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時を巡る肖像 の商品レビュー

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2012/11/25

絵画修復士の御倉瞬介を主人公とした美術系ミステリ。ガチガチのトリック→ロジックというよりは、医学や化学の理論を用いた設定や、美術家の情や業がメインとなった作品集といった印象。 『ピカソの空白』 事件の設定自体よりも、冷泉朋明の性格が一番の謎となっている作品。 『『金蓉』の前の二人...

絵画修復士の御倉瞬介を主人公とした美術系ミステリ。ガチガチのトリック→ロジックというよりは、医学や化学の理論を用いた設定や、美術家の情や業がメインとなった作品集といった印象。 『ピカソの空白』 事件の設定自体よりも、冷泉朋明の性格が一番の謎となっている作品。 『『金蓉』の前の二人』 自画像を中心として、人としての業が描かれている。 『遺影、『デルフトの眺望』』 ダイイングメッセージは知識がないと解けないけど、それを残そうとした男の感情が心を暖かくさせる。 『モネの赤い睡蓮』 謎解きの場面までに描かれた些細な描写が手がかりとなってくる、直球の謎解き。なのだけど、心に残っているのは藤崎ナツの複雑な心情。 『デューラーの瞳』 トリックも非情に魅力的なのだけど、やはりこれも登場人物の複雑な心情が一番の魅力になっている。

Posted byブクログ