炎の陰画 の商品レビュー
半村量のおそらく初期短編集。戦後間もないひもじい時代を乗り切ってきた話をベースにしたSFというか怪談話から、炎に取り憑かれた戸籍のない少年が、火葬場の少年と出会う話など。怪談が多い。 落語や講談的な短編『箪笥』がどうにもインパクトが強く、この本の紹介を見てもほぼ『箪笥』なのはち...
半村量のおそらく初期短編集。戦後間もないひもじい時代を乗り切ってきた話をベースにしたSFというか怪談話から、炎に取り憑かれた戸籍のない少年が、火葬場の少年と出会う話など。怪談が多い。 落語や講談的な短編『箪笥』がどうにもインパクトが強く、この本の紹介を見てもほぼ『箪笥』なのはちょっと残念な感じ。ただ、現代では絶滅したとも言える、日本海側の方言のままト書きまで書かれ、読みにくいが印象の強い作品だ。 松本清張も書きそうな復讐劇『白鳥の湖』や表題のもとになった作品など、純文学と事件という、SFの半村良らしからぬ、強いエネルギーの空回りが感じられる作品群である。 作品としては面白いものが多いが、オチをしっかり感じられなかったり、書きたいことが先走ったりという辺りは、初期作品なのだろうなあ。
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短編って並べ方にも技ありですね。 前半は(怪談「箪笥」はさておき)戦後の重く深いけれど地味な「白鳥の湖」「森の妹」「ちゃあちゃんの木」が続き、野坂昭如読んでるような気分に。 ここに、芥川の「地獄変」を思わせる表題作があって、一転! 筒井康隆ばりの「逃げる」「散歩道の記憶」と...
短編って並べ方にも技ありですね。 前半は(怪談「箪笥」はさておき)戦後の重く深いけれど地味な「白鳥の湖」「森の妹」「ちゃあちゃんの木」が続き、野坂昭如読んでるような気分に。 ここに、芥川の「地獄変」を思わせる表題作があって、一転! 筒井康隆ばりの「逃げる」「散歩道の記憶」と続き、SFの文字が散見して、ああ、半村を読んでいたんだった、と落ち着きました。
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