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わが指のオーケストラ(文庫版)(3) の商品レビュー

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2022/08/11

涙しかない。話したいけど伝えられない。聞きたいのに聞こえない。それがどんなに辛い事か。 高橋先生の事は初めて知った。先生の当事者目線で考えた指導。こういう先生がいらしたから手話が守られた。これからは当事者が自分たちで決める番だと思う。

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2019/12/26

〇吾一は教師の唇に全神経を集中する。しかし所々しか読み取れない。読み取れた言葉を手掛かりに吾一は推測し類推する。吾一の行動に教師も母親も一喜一憂する。そして吾一は思う。何だろう・・これは一体なんだろう。自分は何をしているんだろう・・。訳の分からない怒りのようなものがこみ上げてくる...

〇吾一は教師の唇に全神経を集中する。しかし所々しか読み取れない。読み取れた言葉を手掛かりに吾一は推測し類推する。吾一の行動に教師も母親も一喜一憂する。そして吾一は思う。何だろう・・これは一体なんだろう。自分は何をしているんだろう・・。訳の分からない怒りのようなものがこみ上げてくる。大声を出して叫びたくなる。 ☆結局、読唇だけにしたい、というのは聞こえる側のエゴなのだろう。聞こえないのならば、そちらに寄り添う姿勢があるべき。 〇文部省に申請していた米国聾唖教育視察が本日、やっと承認されました。米国では、60年前のクラーク聾学校設立をきっかけに口話法が広まり、わが国の今日の口話法隆盛も米国の方法と理念学んだ結果です。しかし、米国では口話法一色というわけではありません。EM・ギャローデッドという聾教育者は、併用法を主張し、実践しています。これは従来の手話法の土台の上に口話法を取り入れて併用していこうという方法で、わが校が模索している方向と相通ずるものがあります。 ☆口話法でいけるのは、全体の一部。そして、生まれた時から聞こえない者にとっては口話法に対して意味を見出せないのだろう。そりゃそうだ。もともと聞いたこともない、しゃべったこともない。そうしたら、話せることの喜びって何だろう。中途で聞こえなくなった者にとっては話せるようになる喜びはあるだろうが。 一方で、わが子に「お母さん」と呼ばれたい母の気持ちも分かるだけに・・ 〇口話学校を卒業し、成人した聾者たちは各国で聾唖協会を作り、そこでは公然と手話が使われています。これは学校という場で手話を取り上げることはできても、聾者から手話を取り上げることはできないという事実を示しています。また学校においても現実的に口話可能な者は全体の3割で、これは聾学校の中途失官者残聴者が占める割合と一致します。 ☆残り7割にとっては、読唇の時間、ただただ悲しい思いでやり過ごしていたと考えると、悲しい。むなしい。 全員にとって最適な方法というのは、ないのだろう。当たり前なことなのかもしれないが、一人一人にとって最適な方法が何なのかというのは、その子をよく観察し、特性を踏まえて決めるべきことなのかもしれない。 ☆最後のほうで、口話法で育ったはま子が手話を学び、教師として活動。やはり手話ではだめだと感じたのか、その学校を離れ、再び口話法を広めるべく全国を講演してまわったという場面が非常に印象的だった。 聾唖者を理解するために、手話の世界に飛び込んだはま子の姿もすごいなと思うし、そこから自分で体験して手話と決別するはま子の信念にも圧倒された。それと同時に成功体験が足かせになる場合もあるんだろうなと、はま子がそうだったとは決して思わないが、自分自身への戒めを込めて。

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2012/11/02

全4巻のコミックスである。 かつて、障害児教育という概念すら日本になかった時代。 ろう者(聴覚障害者)の子供たちの教育に人生を捧げた一人の教師がいた。音楽への夢を絶たれて教師となった彼は、「優しく美しい」手話は音楽と同じだと気づく。 ろう者の子供たちの豊かな心を育てるために、手話...

全4巻のコミックスである。 かつて、障害児教育という概念すら日本になかった時代。 ろう者(聴覚障害者)の子供たちの教育に人生を捧げた一人の教師がいた。音楽への夢を絶たれて教師となった彼は、「優しく美しい」手話は音楽と同じだと気づく。 ろう者の子供たちの豊かな心を育てるために、手話教育が絶対必要だと訴える彼。しかし時代は口話教育全盛期を迎え、手話の存続が危うくなる。 手話を表現するためには、マンガという手法が最も適していると思った。 著者の山本おさむには他にも「遙かなり甲子園」「どんぐりの家」など、手話を扱った作品がある。そちらも合わせてお読みください。

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2012/03/10

世の中が口話教育重視となる中、手話教育を守り、それぞれの子どもに合った教育を唱える大阪市立聾唖学校の高橋潔校長の一代記。漫画。明治時代の聾学校の創設期から、手話教育、口話教育への変遷がわかる。特にに高橋青年が手話に出会い、手話を音楽(オーケストラの絵)だと表現する、スケールの大き...

世の中が口話教育重視となる中、手話教育を守り、それぞれの子どもに合った教育を唱える大阪市立聾唖学校の高橋潔校長の一代記。漫画。明治時代の聾学校の創設期から、手話教育、口話教育への変遷がわかる。特にに高橋青年が手話に出会い、手話を音楽(オーケストラの絵)だと表現する、スケールの大きな1ページに胸が震えた。「安寿と厨子王」の絵本を聾の子どもらに聞かせてやるとき、その手話が音楽の様に空気を揺さぶり、子どもらの心を揺さぶるシーンは何度見ても涙が出る。私は単行本で読んでいるので、文庫がどうかわからないけど、このスケール感は文庫より単行本で見た方が分かる気がする。あと単行本4巻目のあとがきが、川渕依子さん(高橋先生のお嬢さん)であることの意義はものすごく大きい。(全4巻)

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2009/10/04

手話が、耳の聞こえない人にとって、世界をつくりだすかけがえのないものだということを、手話を守るための真摯な闘いがあったことを伝えてくれる作品です。 聾教育に携わる人だけでなく、多くの人に読んでもらいたい作品。

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