定本 啓蒙かまぼこ新聞 の商品レビュー
冒頭のかねてつ企画書。やっぱりすごい。営業ビジネスマンの技術がふんだんに盛り込まれて、もっともらしく出来上がっていて、圧倒されます。 コピーライターや広告業界営業職の人なら当然の技術なのかもしれないが、並みの営業マンはこんな文章、書けないんじゃないでしょうか。こんな笑える内容...
冒頭のかねてつ企画書。やっぱりすごい。営業ビジネスマンの技術がふんだんに盛り込まれて、もっともらしく出来上がっていて、圧倒されます。 コピーライターや広告業界営業職の人なら当然の技術なのかもしれないが、並みの営業マンはこんな文章、書けないんじゃないでしょうか。こんな笑える内容の企画書は実際には使えるかどうかわからないが、そこに詰め込まれた技術は非常に高いと思います。 分量はそこそこあるのに、ページ内の配置がすばらしい。多くの文字が圧迫感なく並ぶ技術、空行や改ページ、太字、少々の調査データ、箇条書き、字下げ。文章は「ですます体」で時代の流行語や文化を背景として豊富に駆使して顧客を説得します。 著者は関西出身で、関西弁を自由に操りながらも、首都東京の標準語、しかも、業界用語や流儀に精通しているようにお見受けします。教養あふれる言葉や広告業界的な思考回路に、どうも東京臭さを感じてしまいますね。マンガに出てくるおでん屋の講釈垂れおやじ。これも、いかにも東京風だと思います。それに著者の落語の知識は江戸落語ベースになっているようにもお見受けします そんな「東京モン」をバカにするのは、正しい関西人(ワタシ)の流儀。なので、マンガや文章には、教養がにじみ出ているのですが、教養を辱しめる体で書かれていると、私にはこれがウケてしまいます。 12コマ完結のマンガ「微笑家族」はまことに出色の出来。無言の間(ま)がとても多いのですが、これがとても効果的(このテクニックには先達がいて、すでに普通になっていたかもしれないが)。1作12コマのほとんどが間で埋め尽くされた作品まである(1回しか使えない技だ)。 「微笑家族」に現れる脇役がまたすごい。こちらも表情があまり変わらない。チャーリー、ティミーというネーミングのぶっ飛び方にも参りました。 「苦笑マンガ ご・ぼ・て・ん」では、初めの10作ほどで、父のサングラスをかけていなくて、これはとても残念。キャラ立ちが全く弱い。 さらに、主人公親子の表情の変わらなさもすごい。ストイックな絵によって、却ってすべての感情を盛り込むことができているように思う。「微笑家族」に比べると、後半のマンガ「中島らも4コマ傑作選」は登場人物の表情がもっと豊かだが、それなのに、なぜか圧倒的に物足りない。 後半の文章によるエッセイも捧腹絶倒です。マンガも含めて、私の中では、中島らもは「昭和軽薄体」として位置付けられています。文体としてはもっと普通ですが、小市民的な狭窄視野のストーリー仕立てが、あの時代に開花した昭和軽薄体として感じられます。
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楽しい本でした! 中島らもの若い時の仕事、ですね。巻頭の企画書がすごいと思いました。 惜しむらくは、漫画と社説を別々に掲載するのではなく、実際の紙面を再現してもらいたかった。全ページは無理かもしれないけど、1回分だけでも「こんな感じ」というのを見せてほしかったかな・・・!
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ビブリオバトルin立誠で紹介した本です。 https://www.facebook.com/bibliobattle.fushimi/posts/420667224731058?stream_ref=10
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画期的企業広告といわれたカネテツの4コママンガ、激シュールです。てっちゃんの顔が夢に出てきそうだ。企画書も載っていて書き方がまた魅力的。単行本(1987年・ビレッジプレス)の解説は村上春樹。
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てっちゃんの表情が良すぎ。 あとイマーゴ! あのエッセイはいい。 コピーライター時代の漫画とエッセイが中心です。
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のちのエッセイに続く、らもさんのエッセンス満載。新しいことをやってやろうっていう意気込みがらもさんらしく出た広告だったんですねぇ。
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