言語学の戦後(1) の商品レビュー
本書は、戦後から現在に至るまで著者がたどってきた言語学について受けたインタビューをもとに書かれたものです。特定のテーマについて書かれたものではないため、話が色々な方向へと展開していきます。しかし、随所で述べられているのが、日本の言語学への危惧です。現在、言語学を含めた多くの学問...
本書は、戦後から現在に至るまで著者がたどってきた言語学について受けたインタビューをもとに書かれたものです。特定のテーマについて書かれたものではないため、話が色々な方向へと展開していきます。しかし、随所で述べられているのが、日本の言語学への危惧です。現在、言語学を含めた多くの学問分野で、研究分野の細分化が進んでいます。その結果、研究者は「小さな蜂の巣穴」に閉じこもり、周辺領域とのつながりを絶っています。しかし、著者の考えでは、学問は自身の研究が周辺領域へ影響力を持っていなければならず、常に周辺領域からの攻撃に耐えられるものでなければなりません。「学問ってのは被告で、いつもね、裁かれる意識がないと駄目なんだ(p.54)」という一節に著者の考えが強く表れています。言語学について書かれていますが、これから学問の道に進むことを考えている学生や現在研究をしている院生などが、学問のあり方について今一度考えるきっかけを与えてくれる本と言えます。 (ラーニング・アドバイザー/人社 IKARASHI) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1336705
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巨匠田中克彦を、安田敏朗と土屋礼子がインタビューするという形式で行われた企画本。 インタビュー形式なので読みやすいし、田中克彦による時枝誠記や服部四郎、亀井孝論も非常に面白かった。 ただしインタビュアーはあまり突っ込んだ質問をしていなかったし、戦争が遺したもの、の小熊英二の力...
巨匠田中克彦を、安田敏朗と土屋礼子がインタビューするという形式で行われた企画本。 インタビュー形式なので読みやすいし、田中克彦による時枝誠記や服部四郎、亀井孝論も非常に面白かった。 ただしインタビュアーはあまり突っ込んだ質問をしていなかったし、戦争が遺したもの、の小熊英二の力量を改めて実感。 私は田中克彦の、すごいことをしゃあしゃあと言ってしまうところがとても好きで、たとえば漢字は差別の温床だ、という彼の持論を語っている部分で、漢字は不便だし、不便であるということは差別的なんだ、それを便利だというのは子供のときからしっかり勉強する余裕のあった人だ、といいつつ、 「漢字を多用する奴は、保守反動で、反人民的で、反国民的であるというね、そういうモラルを確立していきたい」とか素で主張しているところ。 今田中本を制覇するという試みの真っ最中です。
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