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日本を襲ったスペイン・インフルエンザ の商品レビュー

4.1

9件のお客様レビュー

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2022/02/20

速水融 「日本を襲ったスペインインフルエンザ」 スペインインフルエンザを 発生から伝播経路に沿って、被害状況を記録した本。世界で 同時多発的に発生し、共通的な伝播経路や被害状況をたどっていることがわかる。新型インフルエンザを人類史として紐解くことは 人類存続の重要な要素だと思う...

速水融 「日本を襲ったスペインインフルエンザ」 スペインインフルエンザを 発生から伝播経路に沿って、被害状況を記録した本。世界で 同時多発的に発生し、共通的な伝播経路や被害状況をたどっていることがわかる。新型インフルエンザを人類史として紐解くことは 人類存続の重要な要素だと思う この本では 人類史の中で新型インフルエンザを どう捉え、スペインインフルエンザの特異性がどこにあるかを 明確にしている 新型インフルエンザを 人類史の中で「天災=自然現象」と捉え、今後も忘れた頃に発生するが、誰も予防できない事象としている。その中で われわれは何ができるのか という視点を提供している 天災に対して人類は何ができるのか *我々にできるのは 「減災」だけ〜いかに被害を最小に食い止めるか *そのために 歴史を知る必要があり、この本の意味がある 副題「人類とウィルスの第一次世界戦争」の通り、スペインインフルエンザは 人類史上、最初のウィルスとの戦いと位置づけている。「天災」であるので、発生地を 原因や悪とは考えていない さらに著者やアメリカの歴史家クロスビーは、最悪の新型インフルエンザでありながら、スペインインフルエンザが人々に忘却された点に特異性を見出している 著者は 日本においてスペインインフルエンザが忘却された理由として、同時期以後に起きた第一次世界大戦、関東大震災、日中戦争、太平洋戦争の影響によるものとした。 人間の記憶は、よりインパクトのある事象に上書きされることに驚いた。上書きされて消えないために歴史の記録の必要性があるように思う。

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2021/05/30

序章 ”忘れられた”史上最悪のインフルエンザ 第1章 スペイン・インフルエンザとウイルス 第2章 インフルエンザ発生ー1918(大正7)年春ー夏 第3章 変異した新型ウイルスの襲来ー1918(大正7)年8月以後 第4章 前流行ー大正7(1918)年秋ー大正8年(1919)年春 第...

序章 ”忘れられた”史上最悪のインフルエンザ 第1章 スペイン・インフルエンザとウイルス 第2章 インフルエンザ発生ー1918(大正7)年春ー夏 第3章 変異した新型ウイルスの襲来ー1918(大正7)年8月以後 第4章 前流行ー大正7(1918)年秋ー大正8年(1919)年春 第5章 後流行ー大正8(1919)年暮ー大正9(1920)年春 第6章 統計の語るインフルエンザの●● 第7章 インフルエンザと軍隊 第8章 国内における流行の諸相 第9章 外地における流行 終章  総括・対策・教訓 あとがき 資料1  五味淵伊次郎の見聞記 資料2  軍艦「矢矧(やはぎ)」の日誌 新聞一覧 図表一覧

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2021/02/02

細かい。ここまで調べられるものだろうか。 身近な話しが積み重なり、すぐ横で起きていた・起こる危機感を感じる。 その上で、なぜ?という過去と、どうする?という未来の話しがある。 書物による歴史学習か。

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2023/12/31

2006年の発行と少し前の本だが、新型インフルエンザが流行した2009年に“積ん読”してあったのだろうか。読みたいと思っていたら、年末書棚を整理したときに発掘された。 世界で2000万~4500万人、日本でも40万人程度が死亡したとされるスペイン・インフルエンザを本格的に取り上...

2006年の発行と少し前の本だが、新型インフルエンザが流行した2009年に“積ん読”してあったのだろうか。読みたいと思っていたら、年末書棚を整理したときに発掘された。 世界で2000万~4500万人、日本でも40万人程度が死亡したとされるスペイン・インフルエンザを本格的に取り上げた入魂の一冊だ。 地方紙も含めて全国の新聞を調べ上げ、データを元に分析しエピソードとともにまとめている。 もう100年前の前の話だが、本書には読めば読むほど今のコロナ禍に似た状況が出てくる。 力士の間で流行して新聞に「力士病」と書かれたり、船の中で感染が広がったり、満員電車に規制がなかったり。。。 本書に死者の定義がまちまちだったことが記されているが、状況は今も同じだ。何をもって新型コロナの死者にするのかが、国によって違っていて、流行の状況が正確に把握できない状況が続いている。ロシアのように死者数が大幅に修正されたケースもあった。 著者は巻末で「新型インフルエンザの流行それ自体を防ぐのは不可能と思われる。それは忘れようが忘れまいが『天災』のように必ずやってくる。我々にできるのは『減災』であり、それには歴史を知らなければならない」と警鐘を鳴らしている。 しかし今、新型インフルエンザを新型コロナに読みかえてみると、結局のところ多くを学んでいなかったことがわかる。 気になるのは本書に書かれた「後流行」だ。前流行に比べて、感染力は落ちたようだが、致死率が上がった。 日本の状況は欧米に比べて減災気味ではある。しかし感染症は繰り返し襲ってくる。「被害が少ないだけマシ」と気を抜いてはいられないのである。

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2020/06/07

1918年から1920年にかけて猛威を奮ったスペイン・インフルエンザについて、数量資料としては日本帝国死因統計等を、記述資料としては、府県や外地の新聞記事、各種報告書等を駆使して、日本の被害実相を明らかにしようとしたものである。 特に、史料の乏しい、当時日本の支配下にあった海外地...

1918年から1920年にかけて猛威を奮ったスペイン・インフルエンザについて、数量資料としては日本帝国死因統計等を、記述資料としては、府県や外地の新聞記事、各種報告書等を駆使して、日本の被害実相を明らかにしようとしたものである。 特に、史料の乏しい、当時日本の支配下にあった海外地域にまで探求の手を伸ばして、被害の全体像を明らかにしているところは、本書の特色であろう。 日本は、スペイン・インフルエンザの災禍からほとんど何も学ばず、あたら犠牲者の死を無駄にしたというのが著者の苦い感想である。そのこと自体を教訓に、必ず来るであろうインフルエンザ・ウィルスの脅威にどう対して行くべきか、誰もが当事者となる我々一人ひとりの課題である。

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2020/05/25

世界で2000-4500万人、日本でも70万人以上が亡くなったスペインインフルエンザについて、データや新聞記事をもとに分かりやすくまとめてくれている。 発生の原因は進化したウィルスを渡鳥から人に感染したこと。 パンデミックになった要因は、戦争と各国が発表を控えたため。唯一発表を...

世界で2000-4500万人、日本でも70万人以上が亡くなったスペインインフルエンザについて、データや新聞記事をもとに分かりやすくまとめてくれている。 発生の原因は進化したウィルスを渡鳥から人に感染したこと。 パンデミックになった要因は、戦争と各国が発表を控えたため。唯一発表をしたのがスペインだった。よって、スペイン風邪という不名誉な名前となった。 しかし、これは日本人の記憶から忘れられていた。 理由は有名人が死ななかったこと。後の関東大震災の方がインパクトが強かったこと。その後、日中戦争に突入したことが挙げられる。 日本人の記憶から忘れられているが、大正デモクラシーの好況に沸く日本の動きを止めたのも事実としてある。 ただ、それが、社会的にどんな変化をもたらしたのかについて、筆者なりの限界が欲しかった。

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2020/04/23

再読。前回読んだときにはあまり意識しなかったが、なぜこのインフルエンザが人々に忘れ去られたのかということは非常に大事な問題であるとあらためて感じた。当時の新聞資料が膨大に残されているのにもかかわらず、である。 理由として考えられるのは、1つには新聞資料がそもそもきちんとアーカイ...

再読。前回読んだときにはあまり意識しなかったが、なぜこのインフルエンザが人々に忘れ去られたのかということは非常に大事な問題であるとあらためて感じた。当時の新聞資料が膨大に残されているのにもかかわらず、である。 理由として考えられるのは、1つには新聞資料がそもそもきちんとアーカイブされてこなかったこと(資料として利用しにくい)。2つ目には新聞資料を駆使して当時の社会状況を再構成しようとする歴史家があまりいなかったこと(方法の問題)が挙げられよう。 新聞資料は速報性第一なので初発時点では誤っていたり、続報がなかったりするので丁寧にトレースすることが難しい。しかし、著者はその点、大量にかつ丹念に読み、とくに地方新聞にも目を配ることによってこのインフルエンザの特徴、社会的意味を再構成することに成功していると思う。 再読して新聞資料(この本にはあまり使われていないが当時の文学作品や雑誌資料なども)の重要性にあらためて気がつかされた。

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2020/04/15

「スペイン風邪」という言葉はあったものの、その実態はほとんど知られていないのが現状で、まともな文献がないのも不思議であった。その意味で本書は貴重な記録である。

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2020/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フォトリーディング&高速リーディング。 この手の資料本では自己基準最高の星四つ。 久しぶりに重厚な本を読んだ。2006年刊行。日本政府発表では38万人死亡とされたスペインインフルエンザの死者数が、実は45万人であったと著者は語る(当時は人口5千5百万人---内地のみ)。地方紙を中心にその伝来と猖獗する状況を、全国に分けて記録した本。 結論的に著者は、日本はこのウイルスから何も学んでいないとする。しかし「何も学んでいない」ということを学びとし、次に備えると本書で提言している。 1918年春から「春の前触れ」と呼ばれる一波が全世界に広まる。1918年秋には前流行。1919暮れから1920春にかけて後流行。計3波のピーク。 本書によればドイツは第一次大戦に勝利していたが、1918年の前流行で兵士が感染し、撤退。終戦となる。列車砲でパリを攻撃し、陥落寸前だったとの事。然し突撃の支持にも兵士が従えない程の流行となり、撤退を余儀なくされた。その後内政問題が起こり皇帝は退位。終戦。 スペイン風邪と言われるが、アメリカ西部の発。 後になるほど患者数は減る。然し悪性になる。 日本では村が全滅するようなことがあちこちで展開。 3つの波を越した日本は、1918&1919年の人口の落ち込みがあったが、1920年にはベビーブームとなる。(武漢肺炎後も?) このインフルエンザは世界的に忘れられている。その理由を米国の学者は、戦勝気運に浮かれていた事、米国が世界覇権の頂点に立ち、するべき事があったこと、などを上げる。 著者は日本の場合は、社会主義の台頭やその反動勢力の影響を上げる。つまり社会が色々と騒がしかったせいとする。

Posted byブクログ