謎解き源氏物語 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
本書は、源氏物語の魅力の秘密を、さまざまな仕掛けを解き明かしながら解説した本です。 カラーで源氏絵がたくさん載っているので、優雅な世界観にうっとりしながら読むことが出来ました♪ 本書の中で面白く思ったのは、源氏が二年半ぶりに須磨から帰京した際の朱雀帝との対面のシーンです。 源氏は、須磨へ流されたこの境遇に対し朱雀帝に責任を問う歌を詠み、たいして朱雀帝は、こうして再会できたのだから昔のことは水に流してくれと答える歌を詠む・・・ 源氏は天皇より強くてしたたかでした。 今までぼんやり読んでいたけれど、こうやって注目して読み解くと、かなり厳しい対面だったのですねえ。 さらにその後、源氏は父桐壺院の追善供養を行います。 これには、光源氏の政権が桐壺院の時代の政治を継承することを世間に宣言する意味があったそうで、桐壺院の遺言を守れなかった朱雀帝には供養を行う資格がなく、それがまた光源氏の親政のアピールにつながってしまうというのだからなんか複雑・・・右大臣とか死んじゃってるし、気が弱いだけでなく後ろ盾も弱くなった朱雀帝は、もう力がないよな、のしみじみ感じました。 あとは、「初音」の巻冒頭のお正月の様子が描かれているシーンは、天・地・人の調和を表現しているそうで、原文でもじっくり味わいたいなーと思いました。 天地人の調和とは、自然の運行が整って、季節のけじめが明らかなことという意味で、それは為政者光源氏の徳の象徴であり、天下泰平の証なんだそう。 たしかにこのあたりは光源氏の絶頂期ですものね。 最後に。 浮舟が身投げしたけれど生き残った意味はなんなのか。 著者は、死ぬに値しない現実のために死んではならないということであろうと語っていました。 薫や匂宮のようなあてにならない人に振り回されてはいけない、という紫式部からのメッセージなのかな、 儚げな浮舟さんですが、思うままに生きられるようになってほしいと切に願います。。
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