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ブライス家の人々 家族療法の記録 の商品レビュー

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2014/08/07

不条理のなかにこそ治療的エッセンスがある、というスタンスで家族療法の世界でのカリスマになったカール・ウィテカー。その唯一の邦訳書です。 長女クローディアの激しい問題行動の治療に訪れたブライス一家との二年にわたる家族療法。その面接場面での重要な発言、一挙手一投足を小説風に、臨場感...

不条理のなかにこそ治療的エッセンスがある、というスタンスで家族療法の世界でのカリスマになったカール・ウィテカー。その唯一の邦訳書です。 長女クローディアの激しい問題行動の治療に訪れたブライス一家との二年にわたる家族療法。その面接場面での重要な発言、一挙手一投足を小説風に、臨場感満点に記録さらています。 クローディアと母との対立が解消されたと思ったらスケープゴート役は弟のドンに回ってきて、それが解消されると夫婦間葛藤がいよいよ前景化し、果ては父親であるデビッドの両親まで面接に引っ張り込み、家族が各々一人の人間として成長していく過程は、へたな小説を読むより断然おもしろい。 ウィテカー先生の時に鋭い、時にとぼけたユーモアの裏に、どのような思惑が潜んでいるか、そして面接場面で今何が進行しているか、共同治療者であるダンが詳細に分析してくれているのもうれしいです。 家族療法の面白さに触れるには、絶好の読み物だと思います。ただ、理論などについては時々一章を簡単に解説してくれているのですが、ある程度の予備知識(システム論、世代間葛藤、家族膜、コミュニケーション定理など)が必要になるかと思います。家族療法に馴染みのない方は、横に一冊入門書を置いて読み始めるといいかもしれません。

Posted byブクログ