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がんの温熱免疫療法 の商品レビュー

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2011/02/22
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温熱療法(ハイパーサーミア)とは身体を加温することにより様々な疾患を治そうとする方法で、その歴史は旧く古代にまで遡る。 たとえば紀元前400年ごろ、ヒポクラテスも支持したと言われている腫瘍の焼灼法などが知られている。また、ヒポクラテスが“加温により治らない病は不治の病である”と言っているように昔は身体を温めることで様々な病気を治していたようだ。 現代におけるハイパーサーミアの化学的研究が本格的に行われるようになったのはおよそ30年前からで、マイクロ波・ラジオ波・超音波などを用いた加温機による温熱治療がもっぱら行われている。 本書では、温熱療法と免疫系を利用したがん治療について書かれている。 (症例集というよりも、温熱によって誘導される免疫のメカニズムなどの解説が多いから、基礎研究の方にはお勧めかもしれません。) 肝局所に対しラジオ波を用いた温熱治療を行ったところ、全身性の免疫誘導が起こったとの報告があり、温熱療法により一時的に生体内の免疫系活性化が起こることが報告されています。 また、局所加温した腫瘍組織に、抗原提示細胞である樹状細胞を投与することで、強力な腫瘍増殖抑制効果が得られたことなども報告されており、 温熱療法と免疫療法の併用が有効な治療法となりうることが示唆されている。 さらに私の所属している研究室では、in vivoにおいて温熱治療を施すことでがん細胞特異的な細胞性免疫系を誘導可能であることが証明されている。 これらの事実により、身体を温める“温熱”と、がん細胞に対抗する“免疫”力のアップで 効果的にがんを治せるかもしれないという新たな治療戦略が提唱されているようです。

Posted byブクログ