人間の権利 の商品レビュー
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1971年刊。 フランス革命直後の荒々しい時代の中、英国人が提起したフランス共和制批判に対して反論を展開したのが本書である。 前提として、当時の英では、普通選挙の非採用はもとより、所謂、現代的立憲君主制度とは程遠かった実情を認識しておく要はあろう。 そもそも革命後の人権宣言でうたわれたのは選挙権拡大(ただし一時的)、結社の自由、人権保障の拡大など。他方、かような仏革命現象に対し、英国政治支配者層は生理的とも目される激しい反発をするが、これは、従来、特権的・世襲的に保持してきた権力を喪失する恐怖からだ。 米国独立革命を経た著者による、かような守旧派への反論を眼目にする本書が標的とするのは、英国の君主制。 しかも、それは、現代のように、選挙権が国民に広く認められ、当該立法権が君主権を抑制・凌駕し、それを形骸化させたものとは異質の君主制である。 それゆえに結論は至極当然だ しかし、その理由付けはやはり古典的かなと感じる。例えば、専制君主やその取り巻きの貴族の世襲制が、無能・無知な権力行使を生むという論法を著者は好んで用いる。しかし、これは世襲制専制的権力行使を想定しており、ナポレオンやヒトラーのような非世襲的専制者に対する批判たり得ないのだ。 さらに言えば、憲法に関する英国制度への批判は、当時の英国の特殊事情、つまり権利章典が未来永劫改正不可能と解された点が中心である。 換言すれば、権力分立の価値、人間の尊厳を維持拡充することに由来する各種諸制度、治者・被治者の可及的な自同性の実現に奉仕する普通選挙制や代議制については触れられるところは殆どない。これもまた批判の根拠が古典的と言われる所以だろう。 とはいえ、かような歴史的な限界を加味しても、世襲制批判や、専制的政治運営批判、普通選挙制度など現代的選挙制度の意義などをかみ締める上で、一読に如くはない感じではある。 初出1791~92年。
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一部がフランス革命とイギリス、二部がアメリカ独立とイギリスであった。二部の税金を徴収するときに、一般から税金を徴収するよりも金持ちから累進で税金を徴収するという方がいいということで、日本と正反対のことになるから「人間の権利」というタイトルに合致している。日本では消費税増税で、人...
一部がフランス革命とイギリス、二部がアメリカ独立とイギリスであった。二部の税金を徴収するときに、一般から税金を徴収するよりも金持ちから累進で税金を徴収するという方がいいということで、日本と正反対のことになるから「人間の権利」というタイトルに合致している。日本では消費税増税で、人間の権利の侵害である。
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