B面の最初の曲 の商品レビュー
彼女は久しぶりの休暇の二日間で七人の彼に逢うことにした。雨の都会の二日間のストーリー。…なんだけどこれは駄目だった。JJに連載したものとのことだが、ただのお洒落な作品になってしまっていて。イントロの雨の都会の描写は良かったんだけどな。
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「連絡は公衆電話かホテルの電話」だとか、これは現在ならオートバイを愛する主人公というキャラを引き立てる記号として、作者の意図とは別にかっこよく機能してしまっている「水道の水を飲む事」だとか、よほどクールだと思ったのか続けて二回も描写される「缶ビールのプルトップを灰皿に捨てる事」など、所々時代性が楽しい。じゃあ戦前ものとかもっと錯誤はあるだろうとなるのだが、片岡もの、いやこの赤い背表紙角川文庫片岡ものは時代の最先端を標榜していたところに、いまやダサさと恥ずかしさと悲しさがある。新宿副都心周辺ホテルも当時は手が届かないくらいクールだった。都庁が出来て以降プチブルですら足を運ばない。話し口調やスタイルももうすでに爆笑もの。フランス短編の誰かみたいに描写が細かい。冒頭の首都高などはさながら現在のカーナビのようだ。主人公の行動描写も、連載していた女性誌を意識してか、性描写こそ省略しているものの、異常に細かい。水を飲む風呂に入る下着着る脱ぐ飯を食う、寝る。唯一排泄が抜けているのはつまりこの二日くらいは出なかったのだろう。便秘症という事で。穿ち読みが楽しかったのでこの点数。
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