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約束の地 の商品レビュー

4.3

22件のお客様レビュー

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2012/09/05

30冊ぶりの5つ★。文学賞をダブル受賞しているのにも拘わらず、何故売れないのだろう?表のテーマは人間と野生動物の共生。害獣捕殺、棲み分け、無条件保護の三者三様の立場が描かれる。一方、裏テーマは消えゆく里山文化への挽歌。山の神になりそびれた稲妻、三本足と老猟師との共通項は『老人と海...

30冊ぶりの5つ★。文学賞をダブル受賞しているのにも拘わらず、何故売れないのだろう?表のテーマは人間と野生動物の共生。害獣捕殺、棲み分け、無条件保護の三者三様の立場が描かれる。一方、裏テーマは消えゆく里山文化への挽歌。山の神になりそびれた稲妻、三本足と老猟師との共通項は『老人と海』にも通底する“滅び”。そして老人の方割れとも言える老紀州犬 吹雪の存在!作中で老人が「犬と人の歴史は長い。」と呟く。思わず、遥か昔の人類と犬との出会いと、共に歩んで来た、その長い道程に想いを馳せる。犬は我々にとって初めての友人。 ネタばれになりはしないかと迷ったがミステリではないので少し補足しておく。“三本足”が山の神になりそびれたと書いたが、実は最後に荒ぶる神となる。一神教的な全知全能の神ではなく、善悪を超越した荒れ狂う自然の化身としての神。著者の略歴を見ると私と同年生まれである。まさか”三本足”のモデルは大魔神ではあるまいか?そんな訳ないよね。^^;最初は北林一光の『ファントム・ピークス』と同じネタかと思い、“三本足”の正体が明らかになった時は「そんなアホな!」と呆れたけど、いやいやどうして知らぬ間に引き込まれました。大傑作! http://www.youtube.com/watch?v=-uatPJ7ddjY 先日読んだ北林一光著『ファントム・ピークス』の人間とヒグマの悲劇的な遭遇に触発され、9月は【人間と野生動物の共生】をテーマに読んでみることにする。先ずはこのテーマに真っ向から立ち向かった作品から。 2012年09月01日

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2012/08/16

夏休みらしく、いつもの本の類を離れてみる。。。環境省の官僚が山梨の野生鳥獣保全管理センターの支所長として赴任して、任期2年のはずが、そのまま狩猟の資格もとって、管理官として定住を決意する。。。都会のサラリーマンを離れて、山暮らし、というのも悪くない。。。

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2012/01/17

読みにくい本だった。山岳モノとか、自然モノって結構描写力が大切だと思うのですが、この作者にはそれが感じる事ができなかった。 なので、世界に入れなかったし、引き込まれそうになっても、???っていう描写されると冷めてしまう。 ==================== 尾根から水を飲み...

読みにくい本だった。山岳モノとか、自然モノって結構描写力が大切だと思うのですが、この作者にはそれが感じる事ができなかった。 なので、世界に入れなかったし、引き込まれそうになっても、???っていう描写されると冷めてしまう。 ==================== 尾根から水を飲みに降りてきた、シカらしい動物の足跡がいくつか、雪に点々と続いていた。チョコボールのようなコロコロしたものは糞だろう。 ==================== とか、間抜けな描写されると、脱力してしまいました。 何度か脱落しそうになったが、一度読み始めた本は読みきる事にしているので、キツいながらもがんばりました。 ミステリーも平凡で、2時間ドラマのような展開と薄っぺらい台詞の応酬にうんざりのラストでした。 「意味のない死なんてない」「死は克服するんじゃなくて共に生きるもの」 なんか、とにかくコッ恥ずかしい感じ満載の人間ドラマを味わいたい人にだけ、オススメします

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2011/12/11

放り出しちゃった伏線とか、納得いかない登場人物の振る舞いとか、完成度は高いとはいえないけれど、それでも思いのほか面白かった。悪役がわかりやすく憎たらしい。

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2011/03/26

八ヶ岳、南アルプスの麓に転勤してきた環境省キャリア官僚の葛藤。 野生鳥獣保全管理センター(WLP)を舞台にした野生動物と人間、人間同士の対立と協調の物語。 環境破壊により突然変異した寄生虫。寄生虫に蝕まれてゆく山の主。主を追い続ける老齢猟師。ヒステリックな動物愛護団体。さらに...

八ヶ岳、南アルプスの麓に転勤してきた環境省キャリア官僚の葛藤。 野生鳥獣保全管理センター(WLP)を舞台にした野生動物と人間、人間同士の対立と協調の物語。 環境破壊により突然変異した寄生虫。寄生虫に蝕まれてゆく山の主。主を追い続ける老齢猟師。ヒステリックな動物愛護団体。さらに同僚の不審死がからみ犯人探しが始まってゆく。 『男たちの十字架』『光の山脈』に続く南アルプスを舞台にした小説です。

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2011/02/18

八ヶ岳の麓が舞台と言うだけでワクワクします。野生動物と人との関わり方、人と自然との関わり方について深く考えさせられました。主人公の成長物語という側面もあるのですが、それについては少しできすぎに感じたので★一つ減らしました。

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2011/09/30

 野生動物被害を調査し対応する公的機関「野生鳥獣保全管理センター」。その八ヶ岳支所に出向した環境省エリート役人、七倉が主人公。物語は、野生動物にまつわる問題を様々な視点から浮き上がらている。山の主である巨大化した熊や猪。規制に縛られ不満が今にもはじけそうな猟師たち。作物被害に嘆き...

 野生動物被害を調査し対応する公的機関「野生鳥獣保全管理センター」。その八ヶ岳支所に出向した環境省エリート役人、七倉が主人公。物語は、野生動物にまつわる問題を様々な視点から浮き上がらている。山の主である巨大化した熊や猪。規制に縛られ不満が今にもはじけそうな猟師たち。作物被害に嘆き悲しむ農家。ヒステリックとも思える動物愛護団体。対応に追われる「野生鳥獣保全管理センター」の職員。大人社会の影響により起こる子供のいじめ。そして、ゆがんだ心が生み出した事件。 野生動物と人間の関係をあらためて考えさせられた。本書は問題点を様々な角度からみせてくれる。物語として綴られているためわかりやすい。現実社会でも調査捕鯨に対するシーシェパードとか、まぐろの漁獲規制とか、いろいろと騒がれている。難しい問題で、喧嘩腰になるのもわからないではない。それぞれの主張がどういうものであるのかを知る必要があるのはわかった。利害関係もある。この小説を読んで、そんなことを考えた。主人公の七倉は都会から山に赴任し、大変な出来事に直面するが、不思議と心は高揚している。コンクリートの都会より、自然が向いていたということか。否そんな単純でない何かが自然にはあるということだ。もちろん、自然の力に本書を読んであらためて気づいたわけではないが、経済の悪化した現在、効率を極めようとする窮屈な社会では、自然の中の生活に今まで以上の何かを求めてしまう。第12回大藪春彦賞第27回日本冒険小説協会大賞  

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2010/04/05

八ヶ岳野生鳥獣保全管理センターに赴任した七倉と孤独癖のある、その娘羽純の物語。 クマなどの野生動物とどのように共存していくのか、保護派や駆除派との対立や上層部からの圧力、余所者への排他的な態度・・・いろいろな問題に直面しながら成長し、周りに受け入れられていく様子が描かれている。 ...

八ヶ岳野生鳥獣保全管理センターに赴任した七倉と孤独癖のある、その娘羽純の物語。 クマなどの野生動物とどのように共存していくのか、保護派や駆除派との対立や上層部からの圧力、余所者への排他的な態度・・・いろいろな問題に直面しながら成長し、周りに受け入れられていく様子が描かれている。 文章も堅苦しくなく読みやすいし、なにより、登場人物が皆、リアルで説得力があり共感できる。

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2009/12/23

力作。 環境破壊、野生生物の存続、それにまつわる政治的駆け引き、さらにはキャリア公務員の複雑な心裡に、子供社会のいじめなどに至るまで、たくさんの要素が詰め込まれている故に消化不良の印象もあって、完成度という点においては完璧ではないかもしれないが、読み応えはあるし、充分に意味のある...

力作。 環境破壊、野生生物の存続、それにまつわる政治的駆け引き、さらにはキャリア公務員の複雑な心裡に、子供社会のいじめなどに至るまで、たくさんの要素が詰め込まれている故に消化不良の印象もあって、完成度という点においては完璧ではないかもしれないが、読み応えはあるし、充分に意味のある問題提起を行っていると思う。 ただ、基本的にこの作者の文章は悪くはないと思うのだが、ところどころであまりに不自然な会話のやりとりがあったり、適切とは言い難い語彙の選択や文脈が散見されたりといったところが残念。 気分にむらがあるのかな?

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2009/10/07

全510ページ...途中で何度も何度もヤバいと 思った...。だからゆっくりと時間をかけて読んでいたのに...。 454ページからはもう涙が止まらない。 ここまで我慢をしながら読んでいた分、余計に 堰を切ったように泣きっぱなし...。 全ての人物が愛しいし、ストーリーとしても ...

全510ページ...途中で何度も何度もヤバいと 思った...。だからゆっくりと時間をかけて読んでいたのに...。 454ページからはもう涙が止まらない。 ここまで我慢をしながら読んでいた分、余計に 堰を切ったように泣きっぱなし...。 全ての人物が愛しいし、ストーリーとしても 本当に申し分のない作品。こういう世界感には 本当に弱いんだなぁ...。不器用だけど本当に男くさくて 優しくて...。 神々の山嶺を思い出してしまった。 個人的な2008年度ベスト!!

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