坂口安吾全集(1) の商品レビュー
収録作品:木枯の酒倉から/ふるさとに寄する賛歌/風博士/黒谷村/帆影/海の霧/霓(ニジ)博士の廃頽/竹藪の家/蝉/群衆の人/母/Pierre Philosophale/村のひと騒ぎ/傲慢な眼/小さな部屋/麓/姦淫に寄す/訣れも愉し/麓(戯曲)/淫者山へ乗りこむ/蒼茫夢/金談にから...
収録作品:木枯の酒倉から/ふるさとに寄する賛歌/風博士/黒谷村/帆影/海の霧/霓(ニジ)博士の廃頽/竹藪の家/蝉/群衆の人/母/Pierre Philosophale/村のひと騒ぎ/傲慢な眼/小さな部屋/麓/姦淫に寄す/訣れも愉し/麓(戯曲)/淫者山へ乗りこむ/蒼茫夢/金談にからまる詩的要素の神秘性に就て/逃げたい心/西東/おみな。解説は柄谷行人「堕落の倫理」。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
内容濃すぎて全然読み終わらないんだけど、 別に彼の作品を読んだことがあって、それ以来彼の作品のファン。 どこが好きか、読み終わったものから少しずつ書いていく。 とりあえず、ひとつ。「竹薮の家」を読みながら、思ったこと。 どうしよもなく堕ちてしまった、どん底の生活に、 慣れきってしまえば、そこも都だと思えるのかもしれないのだけれど、 当てもなく、希望もなく、這い上がれもしない真っ暗闇の中で、 やるせなくて叫びだしたくなる、泥沼のような現実を突きつけられてさえ、 無情にもそんな我々とは無関係に、ひたすらに蒼く美しい空は広がる。 というリアルを、虚飾なく鮮やかに描いているところ。 「麓」 ―君はなぜ、動物にならないかね! ―人間の心にすむ動物はどういうことになるのだね?押さえつけるか、殺すか、それとも秩序の中へ慣らすのかね? というわけで追記。10月7日に読み終わる。 私の中の安吾考察。 読み辛い本なのに、何でこんなにも惹かれるのかしら、と。 ひとつ、考えたこと。全てじゃない。 なんだかとても、いやらしいのだ。 官能小説とかそういう類のものとは違ういやらしさ。 お金がなくて、その日暮らしで、底辺に近い生活水準で、 その苦しさに涙し、怒り、「死」が隣り合わせにあるような生活。 その中で、性欲だ何だは、「動物的であること」を助長するにすぎないものかとおもいきや、そうじゃない。 そういったシーンを書く時の彼の筆はものすごく流暢で、よどみない。その駆け抜けるように描いた流麗な文にぐいぐいと引き込まれる。 状況のみを微細に描くことで浮かび上がる男女の心情は、とても性欲を人間的に捉えられるというか。 なにかうまく言えないのだけど、とても違うんだ。 村上春樹みたく、ファッションでセックスするみたいな軽い感じじゃなくて、もっとべたべたして、重苦しくて、ただひたすら「いやらしい」感じがする。 逆に、ファッション的にいろんな女の子と寝てみたり、簡単にセックスについて語ったりするほうが、「動物的」なのかもしれない。(まぁ、私は今まさにつぶやくようにそれをしてしまってるわけですが。) 女の子と寝たよ。たまにすごくそういうことをしたくなるんだ。 と言える(ごめんなさい。なんか村上春樹の一節に出てきそうな言葉を勝手に作ってしまいました)空虚な薄っぺらい感じは、恐らく彼の世界を描くに必然的な要素なのであろうけれど、 「自分は『人間』だけど、『動物的野性』も忘れてないんだぜ」というようにも受け取れるメッセージは、なんだかとても、「人間」と「動物」を区別していて、区別してるがゆえに、「動物」が際立ってしまう感じがする。それが良い、悪いは別にしてね。 「淫者山へ乗り込む」のあの触れるか触れないかのところで視線が絡みあって、気持ちが爆発しそうになる感じとか、たまんないね。性欲というか獣欲でしょう。でもそれが逆に、たまらなく人間臭くていいんだわ。 つまり。 自分の中に、「人間」と「動物」を区別しようとする気持ちがあるんです。 で、わたしはそれ、勝手に「性欲コントロールできるか」とか、「動物的に反すること」を「人間」なんかと勝手に二項対立にして解釈してたんだけど、どうやらこのことに関しては意識の転換が必要な感じがします。 読み進めてみて、その答えが見つかればいいなぁ、と思う。
Posted by
『ふるさとに寄する讃歌』(角川文庫)が絶版のためにブクログで登録できなかったので、こちらを代わりに登録。 「ふるさとに寄する讃歌」「黒谷村」「海の霧」「霓博士の廃頽」「蟬」「姦淫に寄す」「淫者山に乗り込む」「蒼茫夢」「おみな」「木々の精、谷の精」「波子」という、安吾の初期作品計一...
『ふるさとに寄する讃歌』(角川文庫)が絶版のためにブクログで登録できなかったので、こちらを代わりに登録。 「ふるさとに寄する讃歌」「黒谷村」「海の霧」「霓博士の廃頽」「蟬」「姦淫に寄す」「淫者山に乗り込む」「蒼茫夢」「おみな」「木々の精、谷の精」「波子」という、安吾の初期作品計一一篇を収録した短篇小説集。 難解な作品が多かったが、その中でも「ふるさとに寄する讃歌」は特に難しく感じた。これについては論文を読むなどして理解を深めようと思う。
Posted by
堕落論、日本文化私観との衝撃的な出会いは良かったのか悪かったのか。ハマったら最後抜け出せない作家の一人でしょう。自分がが唯一全集を持っている作家。破滅型などではなく、しごくマットウに生きようとした人。ただ、その熱量が大きすぎたのでショウ。
Posted by
- 1