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教育の正体 の商品レビュー

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2017/04/26

職に就くか就けるかは別として、一介の「教育者」になるべく、これから通信制大学で教職課程に進むにあたり本書を読んでみました。 著者が、私が一目置く知人が私淑していた日下公人(くさかきみんど)氏であった事も本書を手にしてみた理由です。 読了してみて、今後の進路についてはやはり、正...

職に就くか就けるかは別として、一介の「教育者」になるべく、これから通信制大学で教職課程に進むにあたり本書を読んでみました。 著者が、私が一目置く知人が私淑していた日下公人(くさかきみんど)氏であった事も本書を手にしてみた理由です。 読了してみて、今後の進路についてはやはり、正論が言えなかったり、出過ぎたりしてはいけないような「公立学校の教師」という選択肢はないのかなと改めて感じています。 正論を言ってもOKな公立学校もあるのかも知れませんが。 それはそれとして、以下に本書の「はじめに」を抜粋してみます。 教育を終えた人は生きてゆくのに必要なプライドが備わっている。 それが教育の効用。 プライドの第一は、親の厄介にならずに自分の収入で食える事(職業教育)。 第二は、日本という共同体の一員として、周りの他人に面倒をかけずに暮らしてゆくのに必要な知識や心がけが身についている事(社会教育)。 第三は、周囲の雑音に惑わされる事なく自分を保って生きてゆく為の教養や哲学の持ち主になっている事(精神教育)。 第四は、自分は世の為、人の為になってみせるという積極的な志の持ち主になっている事(人格教育)。 第五は、それらの教育を受けた事を証明する卒業証書の持ち主になっている事(社会的承認)。 ・・・これだけ書けばもうおわかりだと思うが、日本は多分、世界で一番、卒業証書の持ち主が多い国である。 それは教育の価値を日本人は知っていて、多額の費用と時間をそれにかけてきたという事で、その成果は世界に冠絶したものであるが、本書は、その第五のプライドが相当程度、空洞化している事に絞って論じてみた。 穏やかに言えば、卒業証書や資格の有難味がない事で、厳しく言えば、教育関係者が自分の利害の為に資格を乱発している事が、教育全体の尊厳を破壊している事への警鐘である。 それから国民の多くが、この第五の外面的なプライドを求めるようになった結果、教育は虚の世界と実の世界に二分され、虚の世界に発生したインフレが、教育全体を劣化させている事の指摘である。 しかし、実の世界は社会の根底にあって、それは健在である。 親、本人、真面目な先生、真面目な官僚、真面目な企業がそれで、恐るべき不景気の風がその人達の真面目さへの追い風になっている。 教育改革とは、人々に自信とプライドを持たせる教育のあり方について考える事だと思う。 私は通信課程の学生として大学に4年在籍する事で「教育の虚実」をある程度、経験する事が出来ました。 大学教育における、実の感銘、衝撃だけでなく、虚の落胆、絶望も、この社会をより深く理解する為に経験しておきたい事でした。 そして「教育の虚」に対し再考を促していく事が出来るよう自己を成長させ、教育の発展に微力ながら資していきたいと考えています。

Posted byブクログ

2012/03/21

――――――――――――――――――――――――――――――○ 「わが社にも東大が受けに来るようになった」と言われたので、「採用するのか」と聞くと、いま考えていると言う。「おやめなさい。あなたの会社で本当にそういう仕事があるのか。これからアメリカへ買い出しに行くとか、売り込みに行...

――――――――――――――――――――――――――――――○ 「わが社にも東大が受けに来るようになった」と言われたので、「採用するのか」と聞くと、いま考えていると言う。「おやめなさい。あなたの会社で本当にそういう仕事があるのか。これからアメリカへ買い出しに行くとか、売り込みに行くとか、あるいは、農林水産省を相手にケンカするとかの仕事があればいい。ないのに『東大出だ』と喜んで入れたら、ほかの社員は横を向いてしまう。会社が壊れてしまう。お客に対して転売できない能力を買ってはいけない」と言ったことがあった。24 ――――――――――――――――――――――――――――――○ 普通高校における普通教育というのは何か。これはユニバーシティに行く準備教育だから、そのためには歴史や数学をやっておきなさい、国語や外国語をやっておきなさい、常識をつけなさいということで、これはもともと貴族用の教育である。将来、社会のリーダーになるための教養づくりの準備である。だから先生は聖職だという考えがあったのだが、それを日教組は「先生は労働者だ」と言って一生懸命つぶしてしまった。それで国民はビックリした。先生は尊いと思っていたのに、「労働者だ、労働者だ」と自分で言うから、尊敬の心が消えた。44 ――――――――――――――――――――――――――――――○ フィンランドと日本、大きく違う点が三つあります。一つは、子供が学校で勉強する以上に、うちへ帰ってから予習・復習をする。一生懸命うちで勉強して学校へ行く。そして、先生の言うことをよく聞く。先生を尊敬している。親も子も。ここがまず一番違うところですね。(…)ところが「自分の子供の学力向上に、学校は役立ちますか」との問いには、「役立たない」と答えた親が九〇%以上もいる。子供の学力は家庭で身につくものであると。86 ――――――――――――――――――――――――――――――○ エリート意識が、かつての日本にはあった。それが戦後、まるで消えてしまって、自分自身のために勉強するようになった。勉強は個人のためとなると、東大に入っても、京大に入っても、それには社会的な尊敬がない。(…)戦後日本の教育には"人の上に立つ人をつくる"という考えがない。そしてそれを良いことだと信じている。143 ――――――――――――――――――――――――――――――○ 日本人が気づかないように、対日世論工作をアメリカ、中国、韓国はしています。そのためには文部省があったほうが都合がよい。全国に命令させる。ドイツはそれに対抗して、文部省がありません。教育は全部地方自治体の仕事にしてありますから、外国は手がつけられない。これは抵抗の有力な手段です。「教育は地方の仕事です。文部省はありません」と言って、占領時代から独立精神を教えている。216 ――――――――――――――――――――――――――――――○

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