検察審査会の午後 の商品レビュー
正直、好きになれないで。検察審査会の内容も予想通りで 色恋も絡んで 益々つまらない話の展開。出来れば短編では無く長編の方が まだ楽しめたかもしれないです。佐野洋は昔読んでましたが正直つまらなくなってました。今後読む事は無いでしょう!
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裁判員制度はよく知られていますが、この検察審査会は知りませんでした。 検察審査会とは、検察庁が不起訴にした事件について、その処置が妥当かどうかを、裁判員制度同様、法律には素人の方々が集まり、審査する機関、どのこと。 本作は、検察審査会を舞台に、8つの事件を通してその事件の裏を...
裁判員制度はよく知られていますが、この検察審査会は知りませんでした。 検察審査会とは、検察庁が不起訴にした事件について、その処置が妥当かどうかを、裁判員制度同様、法律には素人の方々が集まり、審査する機関、どのこと。 本作は、検察審査会を舞台に、8つの事件を通してその事件の裏を探っていくもの。 それぞれの謎が、最後に驚きの展開に...一部、謎が謎のままの話もあり、そこは読者におまかせ(?)とのこと。楽しめます。
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「あなたは検察審査員候補者に選ばれました」高校教師・佐田のもとに届いた一枚の葉書。それは、検察官が下した不起訴処分の妥当性を市民が審査する日本独自の「陪審制」検察審査員の選任通知だった。落ちてきた突然の義務。佐田は、さまざまな事件に関わりながら、次第に興味を深めていく。
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近年、検察審査会が大きな注目を集めたのは、民主党・小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、検察審査会が「起訴相当」と議決した時のことだ。そのちょっと前にはJR西日本の福知山線脱線事故に関して検察審査会はJR西日本の歴代社長3人を「起訴相当」と議決してい...
近年、検察審査会が大きな注目を集めたのは、民主党・小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、検察審査会が「起訴相当」と議決した時のことだ。そのちょっと前にはJR西日本の福知山線脱線事故に関して検察審査会はJR西日本の歴代社長3人を「起訴相当」と議決している。 これらのニュースで検察審査会ににわかに注目が集まったのだが、実際、それまで検察審査会制度なんて知らなかった、という人が多かったのではないか。 僕自身は本書、佐野洋氏の推理小説『検察審査会の午後』でこの制度を知った。この小説は1992~94年にかけて雑誌に連載されたもので、95年に新潮社から刊行されたものが、2008年に光文社文庫から復刊されたものである。 復刊のきっかけは裁判員制度の実施を目前に控え、市民の司法に対する意識が高まっていた事が背景にあるらしい。日本版の陪審制度とも言われる裁判員制度だが、実は検察審査会制度は、戦後GHQが陪審制度を押しつけようとしたのに対し当時の司法官僚が抵抗して誕生させた制度だという。そんな事も本書で知った。 その検察審査会制度だが、これが実に興味深いのである。その役割は検察官が不起訴処分とした事件に対して異議申し立てがあった場合、その妥当性を市民が審査すること。選挙権を有する国民の中から選ばれた11人の検察審査員が、市民感覚で不起訴処分のよしあしを審査する。くじによって選ばれた市民は特別な理由がない限り拒否することはできない。なんかここらへんも裁判員制度と共通する。 冒頭に述べた小沢幹事長の場合、検察が小沢幹事長に対して2月に下した「不起訴」という処分について、市民団体が検察審査会に審査を申し立て、その結果「起訴相当」という議決が出た訳だ。 さて、そんな本書は連作短編集。作者自身が検察審査会について疑問に感じたことなどを小説にしていったと述べており、実際、作中では検察審査会の意義や意味についてなど熱心に論議されていて、読んでいて審査会のしくみがよくわかる上、問題点なども浮き彫りになるようになっている。 本書の語り手である中年高校教師の佐田は、ある日突然検察審査員に選ばれる。教員という立場が法律の条項によって辞退の理由になるため、当初は審査員になることを断ろうとするのだが、元教え子の審査員のすすめで参加するうち、その役割の重要さに目覚めていくのだった。 本書中で検察審査会とは「検察庁から渡された記録や証拠、及び証人の尋問で判明した事を根拠に判断を下す」と語られており、検察審査員たちは会議室の中で様々な記録や証言を基に事件の真相を探っていくことになる。 義務であるのだから探偵とはちょっと違う気がする。しかし推理小説として成立している以上、審査会は探偵のような役割も担っているのだ。杉江松恋は『名探偵ベスト101』(村上貴史編、新書館)において本書を取り上げ、「検察審査会を、変形の(日本型の)陪審員集団と見ることもできるが、また安楽椅子探偵の一種とみなすこともできる」と述べている。 ここで面白いのは、佐田が単なる検察審査員ではなく、補充員であるという設定だ。審査員と違い、審査員に何かあった時のために選ばれる補充員は審査に口を出すことはできないが、しかし出席をしなくてはならない。佐田に言わせれば「いつ試合に出るかも決まっていない準レギュラー」なのである。 不起訴が相当なのかという点のみ議論し、しかも推論の積み重ねのみで真相を探っていく検察審査会。 佐田は大小様々な事件と相対しながら、市井の人々の心の中に隠された大切な人生模様に触れていく。そんな佐田も実は過去にちょっとした傷を抱えていた。 事件の物語と並行して描かれる、同じく審査員に選ばれた女性とのほのかな恋心も、熟年らしく展開がしんみりとしていて味わい深い。 また携帯ではなく固定電話で連絡を取り合ったり、メールではなく手紙がきたりという描写も時代を感じさせる。 本書では検察審査会の議決には法的拘束力はないのだが、現実には2009年に法律が改正され、拘束力を持つようになった。そのため小沢幹事長やJR西日本の事例が大きな関心を集めたのである。 市民の司法参加は賛否両論様々な意見があるが、本書ではその魅力も問題点もわかりやすく教えてくれる。今後この題材を扱った小説が増えるかも知れない。その意味では既に十数年前にこの題材をものしている佐野洋氏の慧眼に驚かされる。 1996年には「事件・市民の判決」としてテレビ東京でテレビドラマ化されている。
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とにかく引き込まれる、とにかく上手い、とにかく面白い!勉強にもなるし、考えさせられる。そして後味がいい。
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