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城のなかの人 の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2023/06/09

SFの印象が強い星新一の歴史小説集ということで気になりよんでみた。戦国最後の戦から始まり江戸時代の3つのエピソード、最後に幕末の動乱の始まりが語られる時系列に沿った配列になっている。  表題作である「城のなかの人」特に気にいった豊臣秀頼の生涯を描いた小説だ。激動ながらも静かな秀...

SFの印象が強い星新一の歴史小説集ということで気になりよんでみた。戦国最後の戦から始まり江戸時代の3つのエピソード、最後に幕末の動乱の始まりが語られる時系列に沿った配列になっている。  表題作である「城のなかの人」特に気にいった豊臣秀頼の生涯を描いた小説だ。激動ながらも静かな秀頼の人生を、彼と関わった様々な人々と共に書く。凄まじい筆力と構成で生み出される静かな戦国大名の一生には色んな意味で圧倒されるものがある。特に最終章「秀頼」は壮絶な迫力があった。最後の章が秀頼の祟りといわれた将軍の変わりようにより残念な結末を迎えた幕末の英雄というのもひねられた終わり方だ。平穏と改革の物語の対比にもなる。

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2023/03/20

豊臣秀頼と大坂城の話「城のなかの人」。貴族的な秀頼の視点で静かに物語が進む。 幕末の小栗上野介忠順が主人公の「はんぱもの維新」。ショートに小栗の人生を振り返る。

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2023/01/07

親に勧められたので読んでみた。星新一の小説は初めて読むが、時代小説なので、史実にどれだけ沿っているかは分からないが、こうなってたらドラマチックだなと感じる内容だった。

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2022/05/22

星新一氏の歴史物は初めて。本人の自伝的要素もあるという表題作については、星新一氏のことをよく知らないのでなんともいえないが、秀頼の考えとして、あり得る話だし、面白いと思った。由井正雪と文左衛門の想像力などはさすが。

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2022/03/06

星新一のショートショートはかなり読んでるが、時代小説は初めて読んだ。 「城の中の人」城の中が全世界だった秀頼を、秀頼視点で描く。 「周りの者が自分を見る眼は"旗印"を見る眼だ」という秀頼の思いは、星製薬の御曹司だった星新一(浅場通明「星新一の思想」)の思いとも...

星新一のショートショートはかなり読んでるが、時代小説は初めて読んだ。 「城の中の人」城の中が全世界だった秀頼を、秀頼視点で描く。 「周りの者が自分を見る眼は"旗印"を見る眼だ」という秀頼の思いは、星製薬の御曹司だった星新一(浅場通明「星新一の思想」)の思いとも通ずるのだろう。 「はんぱもの維新」司馬遼太郎の歴史小説の維新とはまったく異なる維新像。対局的な見方をすればこうだったのかな。 面白い。読んでよかったです。

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2021/03/30

星新一さんといえば、SFのイメージがありますが、本書はそんな星さんの珍しい(?)時代モノ短編集です。 5編が収録されていますが、どの話も展開の絶妙さといいますか、持っていき方が上手くて、皮肉の効いたオチとなっております。 第四話「すずしい夏」は、内容的に結構残酷で、正直、地獄なの...

星新一さんといえば、SFのイメージがありますが、本書はそんな星さんの珍しい(?)時代モノ短編集です。 5編が収録されていますが、どの話も展開の絶妙さといいますか、持っていき方が上手くて、皮肉の効いたオチとなっております。 第四話「すずしい夏」は、内容的に結構残酷で、正直、地獄なのですが、展開の仕方が巧みなので、こんなに酷い話をサラっと読ませてしまうというところに不思議と感心してしまった次第です。 個人的には、表題作「城のなかの人」が好きでした。戦国最後の貴公子・豊臣秀頼の生涯が描かれているのですが、秀頼の特殊な育ち方故の繊細さが、淡々とした描写だからこそ伝わってくるものがあって、秀逸だと思いました。

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2018/01/08

SFの巨匠として名高い星新一の時代小説を集めた作品集。戦国時代の終焉を豊臣秀頼の視線で描いた「城のなかの人」から開幕し、奇妙な親子関係が織りなす成り上がりストーリィ「春風のあげく」、時代劇の悪役の定番・由比正雪に意外な人物がからむ「正雪と弟子」、SFショートショートに近い味わいを...

SFの巨匠として名高い星新一の時代小説を集めた作品集。戦国時代の終焉を豊臣秀頼の視線で描いた「城のなかの人」から開幕し、奇妙な親子関係が織りなす成り上がりストーリィ「春風のあげく」、時代劇の悪役の定番・由比正雪に意外な人物がからむ「正雪と弟子」、SFショートショートに近い味わいを持つ「すずしい夏」を挟んで、佐幕派のやり手官僚:小栗上野介忠順の目から幕末の世を見つめる「はんぱもの維新」で幕を閉じる。どの話も、人が泡沫のように浮かんでは消える歴史の虚しさと、星新一特有の冷徹な描写とが、見事にシンクロしていた。

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2017/11/20

星新一の歴史小説短編集。てっきりどこかでSFの入ってくる、「竹取物語」みたいな話かと思いきや、思いの外真面目に史実に基づいた歴史小説で驚いた。 秀吉の亡くなった後の、世間知らずの秀頼、正雪と紀伊国屋文左衛門、小栗忠順のかなり真面目(でもオリジナルでひねくれくれた解釈)の一生。あ...

星新一の歴史小説短編集。てっきりどこかでSFの入ってくる、「竹取物語」みたいな話かと思いきや、思いの外真面目に史実に基づいた歴史小説で驚いた。 秀吉の亡くなった後の、世間知らずの秀頼、正雪と紀伊国屋文左衛門、小栗忠順のかなり真面目(でもオリジナルでひねくれくれた解釈)の一生。あと2本は固有名詞も曖昧なため、おそらくオリジナルの架空の歴史小説。 歴史小説のとっつきにくい点、早い話が独特な言葉遣いを 徹底的に排し、「チャンス」や「メリット」なんていう現代口語的なわかりやすい言葉で書き表されており、歴史小説が苦手なワタクシのような人にも非常にわかりやすい。 また、史実が背景にあるため、辻褄がうまくあわずにとにかくすすめるために、読者そっちのけで進む歴史小説が多い中、本書に収録されている話は非常にコンパクトで登場人物も絞られているため、多少最初に読み飛ばしてしまったとしてもすぐに何が主題であるかがわかる。 ただ、星新一のいつものノリを期待すると小栗忠順の「ろくなやつがいない」の繰り返し以外はえらく真面目だなあと思ってしまうわけで、架空の小説に、それっぽいSFを織り込んでくれたら良かったのになと思うのはぜいたくか?

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2016/05/28

短編やSFで有名な著者の歴史小説。これがまた面白い。どうしてかというと、SF短編と同じく一本のテーマが軸として物語をしっかりと貫いているからだ。それゆえに横にそれず救われない物語もあるのにある意味爽快感を味わえるという一冊。また、時代の空気や人の繋げ方が見事で、こう来たのかと唸ら...

短編やSFで有名な著者の歴史小説。これがまた面白い。どうしてかというと、SF短編と同じく一本のテーマが軸として物語をしっかりと貫いているからだ。それゆえに横にそれず救われない物語もあるのにある意味爽快感を味わえるという一冊。また、時代の空気や人の繋げ方が見事で、こう来たのかと唸らされる。

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2016/05/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

星新一が歴史ものも書いていたなんて知らなかったのでとても楽しめました。いやはや内容は残酷で悲しいのですが。秀頼が主人公の「城のなかの人」が一番好きです。とても静かな大坂の陣。ちょっとした秀頼の言葉に切なくなります。「すずしい夏」の残酷さも嫌いではないです。「はんぱもの維新」に榎本武揚が出てきてくれたのがうれしい!大坂の陣から始まり維新で終わる、歴史の虚しさを感じました。

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