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2017/09/12

 今日本でアクティブ・ラーニングとは何だ、と議論がされているようだ。海外の優れた教育の例として名前が挙がる北欧の一国ノルウェーの先生の思想が読み取れるこの本は、アィティブ・ラーニングについて思いをめぐらせている人にとって一読の価値ある良書である。翻訳者はベネッセ教育サイトで研究員...

 今日本でアクティブ・ラーニングとは何だ、と議論がされているようだ。海外の優れた教育の例として名前が挙がる北欧の一国ノルウェーの先生の思想が読み取れるこの本は、アィティブ・ラーニングについて思いをめぐらせている人にとって一読の価値ある良書である。翻訳者はベネッセ教育サイトで研究員をしている中田麗子さん。  この本を読んでいると、民主主義のあり方、自由の意味について考えさせられる。よい授業とは何か、学力とは何か(ノルウェーでは知識の習得より生徒の自尊心、安心感、他者との関係性を重視している)、幸福とは何かといった哲学的な問いも含まれていて、一種哲学書としても読み解くことができる奥深い本だ。  教師と生徒の関係はフランクなものだが、それでも生徒と教師の関係性には敬意は必要だ。学習内容の決定について、日本のように中央集権的に指示が出されるのではなく、地方分権が進んでいるノルウェーでは、地方の教育委員会に学習内容の決定が委ねられ、また各学校がカリキュラムをある程度決定できるようだ。また学校によっては教師自ら時間割を決められる場合もあるそうだ。また教材の選定も教師に委ねられる部分が日本に比べて大きいようだ。ただいくら自由であっても、教師は国の税金をもらっているのであり、何でも好きなことを教えていいわけでなく、コミュニティがこれを子ども達に教えるべきだと決めた学習内容をきっちりと伝えることが前提条件となっていることが分かる。アクティブ・ラーニングのヒントとなるであろう考え方だ。  ノルウェーでは教師間のメンタリングが導入されていたりと、教師を支えるしくみや教師の学習を促進する制度、教師かんの協働を促す制度が整えられているように思えた。  あとがきで教師の仕事は確実な理論や技術が存在しない、確実な方法論はないというダン・ローティの説が引用されている。アクティブ・ラーニングについても、決まったメソッドとして捉えるのは無理があることがこの本を読んでいてよく分かった。

Posted byブクログ

2015/09/16

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