ジョーカー・ゲーム の商品レビュー
大日本帝国陸軍内に作られたスパイ養成の‘D機関’。敵を殺す事と自分が殺される事が大前提である軍隊の中で、魔王と呼ばれる結城中佐は「殺人と自死は最悪の選択肢」「スパイとは見えない存在であること」「何にもとらわれない事」を訓練生に徹底的に叩き込む。人並み外れた頭脳と能力をもスパイ達は...
大日本帝国陸軍内に作られたスパイ養成の‘D機関’。敵を殺す事と自分が殺される事が大前提である軍隊の中で、魔王と呼ばれる結城中佐は「殺人と自死は最悪の選択肢」「スパイとは見えない存在であること」「何にもとらわれない事」を訓練生に徹底的に叩き込む。人並み外れた頭脳と能力をもスパイ達は「任務への忠誠心」も「愛国心」も持たず、ただ「この程度の事は自分にならできるはずだ、できなければならない」という強烈な自負心のみで困難な任務をこなしていく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる2重3重の騙し合い。5編の短編集に収められた軽く楽しめるスパイミステリー。
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話題になっていた本。D機関というスパイ養成学校の創設者結城中佐とそのスパイたち。「みえない存在」であることをゲームとして楽しんでいるかのような彼らの物語は劇画的であり、するする読める。そして、意外なおちの結末。難しいことを考えないで楽しめた。中でも「ロビンソン」は傑作。「死ぬこと...
話題になっていた本。D機関というスパイ養成学校の創設者結城中佐とそのスパイたち。「みえない存在」であることをゲームとして楽しんでいるかのような彼らの物語は劇画的であり、するする読める。そして、意外なおちの結末。難しいことを考えないで楽しめた。中でも「ロビンソン」は傑作。「死ぬことは愚かなこと」という考えの下、敵に正体を知られてもなおスパイとして敵を欺こうとする。しかし、それすらもただ彼らにとっては己の優秀さを問うゲームに過ぎない。吉川英治賞という事だがなかなかの娯楽小説だった。
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既読。 舞台は戦前日本、D機関と呼ばれるスパイ組織の話。 陸軍中野学校のようなものかと手に取ってみたら、ずいぶんスタイリッシュな文体で驚いた。 雰囲気や空気はだいぶ軽く、さらりと読める。 もし続編があるなら、戦後の結城中佐の話を読んでみたい。
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伊坂幸太郎さんが推薦文を書いてたので気になってて、 あと表紙に書かれてる人がスト?のヴェガに似ててかっこよくて、読んでみた。 いやー、面白かった。 けど、まぁまぁともいえる。読みやすい。読みやす過ぎて軽い。 でもスピード感があって続きが気になってページをめくる手が止まらな...
伊坂幸太郎さんが推薦文を書いてたので気になってて、 あと表紙に書かれてる人がスト?のヴェガに似ててかっこよくて、読んでみた。 いやー、面白かった。 けど、まぁまぁともいえる。読みやすい。読みやす過ぎて軽い。 でもスピード感があって続きが気になってページをめくる手が止まらなかった。 D機関に所属する訓練生は1度読んだ文書は一言一句間違えずに覚えていられるとか、 2日もあればある1人の人物に完璧になりすませるとかが 出来て当たり前というような化け物の集まりで、およそ優秀にはほど遠い自分にとっては 「ほぉーんとかよぉー!?」 と疑う感が否めない面もあったけど、まぁ小説だし。 それぞれの話はそんなさまざまな訓練生がそれぞれ主人公となって進むわけですが、 読んでていいなぁと思ったのは、主人公であるスパイが徹底して目立たないように仕事をしている点。 個人的に好きなのは他の話とは毛色が違う気がする最終話「XX ダブルクロス」。 「スパイは疑われた時点で終わりだ」という結城中佐の教えのもと、別人になり済まし、 誰にも気付かれず疑われることなく、必要な情報を探り出し、探った痕跡も残さず消して去っていく。 そんな任務を繰り返すこなす。 自分がどれだけすごい仕事をしても知られるわけでもなく、功労を称えられるわけでもない。 そこにあるのは孤独、だと思うのですが、訓練生はまるでゲームのように仕事をこなしていく。 彼らを仕事に駆り立てる理由を、「ダブルクロス」の主人公である飛崎は自負心であるという。 「自分になら、この任務を遂行することが出来る」 「この程度のこと、自分は出来なくてはならない」 そういう、手に負えないほどの自負心だ、と。 名誉や名声を得られない任務に求められるのは、究極的には、そういう自己満足なんだろうなぁ、 と思うととても納得した。 結局飛崎はD機関を辞めるのだけど、でもそれは飛崎にとっては自負心なんかよりも 大事な捨てきれない感情があることに気付いたからで,その人間臭さにとても魅力を感じた。 最後に飛崎に向けて言った結城中佐の言葉も・・・・!かっこ良かった。
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陸軍スパイ養成機関を舞台とした短編集。私には信じがたいような体力と知力と精神力を備えた人々が、自己に対する信念だけで任務を全うするストイックな状況。人間としての甘さや感情をすべて越えたところにいる彼ら。何も信じられない世界で認識するものは、「自分」でしかない。ジョーカーゲームの駆...
陸軍スパイ養成機関を舞台とした短編集。私には信じがたいような体力と知力と精神力を備えた人々が、自己に対する信念だけで任務を全うするストイックな状況。人間としての甘さや感情をすべて越えたところにいる彼ら。何も信じられない世界で認識するものは、「自分」でしかない。ジョーカーゲームの駆け引きを楽しめるほどになるには「こだわらない」ことに「こだわる」しかないということか。どこか劇画っぽさもありながら、昭和のまったくの闇を感じる面白い作品だった。
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スパイ養成学校、そして結城中佐。 この設定が凄い興味深く感じられたのですが…小説として、描ききるのは、この短編集の内容じゃ、ちょっと物足りないなぁ。(*_*; 結城中佐という人物に、もっとスポットライトあてて欲しいかも。
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昭和初期の日本陸軍に作られたスパイ養成学校の話。 発案者である結城中佐の下、任務を遂行する彼らは何を思うのか。 あまりに完璧すぎて、非現実的に感じた。 訓練期間の描写があったなら、説得力が増したかも。
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架空の日本陸軍スパイ養成機関の話.人間ってこんなことできるのか??って感じのところもあったけど,おもしろかった.
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スパイ小説ではあるが、その活動を通してスパイの本質を鋭く説いている。キャラに焦点を当てるわけでもなく、任務をシンプルに描くことで全体に統一感があり、非常に硬派な印象を受ける。第二次世界大戦前の日本が舞台だが、この時代設定が不思議と物語に合っている。装丁も含め、小説自体が独特の雰囲...
スパイ小説ではあるが、その活動を通してスパイの本質を鋭く説いている。キャラに焦点を当てるわけでもなく、任務をシンプルに描くことで全体に統一感があり、非常に硬派な印象を受ける。第二次世界大戦前の日本が舞台だが、この時代設定が不思議と物語に合っている。装丁も含め、小説自体が独特の雰囲気を持っており、スパイ小説というよりは、ハードボイルドの世界観に近いかもしれない。『007』のような王道を好む読者には肩透かしだろうが、スパイという職業に興味があるなら、是非手に取ってみることをお勧めする。個人的には続編を期待したい。
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ミステリーは謎解きが目的だ、という方は正直読まない方がいい。 推理そのものは大したことがないです。すぐ先が読めるので。 短編集的な作りになっているのですね。 最初と最後の話が上手かった…。これに挟まれたら、引き込まれて奪われるよ。 ただ事件が起こって真実を解き明かして物語が終わる...
ミステリーは謎解きが目的だ、という方は正直読まない方がいい。 推理そのものは大したことがないです。すぐ先が読めるので。 短編集的な作りになっているのですね。 最初と最後の話が上手かった…。これに挟まれたら、引き込まれて奪われるよ。 ただ事件が起こって真実を解き明かして物語が終わるわけではなく、 そこらかしこに転がる人の感情や問題点が重要なんだろうな。 かっこいいです、登場人物。 各々の生き様が。
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