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1936年のシカゴを舞台に詐欺で日銭を稼ぐ1人の若者が、親同然の師匠を殺害したギャングに復讐するために伝説的な賭博師と共に、得意のイカサマの技術でギャングのボスから巨額を奪い取る(巻き上げる)様を軽快に描いたコン・ゲーム( 信用詐欺)を扱ったジョージ・ロイ・ヒル監督、ポール・ニュ...
1936年のシカゴを舞台に詐欺で日銭を稼ぐ1人の若者が、親同然の師匠を殺害したギャングに復讐するために伝説的な賭博師と共に、得意のイカサマの技術でギャングのボスから巨額を奪い取る(巻き上げる)様を軽快に描いたコン・ゲーム( 信用詐欺)を扱ったジョージ・ロイ・ヒル監督、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード主演による大ヒット映画のノベライズ作品。 1930年代のアメリカにおける詐欺師による騙しの手口や手法を詳細に記した『大事師(だいごとし)たち:The Big Con』を基に、デイヴィッド・S・ウォードが映像化に向けて脚本化したシナリオをロバート・ウィン・パーカーがノベライゼーション作品に仕上げた。(基にしたシナリオは初期稿らしく、映画版のロバート・ショウ演じるギャングのボス、ドイル・ロネガンが「エイモン・ロリマー」の名になっているなど、登場人物の名に変更がみられる) 既に映画を観てネタバレしてしまっているストーリーを、クオリティーの高い映像作品とは異なった《活字媒体》で、元となった作品のイメージを崩さずに読ませるというノベライズの難しさもさることながら、心理描写に至っては二重三重の「仕掛け」の嘘がバレないように絶妙なアレンジが加えられている。それを癖なく読み込めるのは、本作がサスペンスにはなく、ハイテンポで展開されるコメディタッチで描き上げられている映像、小説の相乗効果の好例といえるだろう。村上博基の訳も素晴らしい。
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