声をなくして の商品レビュー
ありとあらゆる生きにくさを抱えながらも、めちゃくちゃな生活をしながらも、でもやっぱり生きたいというエネルギーに溢れていて、なんだか前向きにさせられる。
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「強くて淋しい男たち」「AV女優」等のノンフィクションを書いた、永沢光雄氏の遺作。 正直、この人のノンフィクションは、「私(つまり永沢氏自身)」が作品の中に入り過ぎていてどうかと思う。(でも嫌いじゃない) この作品は永沢氏が喉頭癌を患って声を失った後、どのように日々を過ごしてき...
「強くて淋しい男たち」「AV女優」等のノンフィクションを書いた、永沢光雄氏の遺作。 正直、この人のノンフィクションは、「私(つまり永沢氏自身)」が作品の中に入り過ぎていてどうかと思う。(でも嫌いじゃない) この作品は永沢氏が喉頭癌を患って声を失った後、どのように日々を過ごしてきたのかという、闘病記である。でも、いかに病気と闘ったかとか、どんなに頑張ったとか、一切ない。(ある意味清々しい) 毎日酒を飲んで、グダグダとクダを(声が出ないので、頭の中で)まいて、だらだらと生きている姿をさらしているのである。とにかくだらしなくて、読んでいて爆笑したり失笑したり・・・。 でも、この闘病記を通じてながれているのは「自己嫌悪」「自己愛」「自己憐憫」のエゴ、エゴ、エゴ。読んでいてうんざりする時もあるのだが、「あぁ、人なんて、結局こんなもんかもなぁ」なんて思いながらついつい読み切ってしまった。 ひとつ無条件に羨ましかったのが、永沢氏の妻である恵さん。この方は本当に信じがたいほど素敵だ。どこかの本で、誰かがこの方の事を「菩薩のような」と書かれていたけれど、この作品を読んで、本当にそう思った。本書の最後に恵さんによる「2008年夏 妻のあとがき」が収録されているのだが、これがまた泣かせてくれる。(本当に羨ましいぞ、永沢光雄!) 読んでいて生きる力が湧くとか、前向きになるとかいった作品ではないけれど、読んだ後も不思議と印象に残る、面白い本だった。
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2009年の1冊目の読了です。破滅型の人生を貫いた名インタビュワーの遺作。この人独特の湿気がたまらなく好きです。
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