エドガー賞全集 1990~2007 の商品レビュー
冒頭の作品でアメリカ人特有の遠まわしな表現に心が折れる。その後、暇に任せて後ろの作品から数ページをめくると、それなりに読めるものだった。ミステリーの賞らしいが、推理と言うよりは不思議かつ生々しいでき事を使った人間劇が多い。心にのこった作品は、ハイチでの黒人奴隷の反乱を宗教を交えて...
冒頭の作品でアメリカ人特有の遠まわしな表現に心が折れる。その後、暇に任せて後ろの作品から数ページをめくると、それなりに読めるものだった。ミステリーの賞らしいが、推理と言うよりは不思議かつ生々しいでき事を使った人間劇が多い。心にのこった作品は、ハイチでの黒人奴隷の反乱を宗教を交えて描いたG.ミキ・ヘイデン「メイドたち」(2004年受賞)。
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ドナルド・E・ウェストレイク「悪党どもが多すぎる」 リン・バレット「エルヴィスは生きている」 ウェンディ・ホーンズビー「九人の息子たち」 ベンジャミン・M・シュッツ「メアリー、メアリー、ドアを閉めて」 ローレンス・ブロック「ケラーの治療法」 ダグ・アリン「ダンシング・ベア」 ジー...
ドナルド・E・ウェストレイク「悪党どもが多すぎる」 リン・バレット「エルヴィスは生きている」 ウェンディ・ホーンズビー「九人の息子たち」 ベンジャミン・M・シュッツ「メアリー、メアリー、ドアを閉めて」 ローレンス・ブロック「ケラーの治療法」 ダグ・アリン「ダンシング・ベア」 ジーン・B・クーパー「判事の相続人」 マイケル・マローン「赤粘土の町」 ローレンス・ブロック「ケラーの責任」 トム・フランクリン「密漁者たち」 アン・ペリー「英雄たち」 ピーター・ロビンスン「ミッシング・イン・アクション」 S・J・ローザン「ペテン師ディランシー」 レイモンド・ステイバー「メキシカン・ギャツビー」 G・ミキ・ヘイデン「メイドたち」 ジェイムズ・W・ホール「隠れた条件」 チャールズ・アルダイ「銃後の守り」 とても面白い&とても良いものがちらほら。 海外のミステリはさっぱりだけど(これの収録作すべて未読)おかげさまで読みたい作家が増えた増えた。ローレンス・ブロックってこんな面白いのか。 ローレンス・ブロック「ケラーの治療法」「ケラーの責任」、ダグ・アリン「ダンシング・ベア」、トム・フランクリン「密漁者たち」、アン・ベリー「英雄たち」が好き。 ローレンス・ブロック二作品は同じシリーズの作品だけど、主人公の魅力的なキャラ、彼の職業からもたらされる展開が予想外かつセンス溢れてて夢中になれるタイプの作品。ミステリ的な興味もしっかりあっていい。 ダグ・アリン「ダンシング・ベア」と、アン・ペリー「英雄たち」は、こんなのがあったのか!と驚き。前者は、中世スコットランドで兵士や領主が登場し、十字軍帰りの兵士が殺される本格ミステリ。どこの『折れた竜骨』?と思わざるを得ない。結末の持っていきかたが凄い。 アン・ペリー「英雄たち」はそのまんま日本のミステリ批評に接続できそうな内容。第二次世界大戦の塹壕を舞台に、従軍司祭が主人公。日夜死者が出る戦場で、一人の兵士の死が起こす「英雄」の物語。「そもそも何のために闘っている? 問題となっていることはあまりに大きく、同時にあまりに小さく身近だった」 トム・フランクリンは『ねじれた文字、ねじれた路』読んでたけど、文章の凄さを再確認。アメリカ南部の濃厚な空気が、地元の人同士のやりとりや生活感溢れるさまざまなモノの描写、土と緑の匂いからもたらされる。どろっどろの土俗的。 密漁者である三人の兄弟と、かつて彼らを育てた老人と保安官たちの物語は、中盤から伝説的な保安官とか出てきて、神話的な様相にも。 新刊出たら読みたい作家さん。
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「アメリカ探偵作家クラブ賞」(通称エドガー賞)の1990年から2007年までの最優秀短編賞を年代順に収録したアンソロジー。 *「悪党どもが多すぎる」D・E・ウェストレイク *「エリヴィスは生きている」リン・パレット *「9人の息子たち」ウェンディ・ホーンズビー *「メア...
「アメリカ探偵作家クラブ賞」(通称エドガー賞)の1990年から2007年までの最優秀短編賞を年代順に収録したアンソロジー。 *「悪党どもが多すぎる」D・E・ウェストレイク *「エリヴィスは生きている」リン・パレット *「9人の息子たち」ウェンディ・ホーンズビー *「メアリー、メアリー、ドラを閉めて」B・M・シュッツ *「ケラーの治療法」L・ブロック *「ダンシング・ベア」D・アリン *「判事の相続人」J・B・クーパー *「赤粘土の町」M・マローン *「ケラーの責任」L・ブロック *「密猟者たち」T・フランクリン *「英雄たち」A・ベリー *「ミッシング・イン・アクション」P・ロビンンスン *「ペテン師ディランシー」S・J・ローザン *「メキシカン・ギャッツビー」レイモンド・ステイバー *「メイドたち」G・ミキ・ヘイデン *「隠れた条件」J・W・ホール *「銃後の守り」C・アルダイ さすがというか、一つとして??な作品がないところがすごい。 やっぱり層が厚い、そしてその中から選ばれてくるというのは、とんでもないことなんだぁと感心してしまった。 そして、年代順に並んでるところが、またシブイ。 社会や世相そのものを描いているものはない。けれど、社会のもつ空気の暑さや、濃さが反映されてきているのが、いい。 「メアリー、メアリー、ドアを閉めて」の切なさには胸をしめつけられる。私には、芥川龍之介の「六の宮の姫君」に通じるものを感じる。 また「密猟者たち」の哀しさ。 不運な生まれで不運に育った兄弟の境遇をこれ以上もない冷静さで描いているからこそ、哀しい。そこには、1999年というアメリカの閉塞感が確かにある。 でもって、アン・ベリーはやっぱりいい。 なんで、最近本出ないんでしょうね。出してくださいよ、ホント。
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ローレンス・ブロックは1994年と1998年のケラーシリーズ。他の短編集にて読了済み。1999年まで読んで、あとはいずれまた。
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