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小銭をかぞえる の商品レビュー

3.8

16件のお客様レビュー

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2022/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 甲斐性なしの男を描けば天下一品の西村賢太さん。ペンネームは北町貫多w。恋人は秋恵さん。「小銭をかぞえる」、2008.9発行。「焼却炉行き赤ん坊」と「小銭をかぞえる」の2話が収録されてます。

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2022/07/08

今まで読んできた賢ちゃん作品の中で、彼女に対して最も酷いことをしている気が… でもまた他のを借りてきて読むんだろうなぁという予感がある。

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2013/02/28

焼却炉: 同棲相手の女が三体の縫いぐるみを赤ん坊のように可愛がり私の鼻につく。女は石女で、私に内緒で不妊治療をしていた。なんだかんだ、私なりに女に愛しさを感じる日々。ある日、女が私の蔵書を損ねて大げんか。私は怒り縫いぐるみの首を引きちぎって巣鴨あたりに飛び出るも、女から蔵書に何か...

焼却炉: 同棲相手の女が三体の縫いぐるみを赤ん坊のように可愛がり私の鼻につく。女は石女で、私に内緒で不妊治療をしていた。なんだかんだ、私なりに女に愛しさを感じる日々。ある日、女が私の蔵書を損ねて大げんか。私は怒り縫いぐるみの首を引きちぎって巣鴨あたりに飛び出るも、女から蔵書に何かされては困ると思い直し、引き返して仲直り。二度目は藤澤の蔵書を損ねられたことで怒髪が天を衝き、女の縫いぐるみを完膚なきまでに引き裂いてゴミ袋へ放り込み、濡れた吸殻やら牛乳やらをぶち込む。 小銭:藤澤全集の五巻を刊行する資金繰りに奔走する私。S出版には一度支払いを待ってもらったため再び待ってもらうことは私の信用を堕とすことだと私は思い込んでいる。当てにしていた古書買取は二束三文。かつての人足時代の友人山志名に会いに行くも袖にされ、ブチ切れてブサイク妻と娘を貶める罵詈雑言を吐いて帰宅。結局同棲相手の女の父に頼る。女に電話をかけさせ、50万を借りる約束を取り付ける。女は父親に苦言を呈される。私は必要な金額を盛って伝えていた。差額の20 万円で懐が暖かくなり、女と池袋の高級レストランで食事しようと出かける。時間つぶしに入った古本屋で貴重な本を見つけ、女から札を借りて購入してしまう。女があとから、それは生活費だったと文句をつけてきたため、これから美味い物を食べようという気分を削がれて私は不機嫌になる。街中で大げんか。女は駄目押しで、印刷所への支払いの領収書を渡すように申しつけてくる。私はタクシーで女より早く帰宅。特上寿司を宅配させ都バスで女が帰るとこれ見よがしに見せつけた。女は狂乱になりそこここに貯めた小銭をかき集め高いピザを頼む。ピザが運ばれてきたところへ女の心をえぐるような罵詈雑言を浴びせる私。

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2012/10/21

なんだかやめられない強烈な依存性を持つ「西村小説」。収録された2篇「焼却炉行き赤ん坊」も「小銭をかぞえる」も、判で押したように暴力沙汰でオチを迎えるというのがなんとも素敵。 しかもそこで繰り広げられる暴力というのは、バイオレンス小説のそれではなく、一人の惨めな男が身近な人に向か...

なんだかやめられない強烈な依存性を持つ「西村小説」。収録された2篇「焼却炉行き赤ん坊」も「小銭をかぞえる」も、判で押したように暴力沙汰でオチを迎えるというのがなんとも素敵。 しかもそこで繰り広げられる暴力というのは、バイオレンス小説のそれではなく、一人の惨めな男が身近な人に向かってカッとなってなされるつまらないものばかり。だけどそのつまらなさが、妙に心地よい。

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2012/09/21

読後感はよろしくないが、自分の中の見たくないものを見せられたからか。嫌な感じがするのだか、体の中に入ってきたものか、後からじわじわくる感じ。

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2012/09/21

読んだ後味は良くはないが、何故かまた次の作品へと手が出ちゃうんだな。これで西村賢太作品、三作目を読了。 何故これが文学となって、多くの人の支持を得ているのか正直意味がわからん。相変わらず胸くそ悪い話だけれども、またそんな胸くそ悪さを求めて、ジャリ銭握って本屋に向かう俺も意味わか...

読んだ後味は良くはないが、何故かまた次の作品へと手が出ちゃうんだな。これで西村賢太作品、三作目を読了。 何故これが文学となって、多くの人の支持を得ているのか正直意味がわからん。相変わらず胸くそ悪い話だけれども、またそんな胸くそ悪さを求めて、ジャリ銭握って本屋に向かう俺も意味わからん。

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2012/01/16

日常生活の、ささいな男女のいさかいや、ねじ曲がった男の卑しさを、迫るような臨場感で描いている小説。これは筆者自身の体験の話なのか、真に迫ってくるし、非常に感情移入もします。 二編の短編ですが、終り方もさらりとしていて、どちらの作品も日常のあるシーンを切り取ったような形をとっている...

日常生活の、ささいな男女のいさかいや、ねじ曲がった男の卑しさを、迫るような臨場感で描いている小説。これは筆者自身の体験の話なのか、真に迫ってくるし、非常に感情移入もします。 二編の短編ですが、終り方もさらりとしていて、どちらの作品も日常のあるシーンを切り取ったような形をとっているのもうまいなと思いました。 西村賢太は魂の作家ですね!

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2012/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今回も存分に楽しませて頂きました・・・! いわゆる感動的だとか耳障りが良いとか感情移入できるだとか、そんな物差しで読むばかりが読書じゃないよね!と毎度思わせてくれる作家さんです。 解説が町田康だったのも手に取るきっかけになりやした。

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2011/08/14

もはや西村賢太氏の小説にしばらくハマリそうな予感。 最新作『寒灯』を読んでからのこの2~3日、西村氏の著作に次々手を出しており、この本の読了後も、氏の『暗渠の宿』をすでに読み始めている。 芥川賞受賞の『苦役列車』を読んだときも面白いとは思ったけど、ここまでハマる日が来るとは予想し...

もはや西村賢太氏の小説にしばらくハマリそうな予感。 最新作『寒灯』を読んでからのこの2~3日、西村氏の著作に次々手を出しており、この本の読了後も、氏の『暗渠の宿』をすでに読み始めている。 芥川賞受賞の『苦役列車』を読んだときも面白いとは思ったけど、ここまでハマる日が来るとは予想しなかった。 やはり最近、心がすさんでいて、氏の小説に妙な親近感を感じているのかしら。 相変わらずのどぎつい描写や会話文には目をそらしたくなるものが多いのだけど…。 「小銭をかぞえる」は、一人称の「私」」を主人公に、恋人である「女」とのドメスティックバイオレンスそのものの同棲生活を、自虐的に描いていて、併録の「焼却炉行き赤ん坊」(タイトル、何これ…勘弁して)も同様の私小説である。 先日読了の『寒灯』の秋恵ものと同じパターンで、主人公が一人称か三人称かの違いだけと言ってもいい。 マンネリ文学と言ってしまえばそれまでなのだが、西村氏のこれは、あたかも「サザエさん」を思わせるがごとく崇高なマンネリズム。 本読みの読者がひっかかると、もう離れられない魅力を持っている。

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2011/07/09

芥川賞受賞作の「苦役列車」ではなく、こちらは芥川賞候補作となった「小銭をかぞえる」。 藤澤清造全集の個人編集を目指している主人公(ほぼ西村賢太自身)とその交際女性との生活が描かれる。その生活は、常に金と劣等感がつきまとい、主人公の精神を上下させ、交際女性との関係も悪化していく。ほ...

芥川賞受賞作の「苦役列車」ではなく、こちらは芥川賞候補作となった「小銭をかぞえる」。 藤澤清造全集の個人編集を目指している主人公(ほぼ西村賢太自身)とその交際女性との生活が描かれる。その生活は、常に金と劣等感がつきまとい、主人公の精神を上下させ、交際女性との関係も悪化していく。ほとんど体験談というか日記のごとく詳細で、真に迫ってくる。クライマックスに主人公がブチ切れて女性を罵倒するシーンが出てくるのは、お約束らしい。読む人によっては、爆笑を誘うらしいのだが、自分は読むのが辛かった。本人は、「自分より駄目な奴がいることで、救われてくれる人がいればという気持ちで書いている」とのこと。彼にしか書けない小説であることは確かだが、次々に著作を読んでいこうという気にはならないかな。ただ今の世の中では、こういう小説も必要とされているのかもしれない。 「焼却炉行き赤ん坊」は、ぬいぐるみを擬人化してかわいがる女性が不気味に描かれ、それを中心に不条理ホラー的にまとめたらそれはそれで面白い小説になるかもと思った。

Posted byブクログ