ズームーデイズ の商品レビュー
感情を制御できないくらいののめり込む恋愛をしない(したことない)あたしは、主人公のアームー(30代前半♀不倫+同棲中)はどうしようもないアホ女としか思えません。何がしたいのか分からん。自分自身は何もしないくせに、周りの男に求めてばっかり。 ただ、「恋人」とか「愛」とか、「目に見え...
感情を制御できないくらいののめり込む恋愛をしない(したことない)あたしは、主人公のアームー(30代前半♀不倫+同棲中)はどうしようもないアホ女としか思えません。何がしたいのか分からん。自分自身は何もしないくせに、周りの男に求めてばっかり。 ただ、「恋人」とか「愛」とか、「目に見えないモノ」に名前を付けて安心したがるのは人間の性(現に主人公は、ズームーと暮らした7年間という時間に「ズームーデイズ」という名前をつけていつくしんでいる)で、そんなことにこだわる必要は必ずしもないんだな、と思った。
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井上荒野さんの直木賞作品「切羽へ」を読んだあと、他の作品が読みたくなり、検索して興味を持ち、訪れた地域の図書館で返却されたばかりだったこの作品を借りて一気に読みました。 主人公の「アームー」が30歳から37歳まで7年間暮らした「ズームー」との物語です。 ズームーはアームーよ...
井上荒野さんの直木賞作品「切羽へ」を読んだあと、他の作品が読みたくなり、検索して興味を持ち、訪れた地域の図書館で返却されたばかりだったこの作品を借りて一気に読みました。 主人公の「アームー」が30歳から37歳まで7年間暮らした「ズームー」との物語です。 ズームーはアームーより8歳年下です。 「7年間私は何もしなかった。ただズームーと暮らしていた」と語られます。 「父は小説家だった。私自身も小説を書いている」とあるところから、井上荒野さんの自伝的な要素もあると思われます。 自伝として読むと、9月の「週刊ブックレビュー」でのインタビューが違った視点から見えてきます。 主人公は「恋人と会った翌日、精神的疲労のために一日寝込んでしまう」ような恋に疲れていて、恋していないズームーと同居生活をします。 二人は何度も引っ越しをしますが、汚い部屋の描写、例えば「天井から乾燥したヤモリの死骸が落ちてくる」など、虫が苦手な都会人の発想だと思いました。 主人公はズームーと暮らしながらも妻子あるカシキとの関係も続けます。 主人公はズームーもカシキも愛してはいません。 主人公はズームーと岩手県に旅行します。 「倦怠期の夫婦」のような旅行です。 宮沢賢治ゆかりのイギリス海岸を散歩し、花巻温泉の近くに泊まりますが、我が家も1997年夏にこのあたりに出かけています。 花巻温泉に泊まり、宮沢賢治記念館、イギリス海岸、小岩井農場など行きましたが、子供はまだ7歳と5歳くらいで豚に真珠でした。 「星飛雄馬の大リーグボール養成ギブス」という言葉が出てきて、井上荒野さんは世代的に私に近いのだなあと実感しました。 「出会い系サイト」のことが話題に上ります。 初期の頃の話でしょうが、こういうものだということが分かります。 「このころダイアナ妃が死んだ」と書かれていますので、時代との関わりが分かります。 ダイアナ妃が亡くなったのは1996年でした。 このころ、主人公とズームーとの同居生活は終わっているようですから、井上荒野さんとアームーはほぼ年齢も一致します。 ズームーと別れたあと、主人公は結婚します。 いまの夫に恋をしたと言います。 小説も本格的に書くようになります。 この辺も井上荒野さんの自伝のようです。 でも本当に自伝なら夫は嫌でしょうね。 私なら辛いです。 「切羽へ」もそうですが、評価が分かれています。 共感する人とそうでない人とが分かれているというのは、文学作品にとっては良いことだろうと思われます。 私は面白く読みました。
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