではいかなくても、のぞくことはできることはできると思います。 米川正夫氏、漆原隆子氏の訳も素敵です。 無人島に、1冊持っていくなら、この本かもしれません。
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短編集。最後の「他人の血」なんかが特に読みにくいと思った。 ホントにロシアの人はウォッカ好きだな 笑
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