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魔女物語 の商品レビュー

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2011/04/07

ユーモアものを得意とした女性作家(1872-1952)による連作短編集。 亡命中の1930年代に発表。著者は祖国に戻ることなくパリで生涯を終えた。 魔女(ヴェヂマ)・ドモヴォイ(家の魔)・レシャチーハ(森の魔の女房)・ルサールカ(水の精) まじない師(ヴェドゥーン)・ウォジャノ...

ユーモアものを得意とした女性作家(1872-1952)による連作短編集。 亡命中の1930年代に発表。著者は祖国に戻ることなくパリで生涯を終えた。 魔女(ヴェヂマ)・ドモヴォイ(家の魔)・レシャチーハ(森の魔の女房)・ルサールカ(水の精) まじない師(ヴェドゥーン)・ウォジャノイ(水の魔)・ヤガー婆さんなど15編。 田舎の屋敷、妖怪は当然存在すると信じているばあや・料理女・小間使いに御者や村人たち、 そんな影響を受けてか、半ば恐れを抱いている語り手の若い女性(お屋敷のお嬢さんなど)。 これは夏には母方の領地で過ごした著者が、体験した農村の暮らしが反映している。 妖怪が直接は現れず、騒ぎや事件は幻想的・心理的なものとして解決を見るものも多い。 二人(?)の妖怪に化かされる(互いに相手が妖怪だと語り手に信じ込ませる)ユーモラスなものも。 ちょっと毛色が変わって面白いのが、都会が舞台の「化け物たち(オーボロチェニ)」と「妖犬」 悪魔崇拝の流行や、マヤコフスキーはじめ多くの詩人が朗読を行ったカフェ「野良犬」の 詳しい描写など、ロシア文学・芸術の「銀の時代」の享楽的なペテルブルグの雰囲気が横溢。  どの短編も祖国へのノスタルジアに満ちている。 迷信が生活の一部となっている人たちも、妖怪たちを産んだロシアの大地も愛おしいのだ。

Posted byブクログ