燃ゆる頬・聖家族 の商品レビュー
聖家族 最後の一文で唸ってしまった。良い。堀辰雄らしい一種の青臭さというかロマンチストっぽさはありつつも、自分の中にあった死の影を認めて生を肯定できるという逆説や、親への反発の先にある尊敬といった、一見真逆の心情が表裏一体で存在しているということが矛盾なく描かれてる。娘が最後に幼...
聖家族 最後の一文で唸ってしまった。良い。堀辰雄らしい一種の青臭さというかロマンチストっぽさはありつつも、自分の中にあった死の影を認めて生を肯定できるという逆説や、親への反発の先にある尊敬といった、一見真逆の心情が表裏一体で存在しているということが矛盾なく描かれてる。娘が最後に幼子の表情に似つつあった、とはそこで初めて生まれ直した、自分の生を生き始めた、ということか。
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少年期、青年期と成長過程の心情のうつらうつらが 魅力的な一冊 現代小説に慣れてる人にはあまりオススメ出来ないかな…?
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『燃ゆる頬』読了。誰もが一度は通る道ではないかもしれんが、思春期の疑似恋愛と言う曖昧模糊としたものがしたためてある。粗野な上級生と、虚弱で透き通った肌を持つ同級生に寄せる感情が具体的になんなのかも把握できない未熟さ。 現在の小説と大いに違う所は、状況説明に合理性を持たせず、書きた...
『燃ゆる頬』読了。誰もが一度は通る道ではないかもしれんが、思春期の疑似恋愛と言う曖昧模糊としたものがしたためてある。粗野な上級生と、虚弱で透き通った肌を持つ同級生に寄せる感情が具体的になんなのかも把握できない未熟さ。 現在の小説と大いに違う所は、状況説明に合理性を持たせず、書きたいと思う風景・情景のみが書かれてある(同級生と旅行する事になったいきさつや、行くことに対しての主人公の気持ちの昂りなどは割愛されている)。 後々気付きながらもそれに決着を着けず感傷で終わるのみで、現在の自分を生きている人の何と多いことよ…と思わずにいられない。「ちょっといじらせない?」って…なんで触りたいと思うのか、動機さえ自覚のないままそうしている、と言うのが正に思春期の疑似恋愛…性的な欲望を具体的に自覚してないままに萌えている、と言う…
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初期の作品に触れられる一冊。例によって、ジブリ映画の影響で昔買った本を引っ張り出しているわけですが、映画「風立ちぬ」で、関東大震災が2人の出会いに大きく関連しているのは、麦藁帽子の影響があるのかも知れない。一方で、堀辰雄の小説の多くにおいて、結核なんかが描写されているだけで無く、...
初期の作品に触れられる一冊。例によって、ジブリ映画の影響で昔買った本を引っ張り出しているわけですが、映画「風立ちぬ」で、関東大震災が2人の出会いに大きく関連しているのは、麦藁帽子の影響があるのかも知れない。一方で、堀辰雄の小説の多くにおいて、結核なんかが描写されているだけで無く、生と死の境みたいなものが強く意識されるのは、震災の経験が影を落としていると見るのが自然かなと思う。 恢復期で「そんなに僕が生きていればいいと思いますの?」という疑問というものは、ある意味非常に傲慢で失礼である(が故か、これは、そう言えば良かったか、という形で示され、実際に言葉として発したわけではないと描写されている)が、この問いをぶつけられるほどの相手が居れば、実に、生きていることは当人の問題ではなくなるということである。つまり、自分は生きなくてはならないという制約が、世に存在するという認識を得る。 生きなくては、というのは、ちょっと無理か。こんなに簡単に死んでしまうような病気が蔓延している世界なのだから、生きようと努めなくては、であろう。ということで、話はif faut tenter de vivre.に戻ってくる。
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独特の文体で紡がれる話だが、『風立ちぬ』などと比較するといまいちという感じが拭えず。 結核など死の病が絶えず作品全体を覆いつつ、何とも言えない透明感とでも言うのか独特の空気が支配している。 こういった作品は現代作家では描き得ない(決して能力の問題ではないとは思う)し、読み継がれて...
独特の文体で紡がれる話だが、『風立ちぬ』などと比較するといまいちという感じが拭えず。 結核など死の病が絶えず作品全体を覆いつつ、何とも言えない透明感とでも言うのか独特の空気が支配している。 こういった作品は現代作家では描き得ない(決して能力の問題ではないとは思う)し、読み継がれて欲しいと思いますな。
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美しいなあ。飴細工みたい。あまやかだけれど、ところどころ煮詰まりすぎてて苦味がある。手で触れるとぽきっと折れてしまいそう。
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