女王陛下のユリシーズ号 の商品レビュー
重いです。だけど、大名作です。何もかも忘れて没頭したい本、それだけの価値のある本。 第二次世界大戦の、輸送船団の話だから、まあ戦争物なんだけど、そういう安易な括り方をしたくない。いつも同じことばかり書いているみたいでやだけど、ここに出てくる男達のかっこいいこと。極限状態に近...
重いです。だけど、大名作です。何もかも忘れて没頭したい本、それだけの価値のある本。 第二次世界大戦の、輸送船団の話だから、まあ戦争物なんだけど、そういう安易な括り方をしたくない。いつも同じことばかり書いているみたいでやだけど、ここに出てくる男達のかっこいいこと。極限状態に近い(というよりそのもの)の中だからこそ迫ってくる、一種の純情さというか、男気というか、そういうものがいいんだ。 だから、安易なハッピーエンドなんか、はなから求めてはいけない。マクリーンの描く濃厚な世界にどっぷり身を沈めて、最後にどこに行き着こうが、ふっと深いため息をついて、ライトを消して、枕に頭をあずけるべき本だと思う。
Posted by
独ソ戦における援ソ物資の輸送船団を護衛する英国巡洋艦ユリシーズとその乗組員たちを描いた海洋冒険小説の古典的名作。さすが古典と呼ばれるだけあって、冒頭から極限状況で始まり、北極圏の航海の自然の脅威、Uボート、フォッケウルフなどとの戦闘などが最後までのべつ幕なし訪れるという、容赦ない...
独ソ戦における援ソ物資の輸送船団を護衛する英国巡洋艦ユリシーズとその乗組員たちを描いた海洋冒険小説の古典的名作。さすが古典と呼ばれるだけあって、冒頭から極限状況で始まり、北極圏の航海の自然の脅威、Uボート、フォッケウルフなどとの戦闘などが最後までのべつ幕なし訪れるという、容赦ないストーリー展開も凄いが、なんといってもその場にいたものでないと描けないような描写が圧巻で、これはもう「すさまじい」としかいいようがない。とにかくその筆致で読ませる。極限状況にせまりきった結果辿り着いた人間像の描き方にも感銘を受ける。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
海洋冒険小説。厳寒の海の話だが、内容は熱い。 海と軍艦が舞台なので用語になじみが無かったり、ちょっと読みにくいところはあるかもしれない。それでも、登場する男たちの生き様が見られるので、お勧めです。 あとがきにもあるが、艦長が巡検するところは名場面の一つ。
Posted by
誰が主人公と言うわけではないので、感情移入できる相手を見つけるまで(あるいは見つけられないかもしれないが)最初はとっつきにくい。舞台は第二次大戦でも最も過酷な戦場の一つだった北大西洋。Uボートだけでなく、凍える海と空が艦とその乗組員を苦しめ、絶望的な中で生き残るというよりは、如...
誰が主人公と言うわけではないので、感情移入できる相手を見つけるまで(あるいは見つけられないかもしれないが)最初はとっつきにくい。舞台は第二次大戦でも最も過酷な戦場の一つだった北大西洋。Uボートだけでなく、凍える海と空が艦とその乗組員を苦しめ、絶望的な中で生き残るというよりは、如何にして死んでいくかを描いている。この話を「滅びの美学」と呼んだ人がいたが、まさしくその通りだと思う(ただし、決して戦争を美化する物ではない)。過酷な内容と淡々とした突き放した文体は、苦手と思う読者も多いだろうが、肌に合った人にとっては何度でも読み返したくなる。 内容の厳しさとしても、話の取っつきにくさとしても、読む者に覚悟(汗)を要求するが、 近代海洋冒険ものの名作と呼ばれる作品。(これを「冒険」と言ってはいけないのだろうが、分類状勘弁して欲しい)
Posted by
援ソ物資を積んで北極海を行くユリシーズ号に襲い掛かる、仮借ないあらゆる困難。 これでもかというくらいに不幸が押し寄せ、だーだー泣いてました。 文章が上手いとか構成が上手いというよりはただひたすら迫力があるという話。凄い。
Posted by