半夏生 秋山佐和子歌集 の商品レビュー
秋山佐和子さんの歌集ですね。 秋山佐和子さん(1947年、山梨県生まれ)歌人、近代文学研究者、現代歌人協会理事、日本歌人クラブ中央幹事。 2005年夏から2008年春まで歌のうち、主に挽歌を集めて一冊にした、六冊目の歌集だそうです。 夏の花ほていあふひは水に咲き ...
秋山佐和子さんの歌集ですね。 秋山佐和子さん(1947年、山梨県生まれ)歌人、近代文学研究者、現代歌人協会理事、日本歌人クラブ中央幹事。 2005年夏から2008年春まで歌のうち、主に挽歌を集めて一冊にした、六冊目の歌集だそうです。 夏の花ほていあふひは水に咲き 日かげるうへにいのち終へたり きのふなくけふ立ちあがり咲きてゐる 布袋葵は水の鉢より さらさらと金砂銀砂を振りこぼす 秋の日光(ひかげ)の落葉松林 その花も蕾も堅く陶器めく 阿佐緒の沈丁花咲く よもぎの葉ちぎりてかをる指先を 夫に差し出す土手に座りて 千代紙の花籠ひらくかたちして 六つの花弁をほぐす鉄仙 イギリスのファンタジー好むと語りくれし 夏の日の声耳にあたらし 夏蔦の茂る壁面 青銅の一角獣は水の束吐く 満ちてゆく思ひのごとし梅雨明けの 夕べの空のほのかくれなゐ 梅林をめぐりてこころほぎるるか 風出でし道に口笛聞こゆ 半夏生しろく群れ咲く岸辺より 水音(みのと)かすかに漕ぎゆくひとり 天狼星(シリウス)の見ゆれば空は万華鏡 あまたの星の輝き初めつ ひとひらの桜を髪よりつまむとき まなぶた閉づる花童子かな さきはひはいづこにあり少年と 少女の仰ぐ春の地球照 あとがきを読まずに、読み始めて、哀歌が多いの気になりましたが、挽歌を中心にした歌集との事で納得がいきました。抜粋は挽歌を避けています。 さすがに、ロマンにあふれる歌風ですね。私の好きなファンタジーも感じられますから、ますます秋山佐和子さんの短歌が好きになりました。
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