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新装版 図解 仏像のすべて の商品レビュー

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2015/01/15

タイトルに「図解」となるので(これはわかりやすそう)と思いましたが、なかなかどうして、難しさを感じました。 確かに図が多用されており、入門編となっていますが、私のようなビギナーにとっては入門編に留まらない踏み込んだ内容となっています。 ついわかりやすい本ばかり手に取ってしまう仏...

タイトルに「図解」となるので(これはわかりやすそう)と思いましたが、なかなかどうして、難しさを感じました。 確かに図が多用されており、入門編となっていますが、私のようなビギナーにとっては入門編に留まらない踏み込んだ内容となっています。 ついわかりやすい本ばかり手に取ってしまう仏教系の書籍ですが、たまに本格的な本を手にすると、果てしなく広がる広範な世界に目がくらみ(まだまだ知らないことばかりだ)と再認識することとなります。 日本のお寺の数は約7万5千。最大の寺院数を持つ宗派は曹洞宗で、約1万5千寺あるそうです。 「密教」とは「顕教」に対する言葉で、隠れた秘密宗教という意味ではないということが、これまでのイメージを覆すものでした。 顕教は衆生にわかりやすく説かれた教えで、密教は衆生にわかりづらい教えということだそうです。 そう考えると、密教という響きの怪しさや排他的な難解さが消えて、クリアに向き合えそうです。 仏像を見ただけで判断するポイントも紹介されています。 名前がないとさっぱり判別がつかないのは、まだまだビギナー止まりというわけです。 弥勒菩薩像の見分け方は、宝塔を頭に載せているか手に持っているかだそうです。 空海は「弥勒菩薩がこの世に下生するとき、ともに下生する」と言ったとのこと。 つまり、56億年後には弥勒菩薩と空海が共にこの世に再来するということでしょう。 聖天は、象を模した男女が抱き合っている姿で、露骨な表現を避ける日本の仏像としてはとても珍しい存在だとか。 秘仏となっているケースが多く、目にする機会が少ないとのことで、たしかに歓喜聖天を祀っている寺院でも、本尊はこれまで目にしたことがありません。 鬼の部下を率いて仏教の守護に当たるり、大根を持っている像もあるとのこと。 今度どこかで御開帳されていたら、見に行きたいものです。 聖徳太子は政治家で、一度も出家したことはないにもかかわらず、太子像がたくさん作られ信仰されたとありました。 確かに、「法隆寺展」では、聖徳太子の絵や像ばかり展示されていました。 実在の人物であらゆる宗派を通じて崇拝される像は聖徳太子と釈迦如来だけだとのことで、シャカに並ぶ聖徳太子のオールラウンドな人気の高さに驚きます。 孔雀明王は、明王なのに穏やかですが、馬頭観音は、観音なのに憤怒の表情をしています。 どちらも例外的な像で、一対を成しているようですす。 日本に仏像が伝来した時、普賢菩薩の乗っている象も文殊菩薩の乗っている獅子も、それまで日本人は見たことがなかったため、誤解が生まれたとのこと。 普賢菩薩の象には六本の牙があります。 そして文殊の獅子をどうやら犬らしいと考え、高麗犬だとしたそうです。 それが変じて狛犬になったため、狛犬にはたてがみがあるのだとか。 なるほど、狛犬のルーツは獅子にあったわけですね。 目黒不動は、目黒にある不動尊だからではなく、目黒不動のある土地だから目黒というのだそう。 今ではすっかり、地名ありきになっていますが、かつては不動尊ありきだったということがわかります。 武家中心に社会が発達した関東では、古くから不動信仰が盛んだったそうです。 明王にもさまざまな種類がありますが、旧日本軍が優れた対象に与えた称号「元帥」は、大元帥明王に由来しているというのは初耳でした。 果てしなく奥深い仏教の世界を垣間見ることのできた一冊です。

Posted byブクログ