とらドラ!(9) の商品レビュー
恋ヶ窪ゆりこと独身(30)
今回はきちんと登場し、意外にもちゃんと先生していた独身(30)への敬意を表したレビュータイトルだが、本名が二つ名になって違和感が無いという、ある意味凄い先生である。しかし、本巻の主題はこんなことではない。大河の想いを知ってしまった竜児の困惑と葛藤、進路指導に端を発する今後の生き方...
今回はきちんと登場し、意外にもちゃんと先生していた独身(30)への敬意を表したレビュータイトルだが、本名が二つ名になって違和感が無いという、ある意味凄い先生である。しかし、本巻の主題はこんなことではない。大河の想いを知ってしまった竜児の困惑と葛藤、進路指導に端を発する今後の生き方と母への思い、みのりんや亜美とのことなどなど、少しずつ明らかになっていく思惑を盛り込んだ内容である。急にいろんな事柄が押し寄せて狼狽し、動きが取れなくなる竜児の姿は高校生らしさに溢れている。大人でもすぐに答えを出すのが難しい事がたくさんある。それを(貧乏)高校生の立場で必死になって考え、悩み、少しずつ行動に移していこうという態度が好ましい。必ず答えがある授業やテストとは異なり、明確な答えの無いことを自分なりに正しいと考えながら試行錯誤していく姿は、すなわち大人になるということ。このことにブチ当たるお年頃の葛藤を、竜児だけでなくみのりんや亜美も体験している。最初は孤立感に苛まれていた竜児がそのことに気付いていく。悩んでいるのは自分だけではないことに気付いていく過程が上手に描かれている。作者の真骨頂とも言える。また、みのりんや亜美とのやりとりでは過去のエピソードが語られ、物語がクライマックスに近づいていることを予感させる。そんな中でみのりんの独白が輝いた終盤の展開は秀逸。亜美とは物別れに近い形で可哀想なところもあるが、みのりんとの関係は今後に明るいものを残せる上手な結末である。ここにもみのりんと亜美の器用さの違いが表れている。いっぱいいっぱいになった状況に窮屈さを感じながら相応に光明も見えてきた前向きな展開とも言えよう。それだけに最後に訪れた大河と竜児の危機が次巻以降でどのような結実を迎えるのか大変待ち遠しい限りである。余談だが、本巻で初めて「奇数巻の表紙は大河」のパターンが崩れた。
DSK
#とらドラ9! #読了 進路に、恋に、友情に、 相手のことを思っての行動が全部空回り それでも決断し、力ずくで打開していく様がとらドラらしいし、青春過ぎる 次回、完結
Posted by
大河の本当の気持ちを知ってしまった竜児は、彼女との関係に悩み、その場に立ち尽くすほかなすすべがありません。 その一方、3年生への進級を目前に控える彼らは進路調査の提出を求められますが、それぞれの家庭の事情をかかえる竜児と大河は、提出期限がすぎても進路調査を担任に提出することを拒...
大河の本当の気持ちを知ってしまった竜児は、彼女との関係に悩み、その場に立ち尽くすほかなすすべがありません。 その一方、3年生への進級を目前に控える彼らは進路調査の提出を求められますが、それぞれの家庭の事情をかかえる竜児と大河は、提出期限がすぎても進路調査を担任に提出することを拒んでいました。そんななか、竜児の大学進学を後押しする母の泰子が病に臥せってしまうという事件が起こり、竜児は自分がなにをするべきなのか悩みます。 前回は、大河の気持ちが竜児に知られてしまったところで終わったため、てっきり今回で亜美のフラグを回収し、最終巻で締めくくりという運びになるのかと予想していたのですが、思いがけず竜児や大河の家族をめぐる問題がいっきょに噴出してきました。これだけとっ散らかってしまって本当に最終巻できれいな結末を迎えることができるのか、すこし心配ではありますが、著者の手腕に期待したいところです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
終幕編第3章、事実上の最終巻と評しうるのではないか。 今更だが、本シリーズは、竜児を軸とする三角ないし四角関係(北村は別に含まれるとして)を標榜しつつも、実は大河、実乃梨、亜美3名の成長譚ではなかったか。 純粋・唯我独尊ガール大河が思いやりを見せるようになる。 明朗快活平和主義・猫かぶり実乃梨が他者への怒りと衝突から未来を拓こうと。 表面取繕いぶりっ子亜美が他者との親密な関わりを持とうとする。 この過程を徐々に見せてきた作品のよう。そして、竜児目線で見れば、大河だけが彼の幸せを望み、自らの行動原理としてきた。ところが、実乃梨は自分の心地よい世界に安住し、竜児を省みることは少ない、亜美は究極は竜児の気付きを求め、行動原理の基本が自分自身。ならば、竜児の答えは一つしかなかろう。 この点をアニメ「とらドラ」岡田磨里脚本は、実乃梨に竜児の意中の人を問う件を設けて明快にさせる。アニメ版ほど本巻は明快ではないものの、彼の結論はただ一つ。 そういう意味では、今後の竜・虎の告白シーンは些か蛇足気味の嫌いなしとしない。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ついにとらドラ互いの気持ちが向き合いましたね。 1、2巻あたりはバリバリのコメディでしたが、気づけばしっかり青春恋愛群像劇に昇華していて。読みごたえたっぷりで、ありきたりですが甘酸っぱくもほろ苦い世界に引き込まれました。 こちらの方が先発ですが、物語のテンションの推移が俺ガイルと少しにているかも?かるーいラブコメと見せかけておいて、徐々に登場人物みんなに感情移入させられてしまう。 竜児、大河、亜美、北村、実乃梨、みんな未熟で、悩んで、迷って、それでも決めなくてはいけなくて、選ばなくてはならなくて。 次巻、最終巻でみんながどのように居場所をみつけるのか。しっかり見届けたいと思います。
Posted by
なんだよ、これ!もう目が離せない。 真正面からぶつかって傷つけあって、血を流して前へ進めなくて立ち止まって置いていかれて。親の愛情とか諸々に縛られて思い出があって好きも嫌いも進む道も自分で決めなければいけなくって、誰も代わりに決めてはくれないし、責任もとれない。自分の道を決めら...
なんだよ、これ!もう目が離せない。 真正面からぶつかって傷つけあって、血を流して前へ進めなくて立ち止まって置いていかれて。親の愛情とか諸々に縛られて思い出があって好きも嫌いも進む道も自分で決めなければいけなくって、誰も代わりに決めてはくれないし、責任もとれない。自分の道を決められるのは自分だけだし、否定されて傷ついて分かっててもらえなくって泣いて。大切な人が傷つくのを見てられなくってでも傷つくのは自分のためで、大切だからこそ自分のために傷ついて欲しくないのに。 物語のテーマのうち大きなウェイトを占めていた親との関係がついに表に出る。優しい竜ちゃん、いい子の竜ちゃん、大丈夫だと言われて安心して、反抗なんかしたことがない優しい竜ちゃん。大河と竜児の二人の行き先はどこか。傷つかないでいられる場所なんてこの世にはないのかもしれないけれど、それでも、二人の行き先に希望の灯火が、宿ることを祈る。
Posted by
この巻はもう「ジャイアントさらば」しかないでしょう。 いやいいシーンだなーっつーよりも、ええええ!?このいいシーンで「ジャイアントさらば」っすか!?み、みのりん(つーか竹宮先生)流石っすー!!的な意味で。 なんで「覚悟のススメ」よ!!って読みながら突っ込む勢いで。
Posted by
それぞれのキャラの心理描写が丁寧に描かれ、物語がついに最終局面へ向かっていった。 前回のもやもやが晴らされた巻でもあった。 みんなは竜児と大河の恋愛を応援してくれているのだということが分かり、大河ともそのままうまくいくかというところで今度は大河の母親が登場。 進路のこと、大河のこ...
それぞれのキャラの心理描写が丁寧に描かれ、物語がついに最終局面へ向かっていった。 前回のもやもやが晴らされた巻でもあった。 みんなは竜児と大河の恋愛を応援してくれているのだということが分かり、大河ともそのままうまくいくかというところで今度は大河の母親が登場。 進路のこと、大河のこと、竜児がどのような結論に至るのか最終巻で確認しようと思う。
Posted by
ついに。ついに。けれどやっぱりそんな簡単にこの二人が結ばれるはずもなく。竜児と大河の関係は、「恋」というにはあまりに深刻で、「愛」と呼ぶにはあまりにも痛すぎて、「竜児と大河」としか言い表せないなぁ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大河の本当の気持ちを知ってしまった竜児。 健康優良高校生男児が、いくらエキセントリックとはいえ美少女に恋を告白されて意識しない訳がありません。ましてや、相手が成り行きとはいえ夕食を一緒に食べるのが当たり前になっていた相手であれば、いわんやをや。 しかし、亜美の荒療治がようやく効果を現しましたね。 これだけ時間がかかったのは、亜美がその分だけ大人の視点で見ることができていたからか。精神的成長が早い分、亜美が損な役回りなのが不憫でなりません。
Posted by