歓迎!未亡人横丁 の商品レビュー
設定が見事にハマった色気のある物語
あとがきに記された『未亡人横丁』というキーワードとメインヒロインを『毎回いじめる』という目論見は大成功したのではなかろうか。ヒロインを“いじめる”のは亡夫の弟、つまり主人公の相手は兄嫁となり、これがかつてヒロインに恋慕の情を抱いており、しかも兄が体の交わりなく他界したらしく、未だ...
あとがきに記された『未亡人横丁』というキーワードとメインヒロインを『毎回いじめる』という目論見は大成功したのではなかろうか。ヒロインを“いじめる”のは亡夫の弟、つまり主人公の相手は兄嫁となり、これがかつてヒロインに恋慕の情を抱いており、しかも兄が体の交わりなく他界したらしく、未だ兄に心を残している嫁の「初めて」を奪うなんて抜群過ぎる。奪うと言っても無慈悲で酷な凌辱ではないのだが、かつて恋した兄嫁に未練を残す弟と、その想いを察しながら兄への想いも残す嫁という素敵な背徳感の中で、様々なシチュエーションで情交を重ね、次第に心移りしていく兄嫁の様子が描かれている。『心の方はゆっくり奪ってください』とのセリフが突き刺さる主人公に同意する。そして兄嫁の妹(主人公の同級生)もまたかつて主人公と恋仲にありながら兄に奪われるという過去がある。何でもかんでも兄に奪われる不幸な弟なのだが、この復権にあたっては、受け入れる姉妹もやや無節操に見えてしまうのが玉に瑕なので、この辺りの心情の変化、なぜ兄に向ったのか、そしてどういう心情で弟を受け入れているのかをきちんと描くべきだったかな、とは思う。あと、他の未亡人や夫に逃げられた夫人、未亡人の娘などとも関係を持つのだが、こうした多彩な女性陣にそれぞれ設定があるために結末が消化不良になっていることも否めない。兄の生前の様子がチラっと出てきたりもするが、これも未回収だったりする。設定を詰め込み過ぎたところに続編の話が持ち上がったため、回収をある程度先送りしたのでは?と思えるところがある。表紙では隠されている胸や体全体の描写はなかなか肉惑的で悪くなく、濃厚な情交描写も良かったので、整理された設定に結末までのストーリー展開さえきちんと練り込めば大いに化ける可能性を秘めた作品だった思う。次作での展開に期待したい。
DSK
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