反貧困の学校 の商品レビュー
貧困とは何か? どうすれば根治できるのか?働くとはいったいどういうことなのか?この本を読みながらそんな言葉が頭をよぎっていきました。いま日本を暗く覆っている問題がこの本の中で語りつくされています。この本に掲載されているデータは現在では少し古くなってしまったものがあって若干使えな...
貧困とは何か? どうすれば根治できるのか?働くとはいったいどういうことなのか?この本を読みながらそんな言葉が頭をよぎっていきました。いま日本を暗く覆っている問題がこの本の中で語りつくされています。この本に掲載されているデータは現在では少し古くなってしまったものがあって若干使えないものもあるのですが、そういったところを差し引いたとしても、十分に読み応えのある本だと思います。いや、むしろ現在のような先行きがまったくわからない世の中だからこそ、一読するべきではないのでしょうか? 編集に当たった宇都宮健児弁護士は対ヤミ金・サラ金のスペシャリスト。湯浅誠さんはここで紹介することもないくらいに有名になりましたが、2008年の『年越し派遣村』の村長として、活躍した人です。ここで私自身の話をしますと、このときに当時自分が手がけた商売が破綻して自分の身の回りがしっちゃかめっちゃかになっていたのがちょうどこのときで、もしかしたら私も『年越し派遣村』の住人の一人だったかもしれない。そう思うからこそこの本を取り上げているのかもしれません。 『貧困』というものが顕在化したのは、いったいいつごろでしょうか?私の思い当たる節でいくと、小泉純一郎政権の渦中に『構造改革』が次々と実施していく中で「フリーター」・派遣・請負労働とさまざまな『働く』ということについて細分化されていった時期からではないか?そう思っています。そうして生まれたものが『5重の排除』であり、安定した『正社員』の少ないイスを奪い合う椅子取りゲームの果てに『野宿の好きな人』がたとえば、新宿中央公園や代々木公園に数多くあふれてしまったのではないのでしょうか? 『働きたくても働けない』もしくは『がんばりたくてもがんばれない』そういう人に対する風当たりは非常に厳しい物があります。個人的な経験を言うようですが、大学時代、一切学校に行かなくなって初めてアルバイトをした某スーパーの精肉店。あれが自分の『仕事』や『社会』というものでした。『何日締め』や『何日出し』という習慣すら知らなかった私は初めての給料日までに相当しんどい思いをしたことをいまだに思い出します。 ないない尽くしの人間がそれでも『迷惑をかけない』ために仕事をするのだったらいきおい「日雇い」の仕事に就かざるを得ない。討論番組で湯浅さんが口角泡を飛ばして話すのに対して『?』という顔をしていた出演者がいたことを思い出しましたが、それはきっと経験した人間にしかわからないことなのでしょう。 そして、この本では生活保護に関する箇所にもずいぶんと紙面が割かれていて、生活保護を受けることが『恥』だと思っている人間が相当数まだ存在していたり、役所のほうでも、『水際作戦』といってあの手この手で受給者を追い返す、もしくは受けさせないようにするための手練手管が存在するということに私は衝撃を請けたことを覚えています。 今、私の住んでいるところも正直に言えば、景気や経済的には悪化の一途をたどって行くことでしょう。そういう人間が今、どうすればいいのか?そのための知識を得るためにこの本を読んでほしいと切に願っているのですが。えてしてそういう人はパチンコ店に行くんですよね。
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貧困問題は、当事者だけの問題でなく、同じ社会に住む全ての人の問題、貧困のない住みやすい社会にしなければいけないと思った。
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貧困問題に対する導入本なのだろうか。 まだまだ自分の知識が浅いので、ちゃんと勉強してから読み直そうと思う。
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「反貧困フェスタ」のイベントを中心にパネルや対談、論考をまとめたもの。前半、特に子どもの貧困のところは、胸につきささる感じがある。 若干後半が読みにくいような気がしたが、知識や問題意識に依存してるのかも。
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冒頭のイギリス・韓国・日本・ドイツの記者の対談が各国事情を反映していて面白い。 貧困って、根が深いというより、広く多様なんだなと感じた。
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