「愛」と「性」の文化史 の商品レビュー
文学や芸術の中に、「愛」と「性」にまつわる日本人の心性史をたどる試みです。 著者はまず、近世における春画や人情本についての分析をおこない、近代以前の「色事」に「現世離脱欲」というスピリチュアルな含意があったことを明らかにしていきます。次に、一夫一婦制が倫理的とされるようになった...
文学や芸術の中に、「愛」と「性」にまつわる日本人の心性史をたどる試みです。 著者はまず、近世における春画や人情本についての分析をおこない、近代以前の「色事」に「現世離脱欲」というスピリチュアルな含意があったことを明らかにしていきます。次に、一夫一婦制が倫理的とされるようになった近代日本へと議論の舞台は移され、与謝野晶子や谷崎潤一郎らの作品を取り上げ、「恋愛」と「性欲」という観念が果たした規範的役割についての考察が展開されています。さらに、やや簡潔ではありますが、心中や貞操、老人と性といった現代的なテーマについても触れられています。 『遊女の文化史』(中公新書)や『恋愛の起源』(日本経済新聞社)といったこれまでの著者の作品に比べると、テーマを広げすぎてやや散漫な印象があります。現代における貞操や老人の性といった問題は個人的にも関心がありますが、著者自身がどのような社会学視点を採用しているのかはっきりしないため、どうもすっきりとした見通しが得られないように感じてしまいました。
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芸術・文学作品内での表現を中心に、古代(一応)~現代までの色恋について分析されている。が、メインは江戸から明治にかけての「愛」と「性」の分離について。
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分割されていく恋愛-『「愛」と「性」の文化史』 http://d.hatena.ne.jp/kojitya/20100601/1275422507
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