都市は〈博物館〉 の商品レビュー
ヴェネティア、バルセロナ、ドレスデン、コヴェントリ、ジュネーヴ、グラナダ、エディンバラ、ダブリンそしてなんと資本主義のテーマパーク・マンチェスター。建築の本だと思って読み始めましたが、これらの都市を舞台とした小説家、詩人などの生き様とその背景となった街模様などが詳しく描かれていま...
ヴェネティア、バルセロナ、ドレスデン、コヴェントリ、ジュネーヴ、グラナダ、エディンバラ、ダブリンそしてなんと資本主義のテーマパーク・マンチェスター。建築の本だと思って読み始めましたが、これらの都市を舞台とした小説家、詩人などの生き様とその背景となった街模様などが詳しく描かれています。どちらかというと世界史、世界文学史とでもいうべきものです。ヴェネティアはマザコンのラスキン、プルースト、ダブリンではスウィフト、イェイツ、ベケット、ジョイスらの文学者たち。確かに彼らの描写がこれらの都市の博物館的価値を残しているのでしょう。この著者は「スコットランド・アイルランド歴史紀行」を読んだことがあり、ケルト民族の歴史の情緒を感じさせるイギリス中心の記述になっています。マンチェスターは資本主義の発祥の地として、観光都市でもなんでもない街が取り上げられていることが面白いですし、ドレスデンとコヴェントリという戦争の敵対両国の空襲で廃墟となった都市の復興物語には国民性を感じます。
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世の中には短期観光客向けのガイド本は数多あるが、この本のように、都市全体をあたかも<博物館>に見立てて、その記憶を掘り起こしたエッセイは珍しい。先年スペイン・グラナダに行った直前にに買い求め、第5章の「博物館に住むーグラナダの夢」(アルハンブラ物語の作者アーヴィングを中心に論じた...
世の中には短期観光客向けのガイド本は数多あるが、この本のように、都市全体をあたかも<博物館>に見立てて、その記憶を掘り起こしたエッセイは珍しい。先年スペイン・グラナダに行った直前にに買い求め、第5章の「博物館に住むーグラナダの夢」(アルハンブラ物語の作者アーヴィングを中心に論じたくだり)を読んでいたが、今回あらためて他の章も読み終わった。バルセロナ、ドレスデン、エディンバラなどヨーロッパの都市がたどってきた過去を、その街に絡んだ作家や建築家の眼を通して物語る文章は渋く味わい深い。函館もこうした「物語」が紡げそうな(残念ながらまだない)気がするのだが。
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