罪なき誘惑 の商品レビュー
兄の放蕩を止めようとロンドンのとある屋敷を訪ねたルイーザ。だが時すでに遅く、兄はカードで一世一代の賭に出ていた。もし負ければ、唯一残ったサリー州の館も手放すことになる。相手はアリステア・ダンスタン卿。兄がかなう相手ではない。百戦錬磨のダンスタン卿は予想どおり簡単に勝負をものにする...
兄の放蕩を止めようとロンドンのとある屋敷を訪ねたルイーザ。だが時すでに遅く、兄はカードで一世一代の賭に出ていた。もし負ければ、唯一残ったサリー州の館も手放すことになる。相手はアリステア・ダンスタン卿。兄がかなう相手ではない。百戦錬磨のダンスタン卿は予想どおり簡単に勝負をものにすると、その傲慢そうな瞳をきらめかせ、ルイーザに視線を送ってきた。まあ、この紳士はわたしを兄の愛人だと思っているんだわ!どうしても館を救いたいルイーザは悩んだ末、ある作戦に出る。「四千ギニーいただけるなら、ひと晩、お相手を務めます」。 兄の借金返済のために一夜の愛人契約を結んだヒロイン。そのまま何事もなく終わればそれまでなのに、妊娠という思いがけない結果になってしまって、という物語。 十八世紀のロンドンなら確かに避妊は特定の人々しか知識は無さそう。田舎の屋敷を守るためとはいえ、ヒロインの行動は立派な売春行為なわけで、褒められない。でも放蕩者のヒロインの兄の愛人がするなら、そんな行為も不思議ではないと思われているあたり、十八世紀のロンドンっていったい、と思う。 オロオロとするばかりのヒロインにたいして、ヒーローは男らしく結婚を決める。もっともそれは紳士として当たり前の行動なだけで、他に意味はない。それでもヒロインはヒーローに惹かれて、夫婦の行為がされないことを不満に思ったりして、けっこう自分勝手。実はヒーローもヒロインに好意を持っている、というのはお約束。 ヒロインやヒーローの妹のまわりをウロウロする実業家の姿がアクセント。ヒーローの前妻の死をヒーローのせいだと復讐を誓っている。なにかとちょっかいをかけてきて物語に奥行きを出している。 しかし博打で財産を持ち崩しただけのヒロイン兄。ちゃっかり恋人を得てみたりと、いないと話しにならないけれど、イライラさせられる存在だった。
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