13番目の物語(上) の商品レビュー
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古本屋で働く「わたし」の元に、一通の手紙が届いたことから始まる話。 手紙の差出人は謎多き女流作家ヴァイダ・ウィンター。 「わたし」ことマーガレットは、ヴァイダの伝記を書くため、彼女の住まうヨークシャーの屋敷に赴く。 そこで語られたのは、驚くべき過去の物語だった。 物語の登場人物が物語を語る形式が大好きなので、「老人が若者に半生を語って聞かせる」というシチュエーションにホイホイされた。 かなりお気に入りの本。 ファンタジー小説、特に詩的な文章の本を読んでいる時に感じるゾクゾク感を本書でも感じた。 本好きのための本だと思う。 ジャンルはファンタジーと言うより、ゴシック小説っぽいミステリー? 『ジェーン・エア』や『嵐ヶ丘』の雰囲気に近い気がする(作中にもジェーン・エアやディケンズの小説が出てくるし) 老作家の過去は暗く謎めいていて、それだけでも惹き付けられるが、現在の「わたし」も問題を抱えているようで目が離せない。 昔話に隠された真実、「13番目の物語」の意味。あの人とこの人の意外な関係。 様々な謎と伏線がラスト付近で一気に明かされる。快感だ。 キーワードは本と双子。本に関する描写が素晴らしい。本好きの心理をこれでもかと突いてくる。 マーガレットとヴァイダ両人にとって「双子」が重要な意味を持っており、その描写にもまた感動した。
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父の古書店を手伝いながら、趣味で小さな伝記物を書いて静かに暮らしていたマーガレットのもとに一通の手紙が届く。 差出人はプライベートの全てが謎に包まれた著名なベストセラー作家、ヴァイダ・ウインター。 手紙には自分についてのすべてを語ると書かれてあった。 その手紙にひきつけられたマー...
父の古書店を手伝いながら、趣味で小さな伝記物を書いて静かに暮らしていたマーガレットのもとに一通の手紙が届く。 差出人はプライベートの全てが謎に包まれた著名なベストセラー作家、ヴァイダ・ウインター。 手紙には自分についてのすべてを語ると書かれてあった。 その手紙にひきつけられたマーガレットは作家の住まうヨークシャーの屋敷へ赴く。 そこで語られ始めたのは驚くべき未完の物語であった。。。 ときわさんからオススメいただいた作品。 とてもよかったです!ありがとうございました。 ほとんど国産ものしか読んでいない私。 輸入ものはどうも名前を覚えるのが苦手で・・・。ミドルネームや愛称(?)とか、一人に名前がたくさんあるので混乱してしまうのです。 風景などの描写もやたら詩的だったり。。。訳者さんによるのでしょうか。 それなので今回もなかなか世界に入れず、入口でもたもたしてしまいました。 が、ヴァイダが語りだしてからは一気にひきこまれ、下巻になってからはもう一気読み。 これこそが本当の物語なのか?ほんとうのことを話してくれているのか? 先が気になって気になって、しかたがありませんでした。 マーガレットも活字中毒者で、残りページを確認しながら読書するくだりがあって、まさにそんな感じでした。 語られる内容はけっこう眉をひそめるようなものだったりするのですが、とても静謐な印象。 ヴァイダが語るという手法のせいでしょうか。 そしてそれを聴くマーガレット自身の影にもよるのかな。 しかし読むタイミングを間違えました。これは相当痛いです。 途中感じた違和感から、おそらく肝であろうミステリ的仕掛けに途中で気がついてしまったのです。 おかげでじゅうぶんなカタルシスが味わえませんでした。本3つなのは読み手の問題です。 それでも今は、とても上質な物語を読んだ~!という充足感でいっぱいです。
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上下巻読了。 あらゆる謎、過去と現在の繋がり、落とし穴。すべてが胸をゾクゾクさせました。ボリュームはあるものの、読んでる最中いっさい飽きさせないのはすごいです。ひたすら先を焦ってしまいます。 読了後は、なんともいえない温かい気持ちに包まれました。 若干タイミングが良すぎるところな...
上下巻読了。 あらゆる謎、過去と現在の繋がり、落とし穴。すべてが胸をゾクゾクさせました。ボリュームはあるものの、読んでる最中いっさい飽きさせないのはすごいです。ひたすら先を焦ってしまいます。 読了後は、なんともいえない温かい気持ちに包まれました。 若干タイミングが良すぎるところなど気になるところはあったものの、ラストの閉めあたりが非常に私の好みだったので★×5つけました。 一つの館の終焉までの一時、そこに関わった人々の物語。 見返しの若草色の紙と装丁が素敵です。
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古書店で本に囲まれて育った伝記作家の「わたし」の元に、一通の手紙が届いた。 差出人は「ヴァイダ・ウィンター」、英国を代表する著名な作家である。彼女の元にはこれまで数多くの記者たちが取材に訪れている。だが、誰ひとりとして真実を聞き出せた者はいなかった。その彼女がわたしに真実を語ると...
古書店で本に囲まれて育った伝記作家の「わたし」の元に、一通の手紙が届いた。 差出人は「ヴァイダ・ウィンター」、英国を代表する著名な作家である。彼女の元にはこれまで数多くの記者たちが取材に訪れている。だが、誰ひとりとして真実を聞き出せた者はいなかった。その彼女がわたしに真実を語るという。 屋敷を訪れた私に、彼女が話し始める。 それは、エンジェルフィールドに生を受けた双子の姉妹の物語だった。 誰をも魅了する物語を書く作家、その生い立ちは謎のヴェールに包まれている。彼女はいくつもの物語を作り上げけして真実を話そうとはしない。 その著書に『変化と絶望にまつわる十三の物語』がある。現代小説には興味がなかったわたしをも魅了する本だった。ところが、十三番目の物語は存在していなかった・・とすると、ここで彼女が語る生い立ちが十三番目の話となるのか?そう考えてしまいますね。 攻撃的で残虐な『アデライン』(のちのヴァイダ・ウィンター)と受動的で感覚が鈍い『エメライン』。一人の人格を二つに分けたような双子の彼女たちは、親からかえりみられず、自分たちだけの世界に住んでいる。いったん引き離され、生きる屍のようになりもう一度いっしょになるも、その傷は深く、まったく以前と同じという訳にはいかなかった。 上で語られるのはこんな感じでしょうか。 双子の一人が亡くなり、半身を失ったと感じる作家と、同じように感じている伝記作家がその生い立ちを聞く。淡々と語られる話はすさまじいものがあります。 下ではどのように進んでいくのか楽しみです。
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謎めいた作家の半生のお話。ぐんぐんと話に引き込まれていったが、ちょっと私には長すぎて途中疲れてしまった。
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突然、有名作家の自伝を書くことになった女性と、その作家が語る、名家に生まれた双子の話。 上巻ですが、いろいろ隠されてそうな気配があるのが、気になります(笑)。
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謎につつまれた女流作家の伝記を依頼されたマーガレット、ヨークシャーの屋敷で驚くべき物語を聞く。女流作家が語る話はどこまでが真実なのか、ちょっとアゴタ・クリストフの世界を思い出す。
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