BATMAN ～DEATH MASK～ の商品レビュー

夏目義徳(著者)

2009/10/04

日本のまんがなので、手に入れやすく本棚にも収めやすい（笑）点でお勧めです。日本語だし！でも蝙蝠単品とオリキャラばかりなのでもえ的には低め。

2009/10/04

どうしてアメリカ人というやつは日本のアーティストを起用する時、微妙なところにばかり白羽の矢を……。
いや夏目先生が悪いわけじゃありませんし連載の忙しい大人気作家に描かせるわけにもいかないでしょうが、少なくとも期間の決まったミニシリーズなんだしもうちょっとこれぞ、という人に頼んだ方がおたがいいい結果を得られると思うんだけど。
'90年代にMANGAブームをあてこんでよりによって池上遼一版『スパイダーマン』（1970）を『SPIDER-MAN: MANGA』として刊行したり、よりによって絵的にもっとも向いてないだろう作家のひとり所十三先生に『SHADOWS OF SPAWN』を描かせたりした、あの頓珍漢ぶりを僕はまだ忘れてはいないぜ。

などと思ったのも、この夏目版バットマンがいかにも夏目先生らしいハジケてないマンガだからだ。いや繰り返しますが夏目先生はそういう作風なのでいいんですよ。
バットマンのマスクに日本の鬼の面のイメージを被らせるというアイデア、（アメリカ人的に）エキゾチックな東洋趣味をサービスしつつも正しい日本的精神世界を描く生真面目さ、オリジナルのバットマンが持っている怪奇趣味・ミステリ趣味をうまくミックスしたストーリー、なにより過去に縛られるか未来を見つめるかという深みのあるテーマと、非常に手堅くも面白く描けている。
……ただ、まあ、企画的にはこんなにもちゃんとした手堅い『BATMAN』じゃなく、もっとステレオタイプなまでにこれぞMANGA！というやつが期待されてはいたろうなあ、などと思わずにはいられない。