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陰獣 の商品レビュー

4.3

24件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

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2024/05/10

『陰獣』というタイトルから、すごいエログロなのではないかと心配したけど全くそんな話ではなかった。 結末が二転三転して、自分の想像を遥かに超えた最高のミステリーだった。 読み終わった後にもう一度読んで確認したくなる本。 『人間椅子』『屋根裏の散歩者』『D坂の殺人事件』などの要素が...

『陰獣』というタイトルから、すごいエログロなのではないかと心配したけど全くそんな話ではなかった。 結末が二転三転して、自分の想像を遥かに超えた最高のミステリーだった。 読み終わった後にもう一度読んで確認したくなる本。 『人間椅子』『屋根裏の散歩者』『D坂の殺人事件』などの要素が少しずつ入っていて、乱歩総集編のような、ファンサービスのような作品。 あらすじ 探偵小説家の寒川は、実業家小山田の妻の静子と偶然知り合った。静子は平田一郎という元恋人にストーカーされて悩んでいる。脅迫通りに静子の夫は殺されてしまう。 平田はどこにいるのか探る寒川。しかし、そこには思いもよらない驚きの真相があった…。 Audibleにて(本棚の表紙とは違う)。

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2023/11/22

①陰獣 個人的にかなり好きかもしれない 乱歩が自分の作品のパロディやってるのちょっと笑った。2転3転して最終的にすっきりと思いきや、最後が...微妙に後味悪くて、そこがまた良い!

Posted byブクログ

2021/08/31

「江戸川乱歩ベストセレクション4」 「陰獣」「蟲」の2本収録。 内容もさることながら、もうタイトルが妖しい。 江戸川乱歩の小説がたくさん、そして同じ作品が何度も映像化されている理由が読むととてもよく分かる。陰鬱で湿っていて、じわじわと何かが迫り来るような独特な雰囲気が、映像化へと...

「江戸川乱歩ベストセレクション4」 「陰獣」「蟲」の2本収録。 内容もさることながら、もうタイトルが妖しい。 江戸川乱歩の小説がたくさん、そして同じ作品が何度も映像化されている理由が読むととてもよく分かる。陰鬱で湿っていて、じわじわと何かが迫り来るような独特な雰囲気が、映像化へと掻き立てられるのだと思う。 「陰獣」は探偵小説を書く主人公の寒川が、資産家夫人の静子という女から「かつて捨てた男から脅迫状が届いた」と助けを求められるところから物語が始まる。差出人は人気探偵作家の大江春泥。静子の美しさと春泥への興味から、寒川は出来るだけの助力を約束してしまう。 そんなある日、静子の夫である小山田の変死体が発見される。 静子の肩口には謎のミミズ腫れがあり、そのグロテスクな様に寒川が妙に惹かれるという描写がある。そのミミズ腫れの理由や静子の不思議な色香、そして追いかけても逃げていく陽炎のような犯人像。 ラストが蛇足だとも言われている作品らしいけれど、はっきりと答えが出ないままの終焉がこの作品の怪しさの余韻になっていて、私は嫌いではない終わり方だった。 そして「蟲」 極端な人見知りである柾木という男が、かつての同級生で今や売れっ子女優となった木下芙蓉を愛し、独占欲に駆られてひとつの事件を起こしてしまうのだが、「陰獣」以上に妖しさ満点。 美しいものもいつしか朽ちていく。その事実に耐えられなかった柾木が起こした行動とは。 江戸川乱歩の作品は、ミステリでもその謎を解くところがいちばんの醍醐味ではないように思う。自然と目に浮かんでくる情景は、自分なりの映画になっている気さえする。

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2022/11/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「陰獣」と「蟲」の2篇。 陰獣。探偵小説だが、一捻り二捻りが加えられている。依頼者と恋仲になるというところ。事実関係が一転し、逢瀬を重ねていた彼女を犯人と糾弾するところ。そして最後の章、苦悩に苦しむところ。 犯人側の心情を細やかに描写することで人の心を持っている一介の人間だと強調する。一方で探偵に淫らな行為をさせたり苦悩に苦しませたりするなど正義を与えないこともある。一筋縄ではいかないところが彼の作品の良さではないか。 蟲。厭人性の男が人間関係の中で失敗を重ね、恋と恨みとその他を溢れかえさせるもの。一貫して男の立場から描かれている。彼のしたことは常軌を逸しており微塵も共感の余地のない残虐極まる行為だが、そこに至る彼の動機の一つ一つは理解できる。いや自分が共感してしまうものも多くあり、恐ろしく感じた。

Posted byブクログ

2020/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

二作品とも魔性の女と翻弄される男性の話、化物屋敷のような土蔵での一時の愛とその終わり。 芍薬の花束の中に隠れた乗馬鞭、うなじから覗くミミズ腫れ、締切った土蔵で物言わぬ恋人に語りかけ続ける男、フェチが山盛りで飽きない。 寒川は途中で恋の夢から正気にかえりそれを悔やんでいるそぶりもあったけれど、柾木は孤独な陰獣の性根のまま、恋人の腐敗にも蟲にも負けず執着し続けこの世から退場してるさまがなんとも対照的で好き。

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2020/02/09

気違い、この本で何度も出てきた言葉だが、2作ともその言葉が当てはまる異常な世界観があった。 江戸川乱歩は、芋虫を昔読んだことがあるだけで、初めて2作一気読みをした。 陰獣は、二転三転していく様がミステリー要素満載で、とても面白かった。きっと小中学生の時に読んでいたら理解できないよ...

気違い、この本で何度も出てきた言葉だが、2作ともその言葉が当てはまる異常な世界観があった。 江戸川乱歩は、芋虫を昔読んだことがあるだけで、初めて2作一気読みをした。 陰獣は、二転三転していく様がミステリー要素満載で、とても面白かった。きっと小中学生の時に読んでいたら理解できないような人の性癖が出ており、その欲に対する貪欲さが恐ろしかった。 蟲は、一定の常識では理解できない異常な愛に包まれていた。 この作品は、考察したら楽しそう。 人間の本質は、もしかしたら誰にでもこうした気違いさがあるのかもしれない。 もっと乱歩の作品が読みたくなった。

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2019/08/09

「蟲」が読みたくて再読。 陰獣がいちばんすきなんだけど、 乱歩の中でもかなり良作でビギナーにもおすすめな「陰獣」といちばんの変態作である「蟲」を一緒に収録するか!?角川よ!と思ったのだが(盲獣、闇に蠢くあたりも相当に変態だが)。まあお得ではあるかな。 「悪魔の恋であった。地獄...

「蟲」が読みたくて再読。 陰獣がいちばんすきなんだけど、 乱歩の中でもかなり良作でビギナーにもおすすめな「陰獣」といちばんの変態作である「蟲」を一緒に収録するか!?角川よ!と思ったのだが(盲獣、闇に蠢くあたりも相当に変態だが)。まあお得ではあるかな。 「悪魔の恋であった。地獄の恋であった。それゆえに、この世のそれの幾層倍、強烈で、甘美で物狂おしき恋であった。かれはもはや芙蓉のなきがらと別れるにしのびなかった。彼女なしに生きていくことは考えられなかった。この土蔵の厚い壁の中の別世界で、彼女のむくろとふたりぼっちで、いつまでも不可思議な恋にひたっていたかった。」(「蟲」より) …なんか切なくなる。

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2018/10/29

高校1年のときに夢中になって読んでた。表題の淫獣は非常に面白かったと記憶している。エロとサスペンスのバランスが絶妙で長さもコンパクトにまとまっていてたはず。 あんまし、内容は覚えてないや。

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2018/02/06

なかなか完成度の高い中編集だと思いました…! ヽ(・ω・)/ズコー 個人的にはやはり表題作である「陰獣」の方に軍配が上がるでしょうか…。「蟲」も悪くはないんですけれども、解説にもある通り、乱歩自身の人格分裂みたいな…人間は一個体だけれども、その中に複数の性格を所有している…...

なかなか完成度の高い中編集だと思いました…! ヽ(・ω・)/ズコー 個人的にはやはり表題作である「陰獣」の方に軍配が上がるでしょうか…。「蟲」も悪くはないんですけれども、解説にもある通り、乱歩自身の人格分裂みたいな…人間は一個体だけれども、その中に複数の性格を所有している…そのせいでの悩み…みたいなものが「陰獣」には描かれているようで、そこに僕は関心を寄せましたねぇ…社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー 「蟲」も蟲でまた何とも気持ちの悪いお話ではありますけれども…読者にそういった想像を起こさせる乱歩の筆力にはまさに脱帽であります…! さようなら…。 ヽ(・ω・)/ズコー

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2017/07/15

H29.07.15 読了。 前々から気になっていた作品。 Amazon Kindleを購入し、全集を買ったのでまず読んでみた。 乱歩が乱歩作品のパロディをやっているという、そんな昔からそういった手法があった、ということが斬新だと思った。 ただ、個人的に乱歩氏の作品でマイナス...

H29.07.15 読了。 前々から気になっていた作品。 Amazon Kindleを購入し、全集を買ったのでまず読んでみた。 乱歩が乱歩作品のパロディをやっているという、そんな昔からそういった手法があった、ということが斬新だと思った。 ただ、個人的に乱歩氏の作品でマイナスだと感じるところは、 二転三転、とどんでん返しがすごいのは良いのだけれども、 だらだら長いよ!とだれてしまうところが結構ある点。 短編が良いよね。 タイトルの陰獣って、もっとエログロな展開なのかと思っていた。 「淫」獣ではないことに、あとがきを読んで気付いた。 新しめの文庫本だと、表紙がいやらしいので、「淫」だと勝手に思っていた。 ストーリー自体は、まさにパロディ作品って感じなので、そんなにだった。

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