推定少女 の商品レビュー
日々はもちろん不安だった。ぼくは十六歳、十七歳と歳を取っても、相変わらず同じ生き物だったのだ。弱くて、傷つきやすくて、プライドだけ高くて、そのくせ人の気持ちには絶望的に鈍感な、そんなだめな生き物だ。突破口はみつからなかった。相変わらず自分が嫌いだった。そういうものなのかもしれない...
日々はもちろん不安だった。ぼくは十六歳、十七歳と歳を取っても、相変わらず同じ生き物だったのだ。弱くて、傷つきやすくて、プライドだけ高くて、そのくせ人の気持ちには絶望的に鈍感な、そんなだめな生き物だ。突破口はみつからなかった。相変わらず自分が嫌いだった。そういうものなのかもしれない。(本文より) 読んだ当時は学生時代で、精神的にいまよりも未熟な部分が多く、瑞々しい言葉たちがすごく刺さったのを覚えている。二十代後半になった今でもまだ、大人ってなんだろう、とよく考える。
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実際のところは思春期に読んでないから評価できない……。でも自分はこんな思春期のもやもやを経験しなかった気がするので、読む時期が変わっても特に感想は変わらないのかもしれない。終始そうなんだ〜という感じではあった。 物語としてはエンディングが分岐するのが作者の脳内をよりしっかり見れた...
実際のところは思春期に読んでないから評価できない……。でも自分はこんな思春期のもやもやを経験しなかった気がするので、読む時期が変わっても特に感想は変わらないのかもしれない。終始そうなんだ〜という感じではあった。 物語としてはエンディングが分岐するのが作者の脳内をよりしっかり見れた気がして面白かったし、自分と異なる考え方や感受性をもつ人の世界を垣間見るという点で面白かった。裸の美少女がいかつい銃を振り回す感じがフェチズムを感じてよかった。
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Ending I は個人的にはありえない。千晴の存在って何だったの? って感じ。アンハッピーエンドはどんなだったのかな? ちょっと気になる。
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この本を初めて読んだのは中学3年生の頃でした。当時は主人公の巣籠カナと同じ学年だと思いながら、カナが言っていることや思っていることに共感したり、そういう考え方もわかる、といった雑駁な印象を抱いていました。 けれど世間知らずな私は、カナが見ている繁華街や東京の景色がイメージできず、...
この本を初めて読んだのは中学3年生の頃でした。当時は主人公の巣籠カナと同じ学年だと思いながら、カナが言っていることや思っていることに共感したり、そういう考え方もわかる、といった雑駁な印象を抱いていました。 けれど世間知らずな私は、カナが見ている繁華街や東京の景色がイメージできず、漠然とした読み味だったのを覚えています。 大人になってから久しぶりに読み直してみましたが、むしろ大人になってからのほうがグサグサに刺さる小説だったことを思い知らされました。 かつて中学3年生だった私がどんなことに毎日悩み、苛々したり、将来に迷って苦しんでいたか、私はすっかり忘れてしまっていました。 白雪が渡してくれたドールと「いまの巣籠カナを大事にしてよね」というセリフは、まるでそれを初めて読んだ私より、その先の未来にいる私に向けて言っているかのような気がして、とても印象に残りました。 当時の自分を忘れないように、この本を大事にしたいと思います。
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とらえどころのない話だなあと思って読み進めた。 男なのか女なのか、宇宙人なのか、異常者なのか、主要登場人物たちのキャラクターをつかめないまま話が進んでいく。 挙げ句、結末すら曖昧というか読者に解釈を任せるような感じだ。 と思ったが、なるほど、このとらえどころのなさは、登場人物たち...
とらえどころのない話だなあと思って読み進めた。 男なのか女なのか、宇宙人なのか、異常者なのか、主要登場人物たちのキャラクターをつかめないまま話が進んでいく。 挙げ句、結末すら曖昧というか読者に解釈を任せるような感じだ。 と思ったが、なるほど、このとらえどころのなさは、登場人物たちの思春期の不安定さ、危うさ、自我のゆらぎ、そういったモヤモヤそのものなのだと捉えると、少しスッキリした。 あっと驚くどんでん返しを期待したり、伏線回収を期待したり、大団円を期待したり、そういう小説の読み方は「大人」なのであって、そういうカッチリした流れのストーリーを期待してしまう読者はこの小説に登場する大人そのものなのだ。 思春期の雑多な妄想を思い出させるようなお話でした。
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描写力、表現力はさすが桜庭一樹。 ただ七竈や私の男を想像して読む作品ではない。 設定がぶっ飛んでいる……。 幻覚オチか〜!ってなる。 オチも含めて、YAの頃に読みたかったな。 私も荒れていたので……。 カナの「自分に絶望している。ぼくはつまらない大人にしかなれない」という感覚...
描写力、表現力はさすが桜庭一樹。 ただ七竈や私の男を想像して読む作品ではない。 設定がぶっ飛んでいる……。 幻覚オチか〜!ってなる。 オチも含めて、YAの頃に読みたかったな。 私も荒れていたので……。 カナの「自分に絶望している。ぼくはつまらない大人にしかなれない」という感覚は私もずっと抱いていたので、余計に。 YAの頃に、と思うのは私も全くなりたくなかった、つまらない大人になった証なのだな。
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若い頃特有の(私がこの言葉を使っていいのか?)疑心暗鬼で単純な子供たちが抵抗するんだけど、結局夢オチだったっていう話。 何も分かってない!と思うことが子供である証拠、みたいなシーンがあったが、大人は本当に分かってるの?!と思った。 でも、“分かっている”ならあんなこと言わないよねぇ、とどうしても思ってしまう。私は子供。 もうちょっと歳をとってからまた読みたい本。きっと感じ方がかなり変わるから。
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桜庭一樹はどうしてこんなに子供がうまいのか。 私たちに確かにあったはずのあのころ、学校や家庭という枠に守られながら、それから飛び出す日のことを見つめ続けること。 エンディングがいくつかあるのも面白い構成。 変わらない、たしかにそれがあったという証がそれを「思い出」にしてくれる。
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桜庭一樹作品はいくつも読んだことがあったけれど、知らないタイトルだったので手に取りました。 今回は、私の中で消化不良の作品でした。 どうも、お義父さんの行動をどう捉えればよかったのかわからなかったです、どのエンディングでも、何もなかったように振る舞っていたのが。。 作中の白雪、巣籠カナ、千晴のやりとりはいきいきしていて、会話中心でストーリーが進み、読みやすくはありました。 3種のエンディングは、やはり桜庭さんが最初に書いたIがしっくりきました。
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読んだ感想は、解説で高野和明さんが語り尽くしてしまっている。ただただその通りだと感じた。 桜庭一樹さんの小説の登場人物は、やはり好きにしかならない。 そのくらい良いので、是非読んでください。
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